yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

川崎尚之助

2013-04-29 06:42:31 | 歴史
NHKで現在、大河ドラマ「八重の桜」が放映されていますが、これを契機にして会津についての歴史研究が進んでいると、「朝日新聞」が報じていました。(平成25年4月15日 夕刊)。山本八重の最初の夫、川崎尚之助(かわさきしょうのすけ)については、特に研究が進んだということです。川崎尚之助は、鶴ケ城籠城戦の頃、逃亡したという説が従来ありましたが、これは間違いであったようです。元会津若松市立会津図書館長の指摘によれば、会津藩士の名簿(1865年5月付け)に「大砲方頭取、川崎尚之助」とあり、会津戦争の後に東京で謹慎となった藩士の名簿にも川崎の名があって、彼が戦争を戦い抜いたことが判明しました。尚之助は謹慎の後、青森の斗南藩に移住して会津のために働き、明治8年3月20日に函館で病没しました。享年40歳。兵庫県・豊岡市・出石町の願成寺にある川崎家の菩提寺の「墓石明細簿」にも同じ命日が記されており、「川光院清嵜静友居士」という戒名が書かれています。戒名に「川崎」の文字があることからも、尚之助と同一人物と思われます。尚之助は出石藩(いずしはん)の出身でありながら、最後まで会津の一員として奮闘しました。彼は斗南藩で収穫された大豆の売却におけるトラブルに巻きこまれましたが、責任を一身に背負って亡くなった人であり、義に厚く誠実な人物でした。新たに判明した史実は大河ドラマにも反映されるということです。川崎尚之助が他界した翌年の1月に山本八重は新島襄と再婚しています。
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将棋 電王戦

2013-04-26 06:28:24 | 将棋
パソコンと将棋のプロ棋士が戦う将棋電王戦という棋戦があります。パソコンの将棋ソフトを開発している人(および大学で人工知能を研究している人)と、「多くの人に将棋に興味をもって欲しい」という日本将棋連盟の意図が一致して開催されました。この棋戦の結果は、その夜のテレビの全国放送で報道されるまでになりました。

昨年(2012年)に第1回電王戦が開催され、故・米長邦雄元将棋連盟会長と将棋ソフト「ボンクラーズ」が対戦し、将棋ソフトが勝利をおさめました。

先日、行われた第2回電王戦は5対5の団体戦でした。結果は次の通りでした。
 第1局 阿部光瑠四段 ○ 対 習甦(しゅうそ)   
 第2局 佐藤慎一四段 ● 対 ポナンザ 
 第3局 船江恒平五段 ● 対 ツツカナ 
 第4局 塚田泰明九段 △ 対 プエラα 
 第5局 三浦弘行八段 ● 対 GPS将棋
ここでは、コンピューター側の3勝1敗1引き分けで、コンピューターの勝ちとなりました。コンピューターが現役のプロ棋士に初めて勝利をおさめた画期的な出来事でした。尚、GPS将棋は、昨年の「世界コンピューター将棋選手権」で優勝した戦績がありました。

第5局では、三浦八段は「悪手を指していない」と言っているにもかかわらず、敗れたことに私は衝撃を受けました。
電王戦を全部通して見た訳ではありませんが、対局条件の中の持ち時間について、大いに「不公平感」を懐きました。
第2回電王戦の持ち時間は、パソコン、棋士、各々4時間でした。対局終了時の残り時間は、棋士が約5分、コンピューターが約2時間でした。  
第5局に登場したGPS将棋のマシン(アップルのパソコンimacなどで構成)は689台を結合したオバケみたいな物で、1秒間に2億5千万手を読めるということです。対戦した三浦弘行八段は、プロ棋士の中では大将格ですが、人間ですから、失礼ながら1秒に2億5千万手を読むことは難しいのではないかと推察します。689台のマシン群と人間の持ち時間が同じというのは、いかにも不公平に思われます。1対1で戦うという勝負の原則を適用してマシン側の持ち時間を考えてみました。今回の持ち時間、4時間をパソコンの台数で割るのが公平であるとして計算しますと、4X60X60÷689=20.9秒となります。マシン側の持ち時間は20.9秒を切り上げて1分程度とするのが公平なのではないでしょうか。
強いパソコンソフトの開発はこれからも続くと思われます。これは人工知能の研究分野における一つのテーマだということですから、それは結構なことです。しかし、いわゆる器械が人間と対戦して勝ち負けを争うことに、積極的な意義を見いだすのは難しいような気がします。もっとも、棋士の能力をコンピューターに換算した場合、どれだけの思考速度と記憶容量を持っているかが解明されることに関して、私は大いに興味があります。
チェス界については詳しくありませんが、この世界では既にコンピューターがチェスチャンピオンより優位にあることが定説のようであり、今や人間とコンピューターの対戦については、あまり注目されなくなっているということです。
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広瀬淡窓 桂林荘雑詠

