yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

対抗エリートの資質

2014-04-01 07:30:46 | 歴史
以前、野党であった民主党が政権を取ったものの、あまりにお粗末なためにわずか三年半で政権の座を追われました。現代の日本には「対抗エリートが育っていない」という指摘があります。では、日本の歴史上、「立派な対抗エリートが存在したことがあっただろうか」「あったとすれば、そこから何を学ぶべきか」という考察を目にしました。こうして幕末・維新の時代を観察した結果、対抗エリ-トの巨人として「西郷隆盛」が採るり上げられました。西郷隆盛が、
反権力の中心にあった期間が長かったことも理由の一つでしょう。その西郷の資質を分析しました。彼の優れた資質は次のようことです。
1. 高い識見
a.誠忠組 批判  忠誠心旺盛で労を厭わない純粋な集団であるが、指導理念がないの
         で西郷は敬遠したようです。西南戦争の前夜の私学校生徒を連想しま    
         すが、この時は、西郷は冷徹な判断をせず、かつがれてしまいました。
b.賢人に学ぶ   勝海舟、佐久間象山、福澤諭吉に学び、西洋文明と将来の国の姿を見
         通しました。
2. 英雄肌合     島津斉彬の薫陶にもよります。従弟の大山巌も似たものを持ちます。
      区々とした専門事項は、専門性の高い部下に任せて自由にやらせ、責
任は自分が取る覚悟を固める日本型将帥が持つものです。
3. 義理堅さ     義理堅いことは、他人から信用されるもとででした。
4. 粘着力      「廃藩置県」を断行したのがその例ですが、大目的は必ず達成する原
動力となりました。
5. 構想力      王政復古、武力倒幕、挙国一致体制といった構想を立てて邁進しまし       
           た。
上記の5項目の資質のうち、識見、構想力、義理堅さは努力して身につけることができます。
粘着力は基本的には天性のものですが、努力して身につけたともいえます。「英雄肌合」だけは
純粋に先天的なものです。平時ならば、学界、官界、実業界のいずれにおいても不要ですが、今日のような変革期においては必要な資質と推量されます。 

 坂野潤治 「西郷隆盛にみる対抗エリートの質」 學士會会報 No.905 2014―Ⅱ

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