yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

2倍と2乗

2024-01-25 06:00:51 | 科学
数を2倍した時と2乗した時、等しい値になる数は何でしょうか。
2がそれに該当すると思いつく方が多いと思います。それが正解でしょうか。方程式を立ててみます。

 2Xa= aXa    ①
  a=2     ②

① 式において両辺をそれぞれaで割ると a=2 が導かれます。2が正解の一つなのですが、念を入れてみると、a=0 でもいいのです。

上で①から②に進む時に両辺をaで割っていますが、これはaが0でない時にのみaで割ることができてa=2が導かれます。a=0 も①式の正解です。

すなわち、この問題の正解は2と0 でした。

      鶴崎修功 「カジュアルな算数・数学の話」クラ-ケンラボ


 




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アト秒

2023-10-08 05:49:35 | 科学
今年のノ-ベル物理学賞には、「アト秒」と呼ばれる極めて短い時間だけ光を出す実験的手法を開発し、物質を構成する粒子の一つ、「電子」の動きを観察する新たな装置を開発した、欧米の3人が選ばれました。
「アト秒」という馴染みの薄い語に注目しました。下の図は、国際単位系(SI)に於ける単位の接頭語です。3乗ごとに区切られています。「アト」は10のマイナス18乗を示します。小さいほうでは、マイクログラム、ナノメ-タ-については聞いたことがあります。また大きいほうでは、キログラム、メガバイト、テラバイトを聞いたことがあります。学問、技術の発達とともに、従来と異なる極微、巨大な数値が必要になってきます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

 数学研究の意味

2023-08-09 05:51:26 | 科学
世に数学の難問は色々あります。円周率を何桁も求めること、巨大素数を  
   求めることなどで、人類は今も挑戦を続けています。コンピュ-タ-の進歩により、円周率は100兆桁、巨大素数は2342万9425桁まで求められました。
   これを上回る巨大素数を求めると、10万ドルの懸賞金を与えるという人まで現れています。
    ところで、これらを求めて何の役に立つのかという疑問も湧いてきます。巨大素数は現代の文明を支えている情報技術分野で暗号の生成に必要なのだそうです。
また、難しい数学の難問を解いている時に、ふと疑問も湧いてきます。
     何でこんなことをやらねばならないのか、将来一体、役に立つのであろうかと。

     数学者の藤原正彦氏は、「数学者の言葉では」という著書の中に下記のこと を書いています。
      「役に立たない」というのは、「価値がないということではない」と、した上で、狡猾な答であるかも、と慎重です。「価値がないということではない」ということは、価値がないことを否定しているだけで、価値があるとは言っていません。価値があると言い切ってしまうと「どんな価値があるのか」という新たな追求が始まるでしょう。さらには「価値とは何ぞや」という難しいことにも発展しそうです。故に、あいまいな言葉で妥協を計っている狡猾な答だと、氏は謙遜されています。
フランスの有名な数学者、ポアンカレ-は、「真理の探究こそが人類の目標である。数学はそれを達成する手段の一つである」と、喝破しています。単純明快な答です。
       不肖は以下のように考えています。数学の勉強は論理的思考方法を身につける修練の場である。現に数学研究の進化は、物理学・工学・化学の進歩の基盤となっています。
       アインシュタインの相対性理論は、リ-マン幾何学、テンソルなどの高等数学を駆使して記述され、成り立っています。また、微分積分、フ-リエ変換、複素数、群論などの数学の発見と応用は、工学の進歩にも大いに貢献しています。
       
         藤原正彦「数学者の言葉では」 新潮文庫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

135億年前の星

2023-04-26 06:24:06 | 科学
 138億年以前にビッグバンがあって宇宙が誕生したといわれています。宇宙の年齢は138億年とされていました。しかし、宇宙創成から約3億年後に生成した銀河を観測できた、というニュ-スには驚きました。(下 写真)
この快挙は、NASAが開発したジェ-ムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡と、それを利用した国際研究チ-ムの成果であり、このチ-ムには日本からも東京大学の播金(はりかね)優一助教等が参加しているそうですが、どのように135億年前に生まれた星が観測できるのか不思議に思いました。
調べてみたら、光のドップラ-効果により、遠方から飛んで来る光ほど波長が長くなる、すなわち赤く見える赤方偏移という物理現象があります。ジェ-ムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はハッブル宇宙望遠鏡の後継機であり、赤方偏移を精密に測定できることを特長とする野心的な望遠鏡だそうです。この観測により、ビッグバンが138億年前にあったこともほぼ確実になったのではないでしょうか。 