2013-04-23 06:39:02 | 文学
広瀬淡窓は江戸時代末期の学者、詩人(1782~1856)。豊後、日田の人。弟、旭荘とともに有名です。漢詩、七言絶句 「桂林荘雑詠諸生に示す」を紹介します。

桂林荘雑詠諸生に示す

休道他郷多苦辛
同袍有友自相親
柴扉暁出霜如雪
君汲川流我拾薪

道(いう)ヲ休メヨ他郷苦辛多シト
同袍友有リ自ラ相親シム
暁ニ柴扉ヲ出ヅレバ霜雪ノ如シ
君ハ川流ヲ汲メ我ハ薪ヲ拾ハン




他郷へ出て勉学するのはつらいなどと言いたもうな。着物を共にする友もでき、仲よく暮らすようになるのだ。朝早く、柴の扉を開けて外に出れば、雪のように霜が降りている。さあ、炊事のしたくだ。君は川に水をくみに行きたまえ、僕は薪を取りに行こう。

昔の塾には、故郷からはるばる名高い先生のもとへやって来ました。そういう塾生を励ますために作られた詩です。励ますといっても、只「勉強しろ、元気を出せというのでは、不十分です。塾の生活の春夏秋冬、朝昼晩、いろいろな場面において最も印象的な一コマを切り取っています。冬の朝の炊事の支度の場面です。吐く息も白く見える冬の朝、外はまっ白に霜が降りています。その中を、柴の戸を開けて走り出る、という転句の描写により、ピーンと張りつめた厳粛な雰囲気と爽快な気分が見事にとらえられています。「君は川の水くみ、僕は薪とり」と何の趣向もなく賦して、結句が共同生活の真情をとらえてすばらしい漢詩です。

 「吟剣詩舞道漢詩集(絶句編)」 日本吟剣詩舞振興会編
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違和感のある用語

2013-04-20 05:56:18 | 文学
テレビを見ていると、時々、違和感のある用語を聞きます。(違和感を懐くのは私だけかも知れませんが。)

歌謡番組などで歌手と歌を紹介する場面。
「石川さゆりさんで津軽海峡冬景色」と紹介する司会者がいます。何と安直な日本語でしょうか。「で」は、場所などの名詞につける助詞です。石川さゆりさんは歌手であって、場所ではないのです。上記の言い方は間違っているばかりではなく、石川さんに対して失礼ではないでしょうか。正しい言い方は、「綾小路きみまろ」さんに聞くのが一番いいようです。多分、次のように言うのではないでしょうか。
「次は、石川さゆりさんが心をこめて歌います。津軽海峡冬景色をどうぞ」

さて、「録画映像」のことを、よくVTRと言う人がいます。VTRはVideo Tape Recorderの事ですが、今時、ビデオ・テープが広く使われているとは思えません。今はデジタルの時代ですから、CDやDVDなどのデジタルメモリーを使うのが一般的でしょう。テープを連想する「VTR」を使うのはおかしいと思います。少し長いですが「録画映像」、または「録画」と言うべきではないでしょうか。
いやしくもマスメディアに出演するのは、公の場所に出るということです。正しい言葉を使う勉強と気配りをもっと心掛けて欲しいものです。

それから、「くびちょう(首長)」という日本語はありません。「しゅちょう」ならば良いのですが。また、民間会社から検査にきた人を「検査官」と呼ぶのは間違い。「官」は公務員に限ります。裁判官、検察官、審査官などと国家公務員によく使います。「代議士」は衆議院議員だけを指す名詞です。
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将棋指しの流儀

