yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

超光速粒子の観測実験に疑問

2012-02-28 06:53:07 | 科学
スイスのCERNにある国際共同研究グループOPERAは、昨年9月23日に「素粒子の一つ、ニュートリノが光速を超えて飛ぶ」という測定結果を発表しました。

ところが、去る2月24日の新聞には、「CERNはこの実験結果について、結果の信頼性を疑わせる二つの問題を確認したと、発表した」とありました。

問題の一つは実験で使う時計と、外部の時計を結ぶ光ファイバーケーブルの接続に不備があったことで、ニュートリノの飛行時間を過小に評価する効果があるという。もう一つは、実験
に使う時計を合わせる機器に不具合があり、こちらは飛行時間を過大にする効果があるというもの。

 これを読んだ私は、唖然としました。一流の科学者達の実験にして、なんと粗雑なものだったのでしょうか。100年間以上、物理学者達が信じてきたアインシュタインの相対性理論をくつがえす発見に挑むのでしたら、慎重の上にも慎重を期して取り組んで欲しいと思います。

偉そうな言い方になりますが、実験を行う場合には、それに用いるすべての測定器が校正されていなければなりません。これは測定の基本事項です。CERNの実験の場合には飛行時間を測定する測定系が、必要精度にまで校正されていなければなりません。校正とは真の値との誤差を求めることです。方法は明らかです。CERNから発射した光(または電波)が、イタリアの受信点で光速に相当する時間を観測すること、です。このように測定系が校正された後に、初めて実験に取りかかることができます。

 新聞紙上では、上記の校正を行ったという報道を、見たことがありません。抜かりは無いのでしょうが、正しい測定手順を尽くして信頼性の高い結論を出していただきたいと思います。
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負けっ振り

2012-02-25 06:50:30 | 将棋
野球や将棋などを戦う勝負師は負けっ振り、つまり負け方も重視します。野球の野村克也監督は、次のように言っています。「負けに不思議の負けはない。」負けたのには、そうなった理由があったはずだ、次回はそれを改善しよう、という意味でしょう。中畑清監督は「今回は負けたが、逆転を狙い続けた積極的なプレイが良かった。」次回につながる戦い方をしたと、プラス指向で反省していました。
負ける戦いにおいても勝負師は負け方にこだわるようです。8対4で負けそうな試合でも8対7にまで追いついて、相手が気を緩めた隙に逆転する、という負け方です。

将棋においても棋士は「形作り」という美的な終盤を目指します。たとえ負けても一手違いにまで追いつき、相手がミスをすれば逆転できる局面にまで持って行き、その後に負けを認めるという作法です。
また、負け方にも勝負師の個性と品格が現れるようです。
升田幸三元名人は、自分の読みに錯覚があれば潔く投了して、「錯覚いけない、よく見る
よろし」と言いながら上辺は平然としていました。
大山康晴元名人は、「助からないと思っても助かっている」と言いながら、最後まで粘り抜き、数々の逆転勝利を得ました。大山さんとの戦いには「終盤が二回ある」とまで言われました。
昨年のプロとアマが交流する将棋のイベントの際、プロ棋士は負けた時にどのようにするか、というインタビューをしたそうです。
谷川元名人は、「すごすご帰って、負けたのは何かの間違いだと信じ込む。」
三浦八段は「以前は徹夜で敗戦譜を並べたが身が持たなくなったので、いまはすぐ寝る。」
鈴木八段は「ヤケ酒が基本だが、時には自宅まで夜通しトボトボ歩く。」

人間ぽい答に、会場は暫しほのぼのとした笑い声に包まれたそうです。
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メタンハイドレート

2012-02-22 06:56:03 | 科学
メタンハイドレートは俗に「燃える氷」と呼ばれている物質です。日本近海の海底にも豊富にあります。メタン分子とそれを取り囲む水分子から構成されています。分子式はCH4・5.75H2O(メタン分子の周りに23個の水分子がありますが、水分子は4個のメタン分子が共有しています。)燃やしてもガソリンの半分しか炭酸ガスが出ないので、環境にやさしい燃料と言えます。メタンハイドレートは日本近海に多くあり、埋蔵量は天然ガス換算で約7.35兆立方メートルといわれ、日本が消費するエネルギー源として約96年分もあるということです。将来、枯渇すると想定されている石油に替わるエネルギー源として非常に期待されます。   海底約1000メートルもの深さにあるので、効率良く低コストで採取することがこれからの課題ですが、この方面の研究開発も精力的に進められているということです。また、この採掘技術を提供することを条件にして、海外の資源開発に参入することも可能と言われています。技術立国、日本に相応しい事業ではないかと期待され、うまくいけば、将来、日本が資源大国になることも夢ではありません。
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虎は死して皮を残す

