yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

ハイエイジの心意気と「前向き」強調への懐疑

2018-02-27 07:02:30 | 文化
人生100年時代と言われ始めた今時、ハイエイジと呼ばれる人達がいます。ハイエイジは、60歳代、70歳代あたりを意味するシニア世代に比べると、やや年代が高く、例えば75歳以上で、積極的かつ健康で格好良く生きている世代のニュアンスがあるようです。趣味や仕事やボランティア活動などに生きがいを見出している人たちのように見受けられます。
「どんなに難しそうなことも、直ぐにやってみなさい。失敗しても他人の迷惑にはならないし、死ぬわけではない。」こういう心意気で、IT技術や、写真や絵や後進の指導に挑戦しているハイエイジがいます。
不肖も、意欲的なハイエイジの人達に少しでもあやかりたいものと思いますが、少し異なる見解を示す作家もおります。五木寛之氏は下記のように述べられています。
「誰もが前向きに生きるという考え方」にはどちらかと言えば懐疑的です。世の中には人とコミュニケ-ションをとるのが苦手な人もおれば、カラオケが嫌いな人もいる。そもそも積極的になるエネルギ-が萎えてしまった人、出かけるのも困難な人、そういう人はどうしたらいいのか。弱っている人や衰えている人に「積極的になれ、前向きにポジティブに生きろ」などというのは残酷なことではないかと思ってしまう。

  五木寛之「孤独のすすめ」 中公新書ラクレ



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行己有恥 論語

2018-02-24 07:23:58 | 文学
行己恥有」は、「論語・巻第七 子路第十三」にある言葉です。「己ヲ行ヒテ恥有リ」と読みます。

子貢問いて曰わく「どのような人を士というか。」子曰く「己を行なうに恥有り、四方に使いして君命(くんめい)を辱しめざるを士というべし。」「己を行うに恥有り」は「我が身のふるまいに恥を知り」というような意味です。

 「海軍五省」の一つであるという「言行に恥づるなかりしか」を思い起こします。
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春風 白居易

2018-02-21 06:11:20 | 文学
中唐の詩人、白居易の絶句を紹介します。

春風

一枝先発苑中梅
桜杏桃梨次第開
薺花楡莢深村裏
亦道春風為我来

一枝先ヅ発(ひら)ク苑中ノ梅
桜杏桃梨次第ニ開ク
薺花楡莢(ゆきょう)深村ノ裏(うち)
亦道(い)フ春風我ガ為ニ来ルト

「訳」
春風は宮中の庭の梅の一枝を最初に開花させ、ゆすらうめ・
あんず・桃・梨とだんだん花を開かせる。一方、山里では、なずなの花を咲かせにれのさやに吹きつける・だから、こちらのほうでも、わがために吹いてくれたと喜ぶのである。

「鑑賞」
桜は日本のさくらと同じではなく、ゆすらうめです。
白居易らしい平易な文字を使って春風の恵みをもたらして吹くことを詠っています。

「吟剣詩舞道漢詩集 続・絶句編」 日本吟剣詩舞振興会
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南洲翁遺訓

2018-02-18 06:31:21 | 文学
西郷隆盛が遺した言葉に「南洲翁遺訓」がありますが、その中からいくつかを紹介します。

十六「節義廉恥」を失ひて、国を維持するの道決して有らず。
二一 道は天地自然の道なるゆゑ、講学の道は「敬天愛人」を目的とし、身を修する克己を以て終始せよ
二五 人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手にして己を尽して人を咎めず、我が誠
   の足らざるを尋ぬべし。
二六 己れを愛するは善からぬことの第一也。修業の出来ぬも、事の成らぬも功に伐(ほ)
こり驕慢の生ずるも、皆自ら愛するが為なれば、決して己れを愛せぬもの也。
三十 命もいらず、官位も金もいらぬ人は始抹に困るもの也。此の始抹に困る人ならでは、艱難を共にして国家の大は成し得られぬなり。

上記の第十六項の「節義廉恥」は、武士道の根本とも言われています。
また、第二十一項の「敬天愛人」もよく知られています。


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別菫大 高適

2018-02-15 06:26:42 | 文学

盛唐の詩人、高適の七言絶句を紹介します。

菫大(とうだい)ニ別ル

千里黄雲白日暗
北風吹雁雪粉粉
莫愁前路無知己
天下誰人不識君

菫大ニ別ル

千里黄雲 白日暗シ
北風雁ヲ吹イテ 雪粉粉
愁ウル莫カレ 前路知己無キヲ
天下誰人(たれびと)カ 君ヲ識(し)ラザラン


「訳」

千里四方、黄色い雲が垂れこめ、日の光も薄れてきた。
北風が雁の群を吹き、雪まで舞い出した。
心配したまうな、行く手には友がいない、などと。天下に、君を知らぬ人などいるものか。