2013-04-17 06:38:49 | 将棋
将棋のプロ棋士には、棋風を表すニックネームのような流儀名がついています。

中原誠永世名人  自然流
米長邦雄永世棋聖  さわやか流(または、正反対とも思える泥沼流)
内藤國雄九段   自在流(空中戦が得意)
有吉道雄九段   火の玉流(激しい攻め将棋)
谷川浩司永世名人 光速流(光速の寄せ)
大内延介九段   怒濤流(厳しい攻め)
丸山忠久九段   激辛流 (手堅い)
中村修九段    不思議流 (「受ける青春」などとも言われる)
久保利明九段   捌きのアーチスト(芸術的な駒の捌き)
南芳一九段    地蔵流(正座で寡黙)
高橋道雄     地道高道(手堅い)
森内俊之名人   鉄板流(強靱な受け)
佐藤康光九段   緻密流(深い読み)
郷田真隆九段   剛直流  
屋敷伸之九段   忍者流(奇想天外な指し手)
佐藤大五郎    まきわり流(豪快な攻め)
淡路仁茂九段   不倒流(長手数の美学)
羽生善治永世名人 泰然流(羽生マジック、羽生にらみ)
森 雞二 九段   終盤の魔術師
木村一基八段   千駄ヶ谷(日本将棋連盟の所在地)の受け師
その他、しぶとい「大山流」とか、豪快な「升田流」、「妖刀」の花村とか原田の「玉損の攻め」というのもあります。

棋士各々の棋風やくせを端的に表現しています。
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水馬

2013-04-14 06:08:22 | 文化
水馬は難読漢字ですが、「あめんぼ」と読みます。アメンボは足を広げて水面を器用に泳ぐ昆虫で、嘗ては池や小川でよく見ることができました。また、あめんぼは「盛夏」の季語です。
さて、水馬(すいば)は、馬に乗って川を渡るもので、江戸幕府の年中行事の一つでした。馬川渡、馬渡ともいわれました。6,7月頃、田安、一橋、清水家のご三卿付きの家士が出動して、馬に乗ったまま隅田川を対岸まで渡りました。熟達者は甲冑を着て渡ったそうです。八代将軍、徳川吉宗も上覧しました。なお、会津藩の藩校、日新館には水練水馬池がありましたし、旧日本軍の騎兵科でも、水馬訓練が行われたということです。
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奥村善久教授

2013-04-11 06:08:30 | 科学
 金沢工業大学の奥村善久名誉教授(86歳)は、工学のノーベル賞とも呼ばれるアメリカの「チャールズ・スターク・ドレイバー賞」に選ばれ、2月19日にワシントンで授賞式がありました。自動車電話や携帯電話ネットワークの基礎を作った功績が評価されたもので、日本人研究者としては初の受賞でした。奥村氏は1960年代、旧日本電信電話公社(NTT)で自動車電話や携帯電話の電波が樹木や建物などから受ける影響を研究しました。その成果は現在も、携帯電話基地局の効率的な配置に役立っています。また、NTTが1979年に、世界に先駆けて本格的な自動車電話網を実用化した時に使われた「セルラー方式」と呼ばれる技術の開発にも貢献しました。(朝日新聞より)
ノーベル賞は、学問といえば、哲学や神学が優位と考えられたヨーロッパが主管していますので、実学である工学賞はありません。今後は工学分野も世界的に認知された表彰が行われることを期待したいと思います。日本は工学の分野でも世界的に大きな貢献をしているのではないかと思われますので。
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川柳

2013-04-08 07:05:45 | 文学
川柳は俳句と同じく、五・七・五の定型詩ですが、滑稽味があるのが特徴です。また俳句のような季語が無く、自由律です。切れ字の制限もなく、字余りや句跨りや破調も許されています。
江戸時代の俳人、柄井川柳が選んだ句の中から呉陵軒可有が選出して「俳風柳多留」を刊行し、盛んになったことから「川柳」と呼ばれるようになりました。おかしみ、人情の機微、細かい心の動きを表現しているのが特徴です。

