yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

高適 除夜の作 霜鬢明朝又一年 (再掲)

2017-12-31 06:20:17 | 文学
毎年、大晦日になると決まって想い起こす漢詩、除夜の作(高適)です。

旅館の寒燈獨り眠らず 
客心何事ぞ轉た凄然
故郷今夜千里を思ふ 
霜鬢明朝又一年

詩人 高適(こうせき)は四川省成都に流浪して来た杜甫を温かく援助し親交を結びました。晩年は不遇でした.

結句 霜鬢明朝又一年    
白髪に又 一年がむなしく加わる、にしみじみとしたものを感じます。
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チェスと将棋の違い 升田幸三

2017-12-28 06:27:06 | 将棋
チェスと将棋のルーツは同じですが、戦後まもなく、その性格の違いがGHQで議論されました。GHQの方針で、将棋は戦争ゲームであるとして日本将棋が廃止される危機にあった時のことです。GHQのナンバー2のホイットニーと、日本将棋界を代表して升田幸三が談判をしました。
まず、ホイットニーが「将棋は取った駒を自分の駒として好きなように利用できる。これは捕虜の虐待にあたるではないか」と言いました。
すると升田は次のように切り返しました。
「何を言うか。取った駒を再活用するほど人道的なことはないではないか。ましてや、将棋
は取った相手の駒を金なら金、飛車なら飛車といった風に元々の能力に沿った活用をしている。それに比べてチェスは何だ。相手の駒を取ったらそれを捨ててしまう。それこそ虐殺にほかならないじゃないか。」
このやりとりの後、将棋は規制されることなく現在に至っています。升田幸三の弁論が、将棋の存続を支えたともいえます。

 取った駒を使うという将棋のルールにより、将棋はいっそう複雑で奧の深いゲームになっていうのです。
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一生の大道楽

2017-12-25 06:16:19 | 歴史
司馬遼太郎の文章より、明治時代の軍人、秋山真之(1868~1918)が残した言葉「一生の大道楽」を紹介します。
「たいがいの人は妻子をもつとともに片足を棺桶につっこみて半死し、進取の気象おとろえ、退歩をはじむ」と、このような文章をかいたことがある。真之はすでに海軍戦術を確立することに生涯をささげることを心にきめていたが、そういう自分に対し、「凡俗の幸福は求むべきにあらず。おのれを軍神の化身なりと思え」と、規定するようになっていた。このような自分の「事業」を「一生の大道楽」と、そういう表現をつかっている。

「大道楽」と自嘲しているように聞こえますが、日露戦争、日本海海戦でロシア艦隊を全滅させる作戦を立てるに至った秋山参謀の「一生の大道楽」とは、大したものです。

  司馬遼太郎 「坂の上の雲 二」文春文庫
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秋思の詩 菅原道真

2017-12-22 06:47:17 | 文学
菅原道真公(平安時代)の七言律詩、「秋思詩」を紹介します。

丞相度年幾楽思
今宵触物自然悲
声寒絡緯風吹処
葉落梧桐雨打時
君富春秋臣漸老.
恩無涯岸報猶遅
不知此意何安慰撫
飲酒聴琴又詠詩

丞相年ヲ度(わた)ツテ幾タビカ楽思ス
今宵物ニ触レテ自然ニ悲シ
声ハ寒シ絡緯風吹クノ処
葉ハ落ツ梧桐雨打ツノ時
君ハ春秋ニ富ミ臣漸ク老ユ.
恩ハ涯岸無ク報ユルコト猶オ遅シ
知ラズ此ノ意(こころ)何(いずく)ニカ安慰セン
酒ヲ飲ミ琴ヲ聴キ又詩ヲ詠ズ