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

和算 八円 問題

2023-01-31 06:14:13 | 科学
江戸時代、和算といわれた数学が発達し、庶民や武士も難問に挑戦していました。数学の問題の解答方法が見つかるとそれを額にして神社などに奉納しました。これを算額といいます。例えば、三重県の神社で見つかった算額には下のような図が描かれています。大、中、小 8個の円と外接円です。設問は、「外接円と大円の半径の比率を求めよ」です。
江戸時代の1844年に清水忠治という人が解を発見し、それを川島神明神社に算額として奉納しました。
 2021年11月、NHKの「歴史探偵」という番組で、この算額が紹介されました。番組の中では、京都大学の理系の学生8人がこの問題に挑戦しましたが、制限時間、2時間以内に解いた学生はいませんでした。不肖も挑戦しました。ようやく、最近になって求解に成功しました。恥ずかしながら、放送のあった2021年11月から14ヶ月も経過していました。我ながら諦めることなく、よくぞ粘ったと思いました。 
 求めたい比率、kに対して √k=Xとおいて

解は下の3次方程式の根の一つです。

 
Xに0.64を代入すると、上の3次方程式の根になっています。


外接円と大円の半径の比率は、0.41ですが、これは図面に物差しを当てて
測定してもわかります。一方、0.64を二乗すると確かに0.41になります。

なお、3次方程式の根は、通常3個あります。インタ-ネット上の計算サイトを利用して3次方程式の根を求めましたら、0.64と-1と-0.39の3個を求めることができました。負の数値は無意味ですから、0.64が唯一の解答となります。
結果論ですが、-1が根の一つである事を利用すると、3次方程式は(X+1)で因数分解できるので、3次方程式は、下記となります。
          


2次方程式の部分を解くとテレビ画像図面中の江戸時代の解(9+√17)/32

が得られました。


比率k, 外接円の半径をR, 大、中、小の円の半径をそれぞれ、X,Y,Zとしますと未知数は5個になります。一方、図面の中から直角三角形を4個見つけ出し、ピタゴラスの定理を適用すると合計5本の方程式がそろいます。勿論、この中にX/R=kという式もあります。 
計算途中に Y/R=(1-k)/2 Z/R=k/(2√k-k+1) 等の式が現れます。


これらの方程式から未知数を消去してkのみの方程式を導くと、上記の3次方程式が得られました。江戸時代の地方人がこれと同じような事を実行したのは立派であり、江戸時代の数学(和算)が高度な事に驚きました。(参考:下 写真、テレビの画像)

 小川束 「和算」 中央公論新社







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2倍と2乗

2023-01-22 06:18:20 | 科学
数を2倍した時と2乗した時、等しい値になる数は何でしょうか。
2がそれに該当すると思いつく方が多いと思います。それが正解でしょうか。方程式を立ててみます。

 2Xa= aXa    ①
  a=2     ②

① 式において両辺をそれぞれaで割ると a=2 が導かれます。2が正解の一つなのですが、念を入れてみると、a=0 でもいいのです。

上で①から②に進む時に両辺をaで割っていますが、これはaが0でない時にのみaで割ることができてa=2が導かれます。a=0 も①式の正解です。

すなわち、この問題の正解は2と0 でした。
 

      鶴崎修功 「カジュアルな算数・数学の話」クラ-ケンラボ


 



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

135億年前の星

2022-04-10 06:29:13 | 科学
138億年以前にビッグバンがあって宇宙が誕生したといわれています。宇宙の年齢は138億年とされていました。しかし、宇宙創成から約3億年後に生成した銀河を観測できた、というニュ-スには驚きました。(下 写真)
この快挙は、NASAが開発したジェ-ムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡と、それを利用した国際研究チ-ムの成果であり、このチ-ムには日本からも東京大学の播金(はりかね)優一助教等が参加しているそうですが、どのように135億年前に生まれた星が観測できるのか不思議に思いました。
調べてみたら、光のドップラ-効果により、遠方から飛んで来る光ほど波長が長くなる、すなわち赤く見える赤方偏移という物理現象があります。ジェ-ムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はハッブル宇宙望遠鏡の後継機であり、赤方偏移を精密に測定できることを特長とする野心的な望遠鏡だそうです。この観測により、ビッグバンが138億年前にあったこともほぼ確実になったのではないでしょうか。 


