梅雨の時候には、拙宅においてもホトトギスの声が聞かれます。ここでは、ホトトギスと縁の深かった正岡子規の五言絶句 「子規を聞く」を紹介します。
聞子規
一聲孤月下
啼血不堪聞
半夜空欹枕
故郷万里雲
子規ヲ聞ク
一聲孤月ノ下
血ニ啼ヒテ聞クニ堪ヘズ
半夜空シク枕ヲ欹(そば)ダツ
故郷万里ノ雲
「訳」
ホトトギスの啼き声が一声
もの悲しく縣かる一輪の月の下に響き渡る。その痛切な啼き声は、聞くに堪えない。
孤独な旅人は啼き声に夜半目を覚して独り枕を引き寄せ、遥か離れた故郷に思いを致
すのである。
「鑑賞」
子規がみずからにホトトギスというテーマを課して初めて作った漢詩。作者は生涯二千首に及ぶ漢詩を詠んでいます。それらをまとめた記録「漢詩稿」の冒頭の漢詩が「子規を聞く」
です。明治11年、正岡子規、11歳の作。驚く程の出来映えでしょう。異境で故郷を思って作った詩ではありません。子規は、後年、肺結核を病んで血を吐き「子規」と号するに至ったことを思うと、処女作の詩は運命的に思えます。後年を予感したかのようです。
「吟剣詩舞道漢詩集」 「続・絶句編」 日本吟剣詩舞振興会
聞子規
一聲孤月下
啼血不堪聞
半夜空欹枕
故郷万里雲
子規ヲ聞ク
一聲孤月ノ下
血ニ啼ヒテ聞クニ堪ヘズ
半夜空シク枕ヲ欹(そば)ダツ
故郷万里ノ雲
「訳」
ホトトギスの啼き声が一声
もの悲しく縣かる一輪の月の下に響き渡る。その痛切な啼き声は、聞くに堪えない。
孤独な旅人は啼き声に夜半目を覚して独り枕を引き寄せ、遥か離れた故郷に思いを致
すのである。
「鑑賞」
子規がみずからにホトトギスというテーマを課して初めて作った漢詩。作者は生涯二千首に及ぶ漢詩を詠んでいます。それらをまとめた記録「漢詩稿」の冒頭の漢詩が「子規を聞く」
です。明治11年、正岡子規、11歳の作。驚く程の出来映えでしょう。異境で故郷を思って作った詩ではありません。子規は、後年、肺結核を病んで血を吐き「子規」と号するに至ったことを思うと、処女作の詩は運命的に思えます。後年を予感したかのようです。
「吟剣詩舞道漢詩集」 「続・絶句編」 日本吟剣詩舞振興会