「訳」
   私(道真)は、右大臣の職を拝し、年月を送り、幾度となく楽しい思いもいたしてまいりましたが、なぜか、今宵は折りにふれ物にふれて、そぞろに哀れを催し、こうした御宴にはべっておりましても、気が滅入るばかりで、心が晴れないのでございます。吹く風の中より聞こえてくる虫の音は冷ややかに胸に染み、そぼ降る雨に桐の葉の舞い落ちるのを見るのは、たまらなく寂しいものであります。さて、陛下はいかにもお若くあらせられますが、それにひきかえ、私はこのところめっきり年をとりまして、気の弱まりを感じます。御恩のほどは涯しないほどに広く、果たして存命中にお報い出来ますかどうか、はなはだ心細い限りでございまして、この憂苦の胸中は晴らそうとしても晴らす術とてない有様であります。
白楽天は憂悶を遣るてだてとして、三つのものを挙げておりますが、私もそれにならい、酒を飲み、琴を弾き、詩を詠じ、もって自らを慰めんと思う次第でございます。
 
「鑑賞」
  酒・琴・詩、この三者を、白楽天は「北窓三友」の詩で「三友とは誰とかなす、琴罷んではすなわち酒を挙げ、酒罷んではすなわち詩を吟ず、三友たがいに相引き、循環して已む時なし」と三友を称しています。
  菅原道真の詩風は理知的ですが、その表現を平易にする技術は多分に白楽天に似ています。当時の人はこうした道真の作品に新風を感じたのでしょう。

      「吟剣詩舞道漢詩集 律詩・古詩編」 日本吟剣詩舞振興会
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聖徳太子

2017-12-19 06:29:17 | 歴史
下図は「唐本御影」で、聖徳太子を描いた最古のものと伝えられる肖像画「聖徳太子及び
二王子像」です。しかし、今では、沓、足首や衣の形、手に持っている笏、髪型などから聖徳太子没後、約100年の奈良時代に成立したとも言われています。しかも、歴史家の間で聖徳太子(厩戸皇子)の実在が疑問視されたりしているようです。私達にとってとても大切であった、紙幣の肖像画はいったい何だったのでしょう。



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清風明月

2017-12-16 06:12:00 | 文学
NHK大河ドラマ「女城主 直虎」、「徳政令の行方」の章の中に「清風明月」という句がありました。
 清風明月を払い、明月清風を払う

逃散してしまった村の農民たちに向かって、城主になった直虎が諭すように使った言葉です。

「清風明月を払い、明月清風を払う」治める側と治められる側とが対立するのではなく、一体でありたいと願う、まるで月と風がそうであるように。
 これは「人点眼目」の中にある句で、禅の悟の清らかさを表しています。仲秋の名月といわれるような言葉にならないような美しい月に、夏の暑さから冬へと向かう清々しい風が吹き抜ける情景を私達に思い描かせてくれます。
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羽生名人 永世7冠 獲得

2017-12-13 06:44:45 | 将棋
去る12月5日に将棋の羽生名人が渡辺二冠に勝ち、竜王位を獲得して永世竜王の資格者となり、竜王、名人、王将、王位、王座、棋王、棋聖と合わせて初の永世七冠の資格を獲得しました。
永世七冠の獲得条件は次のようになっています。

 竜王  タイトル 通算7期
 名人  タイトル 通算5期
 王将  タイトル 通算10期
王位  タイトル 通算10期
王座  タイトル 通算10期
棋王  タイトル 通算5期
棋聖  タイトル 通算5期

タイトルを1回獲得するだけでも、大変なことなのに、永世資格を7大タイトルのすべてで
獲得したのは史上初めてであり、偉業という言葉を超える大偉業といえるでしょう。またタイトル獲得数も通算99期となり、100の大台まであと1期に迫っています。

 若手の台頭やコンピューターが繰り出す新手に対応していくことなど、大変難しい時代になったにもかかわらず、羽生さんは、努力と創意工夫がますます盛んです。インタービューに答えて「将棋の本質については、まだ何もわかっていない」と発言したのには驚きました。

2017年は、藤井聡太四段の活躍に始まり、羽生さんが大記録達成して終わり、将棋界は、話題が多く明るい一年だったのではないでしょうか。
 







   
 
 








