yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

「子規を聞く」 正岡子規

2017-06-30 06:45:15 | 文学
梅雨の時候には、拙宅においてもホトトギスの声が聞かれます。ここでは、ホトトギスと縁の深かった正岡子規の五言絶句 「子規を聞く」を紹介します。

  聞子規

一聲孤月下 
啼血不堪聞
半夜空欹枕
故郷万里雲

  子規ヲ聞ク

一聲孤月ノ下 
血ニ啼ヒテ聞クニ堪ヘズ
半夜空シク枕ヲ欹(そば)ダツ
故郷万里ノ雲

  「訳」
   ホトトギスの啼き声が一声
   もの悲しく縣かる一輪の月の下に響き渡る。その痛切な啼き声は、聞くに堪えない。
   孤独な旅人は啼き声に夜半目を覚して独り枕を引き寄せ、遥か離れた故郷に思いを致
   すのである。

    「鑑賞」
 子規がみずからにホトトギスというテーマを課して初めて作った漢詩。作者は生涯二千首に及ぶ漢詩を詠んでいます。それらをまとめた記録「漢詩稿」の冒頭の漢詩が「子規を聞く」
です。明治11年、正岡子規、11歳の作。驚く程の出来映えでしょう。異境で故郷を思って作った詩ではありません。子規は、後年、肺結核を病んで血を吐き「子規」と号するに至ったことを思うと、処女作の詩は運命的に思えます。後年を予感したかのようです。
 
        「吟剣詩舞道漢詩集」 「続・絶句編」 日本吟剣詩舞振興会
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アクセント

2017-06-27 04:59:38 | 文学
単語のアクセントをどこに置くかは、難しいものがあるのではないでしょうか。出身地によって異なる場合もあります。特に、カタカナ語の場合は思いこみで発音していることもありますし、どれが正しいのか、よくわからないこともあります。
例えば、下記のカタカナ語のアクセントの位置には、人により戸惑いがあるかも知れません。

     ドラマ
     ネット
     ウェブ
     グーグル

 さて、標準のアクセントを知るには、例えば、「NHK日本語発音アクセント新辞典、NHK放送文化研究所編」という辞典があるようです。
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すきま時間

2017-06-24 05:17:15 | 文化
近頃、スマホがパソコンに取って替わる時代になりました。従来、パソコンを使う場合、家や職場にいるという条件を満たした上で、一定の「かたまり時間」を費やす必要がありました。ところが、スマホの登場により、それを使うための時間も空間の制約も少なくなりました。すなわち、「すきま時間」によって従来のパソコンの替わりができるようになりました。いつでも、「すきま時間」を利用して、いつでも、どこからでも情報を受信・発信ができるのです。この結果、働き方、消費行動、ライフスタイルが替わりました。この事を、時間を財産と考える「時間資本主義」と呼ぶ学者がいます。企業も個人も社会の新しい様式の到来を認知して、企業戦略、労働様式、消費様式をしなやかに変化さていく必要に迫られています。「時間資本主義」が
到来してもしなくても、我々一人ひとりに与えられている時間は古今東西、平等に一日24時間です。

   松岡真宏 「時間資本主義の到来」學士會会報 No.923 2017-Ⅱ
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漢詩の流れ

2017-06-21 06:23:06 | 文学
長い漢詩の歴史において、その魁となったのは、北方の「詩経」です。詩経は「周詩」ともいわれますが、周代とは紀元前1046年頃から紀元前約256年頃までの古い時代です。やがて、南方に「楚辞」が生まれました。
 
絶句は四句の短詩形であり、はじめ民歌の中から起こりました。400年頃の東晋の時代には、下記の詩がありました。

    子夜歌(しやか)

 落日(ひぐれ) 前門ニ出(い)デ
 のぞみて子(きみ)ノ度(きた)ルヲ見ル
 治容(あでやかさ)姿鬢(しびん)ニ多ク
 芳香 已(すで)ニ路(みち)ニ盈(み)ツ

 「訳」
夕ぐれ、男が門口へ出て待つと、向こうからいい匂いをさせながら、粧(よそお)いをこらした女がやってくる。
この「子夜歌」は逢びきの歌で、端唄風の趣があり、「万葉集」の民衆の東歌にも通ずるように思います。

やがてこれが洗練されて内容のある、味わい深いものへと進展し、8世紀の唐代の詩につながります。
    
      鹿柴(ろくさい)    王維

 空山不見人
 但聞人語響
 返景入深林
 復照青苔上

空山人ヲ見ズ
 但(た)ダ人語ノ響ヲ聞クノミ
 返景(ゆうひ)深林ニ入リ
 復(ま)タ照ラス青苔ノ上

 「訳」
しんとした山に人影は見えないが、人の話声が聞こえる。やがて、この幽境に夕暮れがおとずれ、森の中の青い苔を照らし出している。
 
「鑑賞」
人知らぬ静かな山中の、夕日と青苔のあやしい出会い、俗世間の人間のうかがい知れない奥深い趣が、読み終えたあと余韻となって漂います。

王維に続いて、李白、杜甫があらわれ、漢詩は、唐代300年の絶頂期を迎えました。やがて、宋、元、明を経て現代に至りました。世界の詩の中で、三千年の長さにわたって大河のように一貫して滔々と流れているのは漢詩以外にはありません。詩の言葉、表現の仕方、構成、題材、音声上の工夫等々、長い時間をかけて磨きぬいてきました。言語芸術として漢詩ほど高度な成就を遂げたものはないでしょう。