2012-02-19 07:01:33 | 文学
「十訓抄」の第四に次の文があります。
虎は死して皮を残し、人は死して名を残す。

虎が死んでも後に美しい毛皮を残すように、人は死んだ後に名前を残すような生き方をすべきであるという教えです。

英語ではこう言います。
Live well and live forever
直訳は「立派な生き方をすれば永遠に生きることができる。」

将棋の田中寅彦八段が若い頃、同門の先輩、芹沢博文九段から葉書をもらいました。
そこに、書かれていたのは
「寅は死して何を残す! 皮か? 恥か? 不動産か?」
当時、田中寅彦八段は、将棋の傍ら、風水に凝っており、不動産の鑑定にも注力していたようです。そんな田中八段に、芹沢九段一流のブラック ユーモアを交えて、もっと強い将棋指しになれ、という激励のメッセージを送ったのでしょう。当時は直ぐにまともな答ができなかったそうです。田中八段は今、日本将棋連盟の理事として、普及活動に活躍しています。

さて、死して毛皮や名声を残すことは至難なことですが、東京上野公園に銅像となっている薩摩の西郷どんは、江戸城の無血開城を実現した英雄です。江戸の町を現在にまで残した功労者です。東京都民は亡き西郷隆盛に返しきれないほどの大恩を受けたと言えるでしょう。

           将棋世界 日本将棋連盟
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新学期

2012-02-16 07:32:58 | 文化
最近、秋入学を東京大学が提唱したことが話題になっております。そこで、日本の新学期の歴史を調べてみました。
江戸時代の寺子屋、私塾、藩校などでは特定の入学時期はなく、随時入学というおおらかなものでした。
さて、明治維新により西洋の教育が導入され、高等教育機関では9月新学期が主流になりました。1886年(明治19年)には富国強兵策の影響により、政府の会計年度も4月から3月となり、小学校も4月新学期になりました。旧制高校、帝国大学は9月新学期を維持していましたが、1919年には旧制高校が、1921年には帝国大学も4月新学期となりました。
こうして、日本においてはほとんどの新年度が4月開始となり、約100年間これを維持してきましたので、桜が満開になる頃、新学期を迎えるのがわが国では当たり前の光景となりました。
さて諸外国をみると、欧米諸国は9月、中国も9月。オーストラリア、ニュージーランドは2月、韓国は3月と様々です。しかし、9月新学期という国が圧倒的に多いので、今では9月新学期が世界標準のようになっています。
東京大学が世界標準に合わせて秋入学を打ち出したのには、このような背景もあると考えられます。産業界からは評価する意見もありますが、9月新学期の影響する所は大変大きいので、慎重な判断が必要とされるでしょう。
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ちょっと良い言葉

2012-02-13 06:50:18 | 文化
女優のIさんが座右の銘としている、ちょっと良い言葉を聞きました。Iさんは、「私は勝負することを仕事にしているわけではありませんが」と、ことわられた上でお話されました。下記の言葉を紙に書いて部屋や玄関などに書いて貼っておき、毎日見ているということです。

勝って驕るな負けて腐るな
人に優しく
人の痛みをわかる人に
自分自身を愛する

人として大切な心掛けを端的に述べた良い言葉だと思います。
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迂回通信

2012-02-10 08:33:38 | 文化
東日本大震災の時には電話もケータイ電話もつながりにくくなり、通信が大混乱しました。
特に首都圏においてはその弊害が顕著だだったということです。災害の時は特に通信が重要なのに、通信手段が不調になるのは困ったことです。地震で中継所が倒壊したり、中継所を機能させるための電力設備が壊れたというような直接的な原因ならば、通信不調の原因として理解できます。しかし、多くの人が一斉にケータイ電話を使ったために、通信設備が容量不足で対応できなかった、というのが通信不調の理由だとしたら、納得できかねます。通信を業務とする会社は、災害時においても多くの通信を可能にするような、余裕のある設備容量を準備しておくのが責務ではないかと思います。
それはそうとして、緊急時に通信不調に対応する手段として、迂回通信という手法があることを知りました。
たとえば首都圏内での通信が不能ならば、首都圏のMさんは一旦、地方のAさんに電話により伝言を託しておきます。(ただし、首都圏から地方への通信が可能であることが条件になりますが。実際それは可能な事が多いようでした。)一方首都圏のSさんは、地方のAさんに電話してMさんの消息を聞くことができます。これが、Aさんを中継とした迂回通信の内容です。たとえば、わが家では地方の親戚に伝言の中継所になってもらうことを依頼しております。また中継点は国内とは限らないようです。私の知人はアメリカに留学している家族を通信の中継点として、日本の家族間の無事を確認したということです。
また、東日本大震災の際には、インターネットが健在であったとの事です。考えてみれば、インターネットというシステムは迂回通信を利用した強力なネットワークです。すなわち、首都圏にいる私が、首都圏の知人にメールを送信した場合、このメールの信号は香港やアメリカを経由して相手に届くことがしばしばあるそうです。この時インターネットシステムは、通信量が少なく、つながりやすい経路を自動的に探して、大量のデーター信号を効率良く送っているそうです。ケータイ電話システムも、インターネットを手本にして、災害時にもダウンしない強靱なシステムを築いて欲しいと思います。
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勝負の神様

