yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

   晴空 一鶴 雲を排して上る

2024-10-30 07:18:24 | 文学
中唐の詩人、劉禹錫(りゅう うしゃく)の七言絶句を紹介します。
秋詞
自古逢秋悲寂寥
我言秋日勝春朝
晴空一鶴排雲上
便引詩情到碧霄
 
      「詠み方」

秋詞
古ヨリ秋二逢ヘバ寂寥ヲ悲シム
我レ言フニ秋日ハ春朝ニ勝ル
晴空一鶴雲ヲ排シテ雲上リ
便チ詩情ヲ引キテ碧霄 ニ到ル
       「訳」
     昔から秋にめぐりあうと、その寂しい風情を悲しむもの。
     私がおもうに、秋の季節は春の季節にまさっている。
     晴天の日、一羽の鶴が、雲をおし開いて上りゆき、
たちまち詩情を引き、誘いながら蒼穹に達する。

 「鑑賞」
七言絶句。作者の劉禹錫は中唐の詩人。前半二句において戦国時代の楚の詩人

宗玉が著した『楚辞』「九弁(きゅうべん)」以来、秋は悲しいものだとする固定観念に異を唱え、秋は春にまさる季節だと、まず主張する。これを受け、後半二句において、秋の晴れた日、白鶴が白雲を突き抜けて、まっすぐ青天のかなたに上がってゆく爽快な情景を歌い、秋のすばらしさを具体的に浮き彫りにする。詩性にあふれ、ことに秀逸。晩年は白居易と親交を深めて、数多くの唱和詩を生み、「劉白」と並び称されました。

井波律子 「中国名詩集」 岩波書店



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皇族のお名前

2024-10-27 08:25:00 | 文化
皇族は庶民と異なり姓をお持ちでないのですが、尊号と仁がつくお名前をお持ちです。お名前はどれもよみにくい。
孝明天皇  熙宮(ひろのみや)統仁(おさひと)
明治天皇  祐宮(さちのみや)睦仁(むつひと)
大正天皇   明宮(はるのみや)嘉仁(よしひと)
昭和天皇  迪宮(みちのみや)裕仁(ひろひと)
平成天皇  継宮(つぐのみや)明仁(あきひと)
令和天皇  浩宮(ひろのみや)徳仁(なるひと)
皇嗣    礼宮(あやのみや)文仁(ふみひと)
皇孫    秋篠宮(あきしのみや)悠仁(ひさひと)
      高松宮寛仁(のぶひと)
      三笠宮宣仁(ともひと)
      秩父宮雍仁(やすひと)


     


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「読む」考

2024-10-24 06:40:12 | 文学
「読む」という簡単な言葉。英訳はreadですが、日本語の「読む」にぴったり対応する英単語が直ぐに思い浮かびません。日本語の読むには独特の意味があると思います。
例えば下記のように使われます。

先を読む。
票を読む。(選挙の場合)
勝負の成り行き、結果を読む。
相手の出方を読む。
将棋の手を読む。

これらに見る「読む」の意味は「予測する」ということです。
読みが深い、甘いなどとも使います。

将棋のプロが手を読む場合、何手くらい読むのかには、興味があります。

トッププロは普通20ー30手、周辺の変化を含めると200-300手といわれます。
羽生名人:若い頃は、大局観に頼ることができなかったので、沢山読むしかなかった。
谷川九段: 沢山読むより、ある局面で形勢判断をすることが重要。
渡辺竜王: 状況により異なるが400-500手
藤井九段: 大抵の場合、1時間考えても1分考えても、結局は指し手は同じになる。
米長九段: 沢山読むことが重要なのではなく、いかに読む手を捨てるかが重要。

「予測する」に対応する英語は、ですが、どうもぴったりとは言えず、日本語の「読む」に相当する英単語には思い至りませんでした。
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椎名巌 福田定一 藤原寛人 蓼丸綾

2024-10-21 06:27:44 | 文化
表題の姓名を本名とする人物の通称をご存じですか。
 それぞれ、落語の桂歌丸師匠、司馬遼太郎氏、作家の新田次郎氏、女優の綾瀬はるかさんの本名です。有名人は、本名を明かして仕事をしているわけではないので、本名と通称の違いに愕然とします。歌舞伎の市川団十郎の本名は、堀越寛世氏(ほりこしたかとし)というのもあまり知られていないかも知れません。