「鑑賞」
この詩は高適がまだ出世前で、辺境に従軍していた折の作と推測されます。 
菫大とは、琴をひく楽士の菫庭蘭のこと。前半二句は、荒涼とした辺塞の情景。
後半は友を送る情をうたう。楽士といえば、華やかな職業、しかも君を知らない人はいない、というほどの人物がどういうわけがあってのことか不明だが、こんな辺境をさすらうのであるから、そのみじめさはひとしおのものがある。
 高適は、渤海の人で、唐代詩人の中では稀に見る栄達者ですが、情に厚い人のようです。
 李白・杜甫とも親交があり、詩風は「高古豪壮」といわれます。

  石川忠久「漢詩のこころ」時事通信社    

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現代の名伯楽

2018-02-12 06:24:09 | 将棋
中国春秋時代に、孫陽・字(あざな)、伯楽という人物がいました。秦の穆公に仕え、馬の育成に功労があり、星宿、天馬の神仙(伯楽)にちなんで「伯楽将軍」の名を与えられました。転じて、名伯楽と言えば、スポーツなどで、後進の育成に優れた指導者を指します。

かつて、将棋界の名伯楽といえば、高柳敏夫九段でした。一門には、中原誠永世名人、芹沢博文九段等がいました。現代の名伯楽というと、藤井聡太五段を育てた杉本昌隆七段の名が挙げられるのではないでしょうか。杉本七段は、以下のように述べました。「私は指導者として自分の考えを弟子に押しつけないようにしています。藤井の才能をむしばむことは一切したくなかったので、彼が入門した当初は、プロの先入観や固定概念を植え付けることがないよう、あえて対局をしないようにしていました。弟子と接する時は信念を取り払い柔軟な心で接するようにしています。」将棋の天才を育てた師匠は才能を伸ばす環境を作る、先輩、後輩の区別をせず、弟子たちの間の和を大切にしたそうです。

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流水不腐 戸枢不螻

2018-02-09 06:19:02 | 文学
「流水不腐 戸枢不螻」は「流水腐らず、戸枢不螻(こすうろうせず)」と読みます。

流水不腐   
流れている水は腐ることがない。常に活動している者は停滞することがないという意味です。

戸枢不螻
「戸枢」は戸と柱をつなぐ開閉軸。常に開閉している戸は虫に食われることがないという意味です。

出典: 「呂氏春秋」季春記、尽数

人においても、身体をいつも活動させていると、血液やリンパ液がよく流れ、健康を保つことに効果的といわれます。運動が健康によいたとえです。
 

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極上のひまつぶし

2018-02-06 06:35:21 | 文化
ある雑誌の元・編集長であった島地氏が若い頃、天台宗の僧侶で作家の今東光氏(1898~1977)に「大僧正。人生って、一言でいったら何なんですか」と質問しました。今東光氏は次のように答えました。

「今日は気分がいいから教えてあげよう。人生はな、冥土までの暇つぶしや。だから極上の暇つぶしをせにゃあかんのだ。」
 それを聞いて、島地氏は、「以後、すっかり生きることが楽になった」と言います。

人生を語るのに、「ひまつぶし」という語は、露悪的とか自虐的なニュアンスがあります。
 ところで、「極上のひまつぶし」とはどういうものか、これが難しい問題なのではないでしょうか。
 政治、宗教、学問、文学、芸術、芸能など、分野により目指す所は異なると思いますが、困ったり苦しんだりしている人や社会を救ったり支援することが、今東光氏流の「極上のひまつぶし」の一つではないかと愚考します。

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江雪 柳宗元

2018-02-03 06:33:55 | 文学
唐の詩人、文章家の柳宗玄の五言絶句を紹介します。

江雪

千山鳥飛絶
萬徑人蹤滅
孤舟簑笠翁
独釣寒江雪

千山鳥飛ブコト絶エ
萬徑(ばんけい)人蹤(じんしょう)滅ス
孤舟簑笠(さりゅう)ノ翁
独リ釣ル寒江ノ雪

「訳」

多くの山々に飛ぶ鳥の姿もなく、道という道は雪にうずもれて人の足跡もなくなってしまった。雪にとざされた中に一そうの小舟を浮かべて、簑と笠をつけた老人が、寒々とした川で釣り糸をたれている。

「鑑賞」

まるで一幅の墨絵の世界にいるような詩です。

  「吟剣詩舞道漢詩集 続 絶句編」 日本吟剣詩舞振興会 
   
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