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「脱暗記」に疑問

2017-12-10 06:34:51 | 文化
過日、大学入試で歴史の細かい用語が出題され、高校の授業が暗記中心になっているのは問題だとして、高校と大学教員らで作る「高大連携歴史教育研究会」が、歴史に関する用語の精選案を発表しました。「用語が多すぎる」として教科書の本文に載せ、知識を入試で問う用語を現在の3500程度から約半分にすべきだとしています。精選案についてアンケートも実施し、今年度末までに最終案をまとめる。この結果、世界史では「クレオパトラ」「ガリレオ・ガリレイ」、
日本史」では「吉田松陰」「坂本龍馬」などが将来の教科書から削除される可能性が出てきました。

不肖の考えでは、こうした重要項目を削除することにより、その人物が活動した歴史的背景
や活動の事跡、後世に及ぼした影響などすべてが、項目名と共に、記憶に残ることが無くなる恐れがあります。後日、こうした重要項目を調べてみようとするよすがも損なわれてしまいます。

人には多様な価値観があるのですが、敢えて不肖の感想を述べさていただきます。「暗記すること」のどこが悪いのでしょうか。古来、学問は「論語」の暗記が手始めであったそうです。歴史は人物、史実によって成立しています。これらの人物と史実を教えない、学べないということは、重要な人物や史実が存在しなかったことになりかねません。日本史や世界史を十分に学ぶことができないならば、高校に行く意義の一つである歴史を学ぶ機会を損ねることになるのではないでしょうか。高校で人物と史実を無限に学ぶことができないのも明らかですから、ある程度の選別がされることは止むを得ないとは思います。しかし、吉田松陰や坂本龍馬が削除されることには賛成出来かねます。
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オセロ あれこれ

2017-12-07 06:26:30 | パズル
オセロは、囲碁、将棋とならんで、愛好者の多いボードゲームです。
8X8の升目の盤内で白と黒の石を交互に置いて、挟んだ相手の石をひっくり返しつつ勢力を築きます。日本、茨城県、水戸市の長谷川五郎氏が1945年に開発しました。世界の愛好者は約6000万人(ルールを知っているだけという人も含みます)といわれます。英語圏ではリバーシ(riverse)と呼ばれます。
「覚えるのは1分、極めるのは一生」というキャッチフレーズのある奧の深い遊びです。

後手勝ち、という説もありますが、後手必勝の手順は発見されていないそうです。

コンピューターと人間の対戦:
  1997年に、NEC北米研究所が開発したプログラム「ロジオテロ」と世界チャンピオンの村上健九段が対戦して、人間が6連敗したことがありました。
世界には、多数の強豪がいますが、小学校6年生の高橋晃大(あきひろ)五段という天才キッズもおり、過日、テレビで村上九段等と熱戦を繰り広げました。高橋君はとても強いのでオセロ界の藤井聡太といわれたりもします。
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囲碁の効用

2017-12-04 06:22:16 | パズル
囲碁は 別称、烏鷺(うろ)とか手談と言われますが、知能ゲームの中でも、国際性に富み、奧が深く上品な遊びではないかと思います。
アマチュアの強豪、K氏は雑誌の中で、若い大学生に対して「囲碁の効用」について次のように述べています。

・ 「考える力」を養うこと
・ 「相手にも与えるというバランス感覚」を身につけること。バランス感覚は、周囲を見渡す力も意味します。
・ 「「負ける経験」をすること。「負ける経験」は、相手の立場や気持ちを理解する感性を育てます。「負けた経験」は将来に役立つと思います。
・ 「大局観」(広い視野)でものごとを見る)を育てること。
・ 思い通りにいかなくても辛抱するという「忍耐力」をつけることです。

囲碁は、白石と黒石による陣取りゲームですが、序盤あり、中盤の捻り合いあり、捨石あり、寄せあり、と奧がとても深いです。囲碁を嗜むことには、良い面が多くあると思われます。

  木澤廉治 囲碁界だより」 學士會会報 No.927 2017-Ⅵ
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