吉備真備は、日本史の教科書にもあるように、菅原道真と並ぶ学者・政治家です。阿倍仲麻呂らと共に717年に唐に渡り帰国後は政治家として活躍しましたが、再度、唐に渡り、帰国の後には右大臣にまでなりました。写真の書は吉備真備の唯一の直筆の書の一部です。

「三つ山崩し」というゲームがあります。碁石などを使って、それを適当数取って三つの山を作ります。例えば、第一の山は11個、第二の山は12個、第三の山は13個とします。個数は適当な他の数でも構いません。先ず、先手がどこか一つの山から好きな数だけ取ります。続いて後手が、取ります。必ずどれかの山から1個以上取らなければなりません。これをくりかえすと三つの山の碁石の数は次第に少なくなって行きます。最後の一つを取った人が勝ちとなります。この遊びの勝ち方は数学的に求められます。<o:p></o:p>
例えば、3つの山の碁石の数が11個、12個、13個の場合について説明します。説明のために、この状態を(11,12,13)と表現します。<o:p></o:p>
このケースは先手が必勝です。13個ある山から6個の石を取り(11,12,7)<o:p></o:p>
とします。以後、(3,12,7)、(3,0,3)、(3,0,2)、(2,0,2)、(1,0,1)という風に進むと、後手は1個の山から1個を取らざるを得ませんから、先手は最後の1個を取って勝つことができます。<o:p></o:p>
代表的な勝ちパターンには、(0,1,1)や(0,0,2n)や(0,n,n)があります。2nは偶数のことです。 以上は前回12月4日に掲載した「三つ山崩し」に書いた<o:p></o:p>
文と同じです。<o:p></o:p>
何故(11,12,7)が勝ちパターンかを説明します。<o:p></o:p>
11と2と7を2進数で表現すると次のようになります。<o:p></o:p>
11=8+2+1 001011<o:p></o:p>
12=8+4 001100<o:p></o:p>
7=4+2+1 000111<o:p></o:p>
合計 002222<o:p></o:p>
このように、10進法的に各位の数を合計した答の数が偶数のみになっているのが勝ちパターンの条件です。<o:p></o:p>
後手はここで。どこかのの山から少なくとも1個の石を取らなくてはなりません。たとえば、7個の山から1個を取って6個とします。次に先手は11個の山から1個を取ります。 10=8+2 001010<o:p></o:p>
12=8+4 001100<o:p></o:p>
6=4+2 000110<o:p></o:p>
合計 002220<o:p></o:p>
この合計パターンは偶数のみですから勝ちパターンです。<o:p></o:p>
後手がいかなる取り方をしても、先手は最終的に(0,1,1)のパターンにすることができて勝つことができます。<o:p></o:p>
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関沢正躬著 『数の理論 入門』丸善<o:p></o:p>
エベレストに初登頂したエドモンド・ヒラリー氏が1月11日に他界しました。88才でした。ヒラリーはニュージーランド、オークランドの近郊で養蜂業を営んでいましたがイギリスの第9次エベレスト遠征隊に参加して、1953年5月29日未明にネパール人のシェルパ、テンジン・ノルゲーと8848mの世界最高地点に到達しました。このニュースはエリザベス女王の戴冠式の前夜にロンドンに伝えられお喜びの女王から、ヒラリーは騎士(サー)の称号を授与されました。また、1995年には英国の最高勲章であるガーター勲章を授与されています。<o:p></o:p>
初登頂の後はネパール大使を務めたり、登山者の増加でヒマラヤの環境破壊が進んだことに心を痛め、自然保護については晩年まで積極的に発言を続け<o:p></o:p>
ました。<o:p></o:p>
彼はニュージーランドでは国民的英雄で、「サー・エド」と親しみをこめて呼ばれており、5ドル紙幣の肖像にもなっています。<o:p></o:p>
クラーク首相はヒラリー氏他界の公式発表の中で、「サー・エドは自分自身を能力も人並みしかない一般的なニュージーランド人の1人にすぎないと語っていたが、実際のところ、彼は巨人であり、英雄的でエベレストを征服した男の範疇でくくれないものを持っていた。決断と謙虚、寛大の人であった」とその死を悼みました。<o:p></o:p>
漢文を、返り点(レ)や順序符号(一、二、三、上、中、下など)を用いて読み降し文に変換する方法を日本人が編み出しました。大変偉大な発明です。このようにして中国4000年の叡智を記述した厖大な漢文を日本文としてたやすく理解することができます。意味が分かっても分からなくても暗記してしまうのがいいようです。暗記してしまうと、その時は理解できなくても、いつか、はっと意味を悟ることができるようです。これだと子供でも勉学が可能です。この漢文素読は江戸時代から盛んに行われ、我が国の多くの人々の教養の基礎になって来ました。森鴎外や夏目漱石の漢文の素養も漢文素読によって培われました。豊富な漢文からは人生の指針を沢山、学ぶことができます。<o:p></o:p>
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ここで、最近、目にした 良い文をいくつか紹介します。<o:p></o:p>
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礼は未然の前に禁じ、法は已然(いぜん)の後に施す。<o:p></o:p>
法の用を為す所の者は見易くして、礼の禁を為す所の者は知り難し。<o:p></o:p>
(「史記」 太子公自序)<o:p></o:p>
(要約)礼儀は何か事が起こる前に未然に防ぐための手段であり、法律は何か事が起こった後にその処理をするための手段です。<o:p></o:p>
法の効用は分かり易いけれども、礼儀が禁じている所以はわかりにくいものです。<o:p></o:p>
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子曰く、賢を見ては斉(ひと)しからんことを思ひ、不賢を見ては内に自ら省みよ。<o:p></o:p>
「論語」里仁<o:p></o:p>
(要約)賢明な人物を目にした時は自分も同じようになりたいと願い、賢明とは言えない<o:p></o:p>
者を目にした時は自分も同じように愚かなことをしていないか反省することが大切です。<o:p></o:p>
人の短を道(い)ふこと無かれ、己の長を説くこと無かれ。<o:p></o:p>
人に施しては慎んで念(おも)ふこと勿かれ、施しを受けては忘るること勿かれ。<o:p></o:p>
(後漢 崔えん座右銘)<o:p></o:p>
(要約)他人の短所を言ってはいけない、自分の長所を口にしてはなりません。<o:p></o:p>
他人に何かしてあげた時はそれを早く忘れなさい。他人に何かしてもらった時は<o:p></o:p>
それを絶対に忘れないようにしましょう。<o:p></o:p>
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百術は一誠に如かず<o:p></o:p>
(要約)百の姑息な方策より、一つの誠が勝ると言う意味です。<o:p></o:p>