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対人関係13の過失 

2024-10-18 06:51:40 | 文化
アメリカの海軍における話題です。良い人間関係を築いて維持するための要件として「合衆国沿岸警備他隊マガジン」という雑誌に人間関係における「マイナスの指針」すなわち、やってはならないことを「13の過失」として列挙して発表しています。これらは、海軍におけるリーダーの育成という観点から書かれていますが、海軍士官のみではなく一般社会においても注意すべきことのように思われます。

(1) 自分勝手な善意の基準を設けようとすること
(2) 他人の楽しみを自分自身の物差しで測ろうとすること
(3) 世間の意見が画一的であるように期待すること
(4) 相手の経験の無さを酌量しないこと
(5) すべての気質を同じ型に作りあげようとすること
(6) 重要でない些細なことについて譲歩しないこと
(7) 自分自身の行動に完璧を求めること
(8) つまらぬことで、自分自身や他人についてくよくよと思い悩むこと
(9) 人を助けることができるのに助けないこと
(10) 自分自身が実行できないことを、誰がやっても不可能と考えること
(11) 自分の心でとらえうるものだけしか信じないこと
(12) 他人の弱点を斟酌しないこと
(13) 内部の質的基準でなく、外部の質的基準で人を評価すること

これらは、謙虚であり、かつ、相手を尊重して思いやることが基本精神のようです。国境と時代を越えて、また海軍という分野を越えて、現代の日本の一般社会においても良い人間関係を作る上で参考になる指針ではないかと思われます。

徳川宗英(とくがわむねふさ)著『江田島海軍兵学校 究極の人間教育』講談社
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KY

2024-10-15 06:16:53 | 文化
KYとは何のことでしょうか。
嘗て勤めていた会社では、「危険予知」のことを指し、安全活動において極めて重要な施策の一つでした。危険を予知して事故が起きる前に対策を採って事故を未然に防ぐ活動のことで、大きな効果がありました。昨今、あちこちで起きている事故を知るにつけ、KYをやっておけば防げた事故が多いように思われます。例えば小学校の天井の明かり窓を破って、小学生が屋上から落下する事故や、プールの水流パイプに吸い込まれた事故はKY手法で予測可能で
あり、事故が起きないように物理的な対策を採っておく事が可能なはずでした。
昨年、流行語にもなったKYは「空気を読む」という意味だそうです。KYができないと仲間はずれになっていじめの対象になったりするそうです。時に空気が読めなくても、良いのではないか、周りのことは気にしないで、吾は吾が道を行くのも良いように思います。
さて過日、新聞紙上に「KYは価格安い」、「大安」(たいあん)は「オー・安い」の事とあり、今時はそういう読み方もあるのかと驚きました。

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アト秒

2024-10-12 06:32:15 | 科学
2023年のノ-ベル物理学賞には、「アト秒」と呼ばれる極めて短い時間だけ光を出す実験的手法を開発し、物質を構成する粒子の一つ、「電子」の動きを観察する新たな装置を開発した、欧米の3人が選ばれました。
「アト秒」という馴染みの薄い語に注目しました。下の図は、国際単位系(SI)に於ける単位の接頭語です。3乗ごとに区切られています。「アト」は10のマイナス18乗を示します。小さいほうでは、マイクログラム、ナノメ-タ-については聞いたことがあります。また大きいほうでは、キログラム、メガバイト、テラバイトを聞いたことがあります。学問、技術の発達とともに、従来と異なる極微、巨大な数値が必要になってきます。




     






     






     





     


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 仙台育英高校 校歌

2024-10-09 08:28:01 | 文学
2022年(昨年)夏の甲子園の全国高校野球選手権大会 決勝戦で、8月22日に下関国際高校と仙台育英高校が戦い、8対1で仙台育英高校が勝利し、東北勢が史上初の栄冠に輝きました。深紅の優勝旗が白河の関を超えたのです。(写真 下)戊辰の敗北か ら150年ぶりの東軍の快挙に拍手します。
 