2012-02-07 06:39:33 | 将棋
将棋と囲碁とは親戚のようなものですが、将棋の天才、芹沢博文八段と囲碁界の最高峰に君臨した藤沢秀行名誉棋聖とは親交が厚く、ともに酒を愛し競輪を愛した仲です。そんな二人にまつわる武勇伝や逸話は数多くあります。
ある時、藤沢名誉棋聖が芹沢八段に問いました。
「芹ちゃん、オレたちは、はたして自分たちの生きている世界(囲碁、将棋界)をどの程度わかっているだろうか。全部を百とすれば、いかほどだろう?」
二人は、その答を互いに紙に書くことにしたそうです。
将棋界の鬼才は「六か七」と書きました。
一方の囲碁界の天才は「三か四」と書きました。
それを見た芹沢八段は、「オレはなんて思い上がっていたのだろう」と、恥じ入ったといいます。勝負の神様を百として、それと比べることを思いついた二人にも驚きました。その世界の天才たちが、三から七と一割にも満たない数字で己を認識していたのは、妥当なことかも知れません。藤沢名誉棋聖の数字を見て反省した芹沢八段も謙虚だと思います。

最近、コンピューターが将棋のプロ棋士に勝ったというニュースがありました。コンピューターも将棋の神様に少しずつ近づいていると言えるかも知れません。羽生善治永世名人が昔、語った言葉があります。
「チェスの世界で、コンピューターが強くなったということは、人間がそれだけチェスを理解できているということです。将棋のほうは、まだ真に強いコンピューターが作られていませんが、それは人間が将棋のことをまだ理解できていないことを意味しているんです。」
芹沢八段が謙虚に反省したのも頷けることです。

       大矢順正 「羽生善治 頭の鍛え方」 三笠書房
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足るを知る

2012-02-04 07:12:15 | 文学
知足、「足るを知る」は、『老子』(辯徳 第三十三)の最初にある文です。「足るを知る者は富む」とあります。「自分が置かれている今の状況に満足して感謝して生きる」ということ。そうするとどんな状況にあっても幸福感で満たされると言うことでしょう。
「自分が幸せだと思えば幸せ」ということだと思います。

次いで下記の文があります。
「人を知る者は智、自らを知る者は明なり。人に勝つ者は力有り、自らに勝つ者は強し。」
他人のことがよくわかる人はそれなりに知恵があるけれど、もっと上がある。それは自分の内面にある人間としての価値をきちんと認識している人です。自分のことがわかっていれば、ほかのあらゆることを見抜くことができる。これを聡明といいます。また、人と張り合って勝つ人は、そこそこ力がある。しかしもっと強いのは、私利私欲に走りがちな自分自身に勝つ人です。要するに聡明で克己心のある人は満足することを知っています。感謝を忘れることなく生きていれば、本当にゆたかな人生を送ることができるということでしょう。

        田口佳史 「老子の無言」 光文社
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うるう秒

2012-02-01 06:51:24 | 文化
今年は、4年に一度の閏年に当たりますから、2月が29日まであります。つまり今年は366日あります。昔、使われていた太陰暦では、3ケ年で1ケ月余(19年間に7回)の閏月がありました。慶応四年(西暦1868年)4月11日に江戸城の無血開城があり、その後、新政府軍は、北関東や東北や北越征討に向かいました。これが戊辰戦争の始まりです。ところで、慶応四年は閏月がありましたので、4月が2回ありました。すなわち、「4月」と「閏4月」とがありました。土佐藩の軍監、岩村精一郎と長岡藩の家老、河井継之助が小千谷の慈眼寺で会談したのは、なんと5月2日のことで、実質的には無血開城からほぼ3ケ月も後だったのです。
以上、4年に1回の閏年と、太陰暦における19年に7回の閏月のことを述べてきましたが、最近、うるう秒が話題になっています。
地球の自転は24時間周期ということになっています。しかし、海水が干満する時に海底と摩擦するために、実際には24時間より遅くなっており、1年で10万分の1秒だけ長くなっています。この自転の遅れを調整するために、今年の7月1日の午前8時59分59秒の後に1秒
を挿入する案が検討されました。この問題は、ジュネーブで開催されたITU(国際電気通信連合)で議論されました。アメリカ、日本、フランスなどはうるう秒の廃止を主張しており、イギリス、カナダ、中国などはうるう秒に賛成しています。僅かに1秒の話ですが、これを挿入するとなると、IT関連機器の設定をすべて変更することになるので、混乱が起きる可能性があり、その費用も膨大なものになり、商取引にも少なからぬ影響が予想されます。今回のジュネーブ会議では遂に合意ができず、結論が先送りされ、ITUの次回の総会が開かれる2015年以後に問題は持ち越されました。

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