 石川忠久 「漢詩紀行」日本放送出版協会

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難読漢字

2017-06-18 05:35:59 | 文学
テレビでよくクイズ番組を見ますが、漢字を読む問題がしばしば、あります。不肖には難しかった漢字もあり、それ等を含めて紹介します。

問題偏
     謙る
     諂う
     悴む
     掌る
     解す
     郁しい
     逞しい
     罅割れ
     肌理
     孕る

常連の解答者は、さすがに、速く、正確にできるのに感心しました。


  解答偏
     謙る       へりくだる
     諂う       へつらう
     悴む       かじかむ
     掌る       つかさどる
     解す       ほぐす
     郁しい      かぐわしい
     逞しい      たくましい
     罅割れ      ひびわれ
     肌理       きめ
     孕る       みごもる


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至誠惻怛

2017-06-15 05:34:47 | 文学
至誠惻怛(しせいそくだつ)は、「論語 微子 巻十八」や、王陽明の「伝習録」にある言葉だそうです。まことの心と慈しみの心が仁徳につながると孔子は言います。山田方谷(江戸末期、備中・松山藩の儒者で藩政改革に成功した人)が門弟の越後・長岡の河井継之助に贈った言葉でもあります。上司に誠を尽くし、部下を慈しむことを願ったのではないでしょうか。
 ノーベル医学・生理学賞を受賞された大村智教授の座右の銘も、「至誠惻怛」です。
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エルモ

2017-06-12 05:35:51 | 将棋
「エルモ」は将棋ソフトの名前です。5月3~5日に、川崎市で開かれた「世界コンピューター将棋選手権」において、大本命の「ポナンザ」を破って初優勝を果たしました。
「エルモ」を開発したのは、東京都に住む会社員の瀧澤誠氏で、自身は全く将棋を指さということです。これには、驚きました。将棋を指さない人にも最強レベルの将棋ソフトを作れる
ことを証明しました。瀧澤氏は、「事前の目標は2位で、ポナンザには負けるだろうと思っていた。自分のソフトの力が通用したことが驚き。」「エルモ」は過去の電王戦で活躍した強豪AI
「エイプリ」「やねうら王」がベースになっています。瀧澤さんは、エルモ同士の対戦を重ねてどのような手を指すと勝率が高いかを調べ、そうした手を選び出せるように評価関数を調整。その工夫の結果、より正確は形勢判断ができるようになりました。この点でポナンザより
優位に立ったようです。
 将棋は素人でも、AIの力で、「実力は名人なみ」のソフトを実現できることに、不思議なもの、そして一種の寂しいものを覚えます。人工知能は人間が発明したにもかかわらず、この開発の話を聞くとAIの優位がわかり、人間の限界を思い知らされました。
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栗花落、難読姓

2017-06-09 06:33:22 | 文学
栗の白い花が落ちる頃が「梅雨入り」の季節です。「栗花落」はつゆり、つゆ、つゆおち等と読み、「栗花落」という姓もあるそうですが、難読姓の一つです。難読姓といえば、小粥(おがい、おがゆ)、勅使河原(てしがわら)、御手洗(みたらい)、薬袋(みない)、日下部(くさかべ)、刑部(おさかべ)なども難しいと思います。
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春夜喜雨 杜甫

2017-06-06 05:39:30 | 文学
詩聖 杜甫の五言律詩を紹介します。

  春夜喜雨

好雨知時節
当春乃発生 
随風潜入夜
潤物細無声
野径雲倶黒
江船火独明
暁看紅湿処
花重錦錦官城

春夜雨ヲ喜ブ

好雨時節ヲ知リ
春ニ当ツテ乃チ発生ス 
風ニ随ヒテ潜カニ夜ニ入リ
物ヲ潤ホシテ細ヤカニシテ声無シ
野径雲倶(とも)ニ黒ク
江船火ハ独リ明ラカナリ
暁ニ紅ノ湿へル処ヲ看レバ
花ハ錦錦官城ニ重カラン

  「訳」

よい雨は降るべき時節を知っており、春になると降り出して、万物が萌えはじめる。雨は風につれてひそかに夜まで降り続き、こまやかに音もたてずに万物を潤している。野の小道も雲と同じように真っ黒であり、
川に浮かぶ船のいさり火だけが明るく見える。夜明け、赤くしめりをおびたところを見るならば、それは錦官城に花がしっとりぬれて咲いている姿なのだった。

   「鑑賞」

 この詩は浣花草堂(かんかそうどう)での春の雨をうたって、もの静かなうちにも喜びのあふれた作となっています。前半は春雨に育まれる自然を、後半は夜と翌朝の景をうたい、いさり火の一点の赤から紅の花びらへと拡散していく。「喜」の語は一つもないが、錦官城(錦城、成都)
の町いっぱいに咲く花に目を細める姿が偲ばれます。

 最後の2句は、特にいいいと思います。
 ここにある花は成都に多い牡丹と思われます。  

    石川忠久  「NHK漢詩紀行」日本放送出版協会   
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早口言葉

2017-06-03 05:47:41 | 文学
多くの早口言葉があります。
話すことを仕事にしている人、詩吟など、発声が重要要素となることを趣味にしている人にとっては、早口言葉のマスターが必要なようです。例えば,下記の通りです。

青巻紙、赤巻紙、黄巻紙
生麦生米生卵
魔術師魔術修行中
除雪車除雪作業中
東京特許許可局許可局長
お綾や、八百屋におあやまり
駒込のわがまま者 中野の怠け者
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