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地球の自転は1年に何回か

2021-05-11 06:06:48 | 科学
「地球は1年に何回自転するか」というクイズ問題があります。実は。日頃この答をあまり考えたことがないのですが。1年の日数である365回と、うっかり答えると失敗なのです。正解は366回です。(地球の自転365回プラス太陽の周りの公転1回、合計366回)
 地球は太陽系の惑星として、太陽を中心に公転しています。公転の開始を太陽が正面に来た時、終了を公転軌道を一周して再度太陽が正面に来た時とします。1年後の正午と言ってもよいかもしれません。このとき、太陽の回りを公転で大きく1周してきたので、自転は1回余計に必要です。つまり、1年間に地球は365日をかけて、366回転して太陽のまわりを回ったのです。
 「そんなぁ」と思いますよね。「どこで1回余計に回ったの?」と疑問をもつかも知れません。
 調べてみましょう。実は地球の自転周期は約23時間56分なんです。
 「え! 1日は24時間じゃないの?」
 1日を24時間と決めたのは太陽が真南を通過してからまた真南に戻ってくるまでの「太陽日」という考え方で、これを1日として24時間と決めているのです。だって、そのほうが生活には便利ですからね。
 実際には、地球は隠れて(ということもないですが)1日に4分余計に回って(自転して)太陽を正面に見ているのです。せっかく1回転(自転)したのに、自分が公転した分、太陽は少し後ろ(東)に行ってしまったのです。だから、4分多く回って正面に持ってくるのです。これが私たちの「1日」で24時間なのです。4分×365日=1460分(24.33時間)からもわかります。

 



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

捕雷役電、澁澤元治先生(再掲)

2021-04-14 07:08:02 | 科学
東京大学の工学部、電気工学科の会議室に「捕雷役電」という木彫りの額が掲げられています(写真下)。これは、明治44年に澁澤先生が博士の学位を授与された時、孝子夫人の父で法学者の穂積陳重(ほづみのぶしげ)教授が澁澤元治(もとじ)先生に贈った額ですが、後の昭和15年、先生から電気工学科に再度、寄贈されました。これは電気を社会の役に立てる事を祈念されての言葉です。実際には、雷の電気は数100万ボルトの高電圧ですが、継続時間が僅かに数10マイクロ秒なので、仮に雷を捕まえたとしても、電力としては数kWh程度にしかならず、実用に供する程の量ではありません。しかし雷の性質を把握して、雷の位置の標定をしたり、雷からの防御方法や電気設備の耐雷設計手法を研究することは、ベンジャミン・フランクリンの凧上げ実験の時代(1752年)から今日に至るまで250年以上に亘って重要研究課題であり、幸い私もこうした研究の一端に関わることができました。
「捕雷役電」は鳳誠三郎教授によれば「雷電ヲ捕役ス」と読むのが正しいのだそうです。下の写真にありますように、雨かんむりの下に田を三つ書くのが雷
の本来の字です。これは回転する様子を表現したものでゴロゴロと鳴る音のことだそうです。また電の旧字は雨かんむりの下に申と書きますが、申の縦棒は稲妻のことを示しているのだそうです。従って雷の音と稲妻を併せて雷電と使うのが正しいようです。雷のことは「いかづち」とも言い、「震」や「霆」や「霹靂」とも書きます。「震」は大地や空気を震わせながら雷が落ちてくる様を、「霆」は主として雷のとどろきのことを言います。青天の霹靂に使う「霹靂」は稀に起きる激しい雷現象というような意味だそうです。

