中唐の詩人、劉禹錫(りゅう うしゃく)の七言絶句を紹介します。
秋詞
自古逢秋悲寂寥
我言秋日勝春朝
晴空一鶴排雲上
便引詩情到碧霄
「詠み方」
秋詞
古ヨリ秋二逢ヘバ寂寥ヲ悲シム
我レ言フニ秋日ハ春朝ニ勝ル
晴空一鶴雲ヲ排シテ雲上リ
便チ詩情ヲ引キテ碧霄 ニ到ル
「訳」
昔から秋にめぐりあうと、その寂しい風情を悲しむもの。
私がおもうに、秋の季節は春の季節にまさっている。
晴天の日、一羽の鶴が、雲をおし開いて上りゆき、
たちまち詩情を引き、誘いながら蒼穹に達する。
「鑑賞」
七言絶句。作者の劉禹錫は中唐の詩人。前半二句において戦国時代の楚の詩人
宗玉が著した『楚辞』「九弁(きゅうべん)」以来、秋は悲しいものだとする固定観念に異を唱え、秋は春にまさる季節だと、まず主張する。これを受け、後半二句において、秋の晴れた日、白鶴が白雲を突き抜けて、まっすぐ青天のかなたに上がってゆく爽快な情景を歌い、秋のすばらしさを具体的に浮き彫りにする。詩性にあふれ、ことに秀逸。晩年は白居易と親交を深めて、数多くの唱和詩を生み、「劉白」と並び称されました。
井波律子 「中国名詩集」 岩波書店
秋詞
自古逢秋悲寂寥
我言秋日勝春朝
晴空一鶴排雲上
便引詩情到碧霄
「詠み方」
秋詞
古ヨリ秋二逢ヘバ寂寥ヲ悲シム
我レ言フニ秋日ハ春朝ニ勝ル
晴空一鶴雲ヲ排シテ雲上リ
便チ詩情ヲ引キテ碧霄 ニ到ル
「訳」
昔から秋にめぐりあうと、その寂しい風情を悲しむもの。
私がおもうに、秋の季節は春の季節にまさっている。
晴天の日、一羽の鶴が、雲をおし開いて上りゆき、
たちまち詩情を引き、誘いながら蒼穹に達する。
「鑑賞」
七言絶句。作者の劉禹錫は中唐の詩人。前半二句において戦国時代の楚の詩人
宗玉が著した『楚辞』「九弁(きゅうべん)」以来、秋は悲しいものだとする固定観念に異を唱え、秋は春にまさる季節だと、まず主張する。これを受け、後半二句において、秋の晴れた日、白鶴が白雲を突き抜けて、まっすぐ青天のかなたに上がってゆく爽快な情景を歌い、秋のすばらしさを具体的に浮き彫りにする。詩性にあふれ、ことに秀逸。晩年は白居易と親交を深めて、数多くの唱和詩を生み、「劉白」と並び称されました。
井波律子 「中国名詩集」 岩波書店