ここでは、最近、爆笑したシルバー川柳を紹介します。

誕生日 ローソク吹いて立ちくらみ
目覚ましのベルはまだかと起きて待つ
未練ない言うが地震で先に逃げ
老いの恋 惚れる惚けるも同じ文字
自己紹介 趣味と病気をひとつずつ
「こないだ」と五十年前の話する
改札を通れずよく見りゃ診察券
起きたけど寝るまでとくに用もなし
なあお前はいてるパンツ俺のだが
名が出ない「あれ」「これ」「それ」で用を足す
目薬を差すのになぜか口を開け

 「シルバー川柳」有料老人ホーム協会、ポプラ社
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「実在」の認識

2013-04-05 16:30:43 | 文化
物理学や哲学の分野でしばしば論じられてきた問題の中に、次のようなものがあります。
「人間はさまざまな測定機器や、数式を含めた理論を作りあげ、生身では知覚できないような物質の構造や宇宙の歴史などについて理解を深めてきたが、結局のところ、実在(真の
外界)に到達できるのか、実在を真に理解できるのか。」動物行動学の視点から言えば「無理である。」と小林朋道教授(人間文化研究機構長)は言っています。科学・技術が長足の進歩を遂げた今日において、物理学と哲学の分野の大命題である実在の認識が「不可能」と断定されていることに驚きを禁じえません。
小林教授は、その理由を次のように説明しています。

人間という動物は、他の動物とは比較にならないほど、事物・事象の因果関係について、それらを取り巻く広い範囲の要素を取り込み、階層性が高い因果関係を追求することができる動物である。だからこそ、他の惑星に行って戻ってくるような機械も作ることができた。ただし、それはあくまで人間の脳が知覚できる情報の範囲の中で達成できたことである。たとえば、オオカミは、彼らの脳が備えている能力を駆使して、先回りや挟み撃ち等の方法を生み出し、狩りの仕方を上達させていく(人間が自分たちの脳の能力を駆使して機器類をより高度化するのと同じことである)。しかし、そこには限界がある。たとえば、彼らの脳には、(狩りに)道具を使うという発想はけっして生まれない。思いもよらない。それはオオカミが、生きて子を残し、地球上で生存し続ける上で必要ないからだ。同様に、オオカミにとって外界に冥王星が存在することなど思いもよらない。その原因は、オオカミの脳の神経構造にある。そして、同じことは人間についても言えるのである。我々の脳に備わっている神経構造には、けっして思い描くことさえできない実在が数限りなく存在すると考えることは、極めて合理的なことである。
 オオカミを例に挙げて、人間の脳の限界(クセ)を指摘した、優れた考察だと思います。

小林朋道「動物行動学から見た、ヒトの脳のクセについて」学士會会報 2012―Ⅳ
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invention とinnovation

2013-04-02 05:59:00 | 文化
近頃よく聞く外来語に、inventionとinnovationがあります。類似した場面で使われるので、意味も似ているのではないかと思っていました。
英和辞典によれば、次のようにあります。
invention:  発明、創意
innovation: 革新、刷新
innovationのほうが、より能動的なニュアンスが強いように思われます。
P.F.ドラッカーによれば、innovationは最終製品と共に完成する点で、単なる発明とは一線を画する、とのことです。ドラッカーはinnovationを可能にする機会として7つの変化を挙げています。具体的には企業・産業の内部的要因として次の項目を挙げています。
1. 予期せぬ事
2. 不調和、ギャップ
3. ニーズ
4. 産業構造変化

また、企業・産業の外部的要因として
5. 人口構造の変化
6. 認識の変化
7. 新しい知識

超高齢・人口減少社会を迎えている日本は恒常的にinnovationを生み出す環境が整った社会と言えるでしょう。innovationを実現するためには、意識的に努力することと、学ぶことが必要であり、高等教育の質が問われると、濱口道成名古屋大学総長は言っています。
そのための試みとして、名古屋大学では、リーディング大学院を設置して、そこでオールラウンド型の人材育成を目指しているということです。

  濱口 道成 「電気学会誌」 2013 Vol.133 No.3
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