 渋沢先生(1876-1975)は埼玉県生まれで、有名な実業家澁澤栄一の甥にあたりますが栄一にとっては実の息子同然の存在でした。彼は大学を卒業した後、一旦は日本の企業に勤めましたが、自分の欲する道とは異なると考えていました。彼の目標は日本の産業と社会を電力により発展させ、全ての人に電気の恩恵を行き渡らせることでした。そこで退社して後にヨーロッパに渡り、ドイツのシーメンス社やスイスのチューリッヒ工科大学に留学し、スイスの水力発電を学んだりしました。次いでアメリカのGE社の訪問も果した上で帰朝しました。
その成果を生かして渋沢は日本の水力発電の開発に注力し、また逓信省の技師として活動していましたが、東京大学の鳳秀太郎(ひでたろう)教授(電気工学の泰斗であり、与謝野晶子の実兄)の薦めで東京大学の電気工学科に招聘され、大学での研究教育活動に携わりました。それと共に電気界、電力界に多大の貢献をされました。その功績を記念して渋沢賞などの制度も設けられました。また電気学会の会長を務める他、名古屋帝国大学の初代の総長にもなりました。
 渋沢先生は、常々「和ヲ以ツテ尊シト為ス」と言われた温厚な指導者でした。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

 地球の大きさと伊能忠敬(再掲)

2021-01-25 19:55:56 | 科学
地球の大きさを世界で初めて求めたのはギリシャのエラトステネス(BC276-BC196)です。エラトステネスは数学・天文学・地理学者です。当時、ギリシャでは既に地球は丸く、球であることが認識されていたということは驚ろくべきことです。紀元前230年頃、まず、エラストテネスはアレクサンドリアからシエネまでの距離を歩幅と歩数から900スタジアであることを求めておりました。1スタジアは当時のギリシャにおける長さの単位です。人が2分間に歩く距離で約180mに当たります。次にアレクサンドリアとシエネの両地における太陽の南中高度の差、7.2度から900X(360/7.2)=250,000スタジアと計算しました。この距離は、今日で言う45,000kmです。この値は現在、知られている、地球の周囲の長さ40,000kmに比べて、誤差は僅かに約10%ですから、すばらしい成果だと言えます。
 地球の周囲の長さが40,000kmというのは学校で学びましたが、これは、1mという長さの根拠になっています。フランス革命の頃、パリを通る経線に沿って、
赤道から北極の距離、10,000kmの1千万分の1を1mとすることが決められました。
 実際の地球は真球ではなく、赤道半径(地球の中心から赤道面までの距離)は6378.4km、極半径(地球の中心から極までの距離)は6356.9kmであり、極半径の方が若干短いという事は、真球よりやや扁平につぶれた形をしているということです。ところで世界の長さの基準となるメートル原器という物が、長い間パリに保管されて来ました。しかし、あらゆる物質は経年変化をするので、現在では物理現象から長さや時間の基準を定められています。

 さて、日本で最初に地球の大きさを決めたのは、幕末の頃の伊能忠敬です。
 伊能忠敬(1745-1818)の生家は漁師でしたが、長じて下総佐原の造り酒屋を継ぎ、財をなしました。50歳で隠居して、家督を子供に譲ったあと江戸に上り、幕府の天文方暦局に入って学問に没頭し、幼い頃からの夢であった天文学の研究にも携わりました。彼は当初、暦局がある浅草と自分の家がある深川から北極星を観測して、緯度の差が0.1度であることを求め、浅草と深川の間の距離が2kmあったことから地球の円周を計算しました。ところがその値は誤差が大きくて信頼できないと、天文方の上司に一笑に付されてしまいました。そして「せめて、江戸と蝦夷くらいに離れた場所で観測しなければ正確な値が得られないであろう」と言われました。そこで忠敬は日本地図を作成するための測量をしながら、江戸から蝦夷地まで行くことを思いたち、56歳から測量の旅を始めました。それから蝦夷まで行って観測を続けて緯度1度が111kmであることを求め、これから地球の大きさを39,960kmと計算しました。現在知られている40,000kmに対しての誤差は、僅かに1/1000という驚異的な結果でした。
忠敬は71歳で、ほぼ地図を完成させましたが、これが「大日本沿海輿地全図」であり、その後昭和の時代まで100年に亘って使用された、いわゆる「伊能図」です。しかもこの図は彩色された美しいものでした。これを完成させるまでに忠敬が歩いた長さは、奇しくも地球1周分でありました。幼い頃の夢を生涯持ち続け、日本地図に結実させた熱意と努力は誠に偉大であったと思います。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする