先日、漢詩を読んでいましたら「杏林」という語がありました。文脈から「杏林」は医学関係の言葉と推測しました。調べてみましたら、杏林は医師の美称とありました。語源は、中国三国時代の故事によります。呉の董奉(とうほう)は治療代を取らないで、治療代の替わりに重傷者には杏を五本、軽傷者には一本の杏を植えさせたところ、数年で杏林ができたということです。さて、現代、杏林大学や杏林製薬があります。杏林を含む漢詩は、雑誌に掲載されたN氏の次の漢詩です。
前立腺肥大症 N氏
誰推察辛勤せい厠
杏林説諭再生全
莫嫌手術寸時苦
猶勝酷刑司馬遷
註 せい厠(し)は便所の意
誰カ辛勤ヲ推察センせい厠の前
杏林説諭ス再生全シト
嫌ウ莫カレ手術寸時ノ苦
猶勝ル酷刑ノ司馬遷ニ
[訳]
排便の辛さを誰が推察してくれようか。
名医は完全に治癒すると諭してくれた。
寸時の手術の痛みをいとうてはならない。
漢の司馬遷が受けた酷い刑罰に比べたらはるかに楽なことだ。
ご本人は、便所の前で大真面目でしょうが、ご自分の病気から宮刑に遭った司馬遷を連想されたのに思わず微少しました。
遼雪 「學士會会報」No.910 2015-Ⅰ
前立腺肥大症 N氏
誰推察辛勤せい厠
杏林説諭再生全
莫嫌手術寸時苦
猶勝酷刑司馬遷
註 せい厠(し)は便所の意
誰カ辛勤ヲ推察センせい厠の前
杏林説諭ス再生全シト
嫌ウ莫カレ手術寸時ノ苦
猶勝ル酷刑ノ司馬遷ニ
[訳]
排便の辛さを誰が推察してくれようか。
名医は完全に治癒すると諭してくれた。
寸時の手術の痛みをいとうてはならない。
漢の司馬遷が受けた酷い刑罰に比べたらはるかに楽なことだ。
ご本人は、便所の前で大真面目でしょうが、ご自分の病気から宮刑に遭った司馬遷を連想されたのに思わず微少しました。
遼雪 「學士會会報」No.910 2015-Ⅰ