    甲子園に響いた仙台育英高校の校歌は加藤利吉(会津若松出身の高校創立者)が作詞しました。歌い出しは下記の通りです。

  南冥遥か天翔る鴻鵠棲みし青葉城、ああ松島や千賀の浦

「南冥」や「鴻鵠」という語から中国の故事を連想しました。
「南冥」の説明:「南冥」は南方の大海のことです。
「荘子 逍遙遊篇」より。

北冥ニ魚有リ 其ノ名ヲ鯤(こん)ト為ス、鯤ノ大イサ幾千里ナルヲ知ラズ。化シテ鳥ト為ル、其ノ名ヲ鵬ト為ス、鵬ノ背ノ幾千里ナルヲ知ラザルナリ、
怒(はげ)ンデ飛ブ。ソノ翼、垂天ノ雲ノ若シ、將ニ南冥ニ渉ラントス。南冥トハ天池ナリ。


「鴻鵠」の説明:「史記、陳勝世家」が出典です。
「鴻」はオオトリ、「鵠」はクグイ(白鳥)をいい、ともに大きな鳥であるため、転じて
大人物の志をいいます。
中国、秦 (しん)代の武将で、後に楚(そ)王となった陳勝(陳渉)は年少のころ、家が
貧しかったため作男として働かなければならなかったのですが、つねに大望を捨てず
「燕雀(えんじゃく)安(いずく)んぞ鴻鵠の志を知らんや」と自分の抱負を語り、嘆じた、
と伝える「史記」の故事があります。鴻鵠が燕雀を見下す語感もあります。逆境にあ
った照ノ富士関も鴻鵠の志を保って、横綱にまで上りました。


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老子 上篇 第二十四章

2024-10-06 06:33:51 | 文学
中国、紀元前5世紀、戦国時代の哲人、老子の書「老子 前編 第二十四章」を紹介します。

原文
企者不立、跨者不行。自見者不明、自是者不彰。自伐者無功、自矜者不長。其在道也、曰餘食贅行。物或惡之。故有道者不處。
書き下し文
企(つまだ)つ者は立たず、跨(また)ぐ者は行かず。自ら見る者は明らかならず、自ら是(ぜ)とする者は彰(あら)われず。自ら伐(ほむ)る者は功なく、自ら矜(ほこ)る者は長(ひさ)しからず。その道に在っては、余食贅行(よしょくぜいこう)と曰(い)う。物或いはこれを悪(にく)む、故に有る道の者は処(お)らず。
 訳
 つまさきで立つものは、立ち尽くすことができない。大股であるくものは、長くあるくことはできない。自分を見せびらかすものには、何もよく見えない。みずから是(ただ)しいとするものは、他人よりきわだって見えることはない。自分でほめるものは、何も成功しない。(した仕事を)誇りにするものは、長つづきしない。それらのものは「道」の立場からいうと、余分の料理や無用の付着物とよばれる。それらを生物はおそらく嫌い、斥けるであろう。だから「道」を有する人は、そんなところに長居はしないのだ。

         小川環樹 訳注 「老子」中公文庫




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「あほ」と「ばか」

2024-10-03 06:26:22 | 文化
関東弁で「ばか、好きにきまってるよ」を、兵庫弁で言うと
「あほ、好きにきまってるやねん」(女優、有村架純さん)

関東弁は、喧嘩を売っているように聞こえます。これに比べて兵庫弁は軟らかく聞こえます。
「好きだよ」は、北九州弁だと「好いと-よ」となるそうですが、これはまた誠に情感が籠もっています。

関西では「うるさい」より「やかましい」と言うそうです。店で騒いでいると、大阪では臨席から「やかましいなあ」の声。が、そういう席のほうが実はやかましい。そして双方ますますにぎやかになる。京都の店では「お元気でよろしいな」の声。しかし顰蹙を買っているとはすぐには気づかない。その場限り、後に引かないのが大阪流。後でじんわり効いてくるのが京都流。ご近所なのに大差です。

あのまだるっこいような、圭角のとれた関西弁は、「論争」や「処断」に使う言葉ではなく、「話し合い」「座談」の時の言葉です。私には、関西弁は、やわらかく、洗練された言葉のようにも聞こえます。

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