宋代の詩人、蘇軾の漢詩です。
澄邁(ちょうまい)驛ノ通潮閣
餘生欲老海南村
帝遣巫陽招我魂
杳杳天低鶻沒處
青山一髮是中原
餘生老イント欲ス海南ノ村
帝巫陽(ふよう)ヲシテ我ガ魂ヲ招カシム
杳杳(ようよう)トシテ天低(た)レ鶻(こつ)沒スル處
青山一髮是レ中原
「訳」
私は、もはや余生をこの海南の村で過ごそうと心に思っていたのだが、天帝が巫陽に私
の魂を呼びもどすようお命じになった。
はるかに遠く大空は水平線の彼方にたれて、そこにははやぶさの姿がかき消える。
ひとすじの髪の毛のように細く連なる山なみ、あれこそ中国の地だ。
「鑑賞」
蘇軾は海南島」で死ぬ覚悟をしていましたが、皇帝・徽宋(きそう)が即位すると、党派抗争を緩和するために旧法党の官僚をも用いるような状況に変わりました。65歳の春、蘇軾は簾州安置に移されるとの命をうけました。思いもかけぬ中国本土への帰還でした。海南島の北岸、澄邁駅まで来て、対岸を望み見ました。「青山一髮是れ中原」万感をこめてうたいきりました。そして秋に、自由の身となり、翌年、常州に落ち着きますが、七月、病のため他界しました。浮沈の生涯66年の間に、その足跡は中原から海南島まで中国全地に及び、それは歴代詩人中、随一でした。
高級官僚にして、大詩人、蘇東坡の絶唱です。
石川忠久 「NHK漢詩紀行(二)」 NHK出版
澄邁(ちょうまい)驛ノ通潮閣
餘生欲老海南村
帝遣巫陽招我魂
杳杳天低鶻沒處
青山一髮是中原
餘生老イント欲ス海南ノ村
帝巫陽(ふよう)ヲシテ我ガ魂ヲ招カシム
杳杳(ようよう)トシテ天低(た)レ鶻(こつ)沒スル處
青山一髮是レ中原
「訳」
私は、もはや余生をこの海南の村で過ごそうと心に思っていたのだが、天帝が巫陽に私
の魂を呼びもどすようお命じになった。
はるかに遠く大空は水平線の彼方にたれて、そこにははやぶさの姿がかき消える。
ひとすじの髪の毛のように細く連なる山なみ、あれこそ中国の地だ。
「鑑賞」
蘇軾は海南島」で死ぬ覚悟をしていましたが、皇帝・徽宋(きそう)が即位すると、党派抗争を緩和するために旧法党の官僚をも用いるような状況に変わりました。65歳の春、蘇軾は簾州安置に移されるとの命をうけました。思いもかけぬ中国本土への帰還でした。海南島の北岸、澄邁駅まで来て、対岸を望み見ました。「青山一髮是れ中原」万感をこめてうたいきりました。そして秋に、自由の身となり、翌年、常州に落ち着きますが、七月、病のため他界しました。浮沈の生涯66年の間に、その足跡は中原から海南島まで中国全地に及び、それは歴代詩人中、随一でした。
高級官僚にして、大詩人、蘇東坡の絶唱です。
石川忠久 「NHK漢詩紀行(二)」 NHK出版
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