yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

原発事故の責任

2012-07-29 05:56:33 | インポート
福島第一原発の事故の責任について大前研一氏は次のような指摘をしていました。

世界中の原子炉の設計者とオペレーターが考えても見なかった現象が、実は簡単に起り、極めて深刻な事態に至るのだ。
反省すべきは日本人ではなく、そもそも商業用原子炉を開発した米GE(ジェネラル・エレクトリック)社や米ウェスチングハウス社であり、その根底となっていた安全思想や安全設計に重大な落ち度があった、ということである。
組織や人の問題は設計段階の重大な欠陥を乗り越える力がなかった、という点で確かに問題ではあるが、それは本質ではない。そのことを突きつめていけば、東電の問題というよりは設計者の問題であり、その設計段階における重大な瑕疵を見抜けなかった世界中の規制当局の問題でもある。

原発に対する安全神話を盲信したことや規制当局や東電の油断という意見がよく聞かれる中で、私には大前氏の指摘は新鮮に感じられました。良く考えてみると、世間一般では普通、大前氏のように考えるのではないかと思います。例えば、車の欠陥に起因する事故が起きた時、その車がトヨタ製ならば、「事故の責任は、ほとんどトヨタにある」とされるのは、常識ではないでしょうか。このように「メーカーの責任は極めて重いものであること」をメーカーに勤務してきた私は身にしみて理解しています。
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難読 地名

2012-07-26 05:13:18 | 文化
読み方が難しい地名は、全国にたくさんあります。
西の宍粟市(兵庫県)、東の匝瑳郡(千葉県)はその代表です。
前者は「しそうし」、後者は「そうさぐん」と読みます。

さて、小千谷、柿、栖吉(新潟県)は何と読むでしょうか。
「おぢや」、「かぎ」「すよし」です。これらは郷里にある地名です。

北海道の地名の多くは、アイヌ語の読み方が入っているので、とても難しいです。
 標津、足寄、弟子屈、訓子府、占冠、単冠、胆振は、次のように読みます。
 「しべつ」「あしょろ」「てしかが」「くんねっぷ」しむかっぷ」「ひとかっぷ」「いぶり」です。

イギリスの地名も、英語の通常の読み方と異なるものが沢山あります。
語源が英語ではなかったのでしょう。

Greenwich   世界標準時を決める天文台のある場所
Norwich
Gloucester
Leicester
Worcester

上から、「グリニジ」、「ノリジ」「グロスター」、「レスター」、「ウスター」です。
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「京」コンピュータ

2012-07-23 05:51:49 | 科学
昨年、純国産スーパーコンピュータ「京」が世界一を獲得しました。スパコンの実現は、コンピュータ・シミュレーションの発達をもたらし、「予測の科学」という新しい分野を切り拓いています。「京」は新薬の開発、地震や台風の予測、設計プロセスの革新などの分野で世界を驚かせるような成果を挙げる可能性があります。
まず、スーパーコンピュータとは何かといいますと、「その時代の通常のコンピュータよりも膨大な量の計算を、はるかに高速に行うことができるコンピュータ」を指します。この表現はやや漠然としていますが、現在のところ、50Tflopsよりも速いマシンと定義されています。
「T」はテラで10の15乗、「flop」とはコンピュータの処理速度を表す単位で、1flopは1秒に1回の浮動小数点実数の計算ができることをいいます。
さて、スーパーコンピュータに関する世界最大の国際会議(SC11)では、毎年6月と11月に世界の1位から500位までのスパコンランキングTOP500を発表しています。昨年シアトルで開催されたSC11で「京」コンピュータは6月に続き2期連続で世界一に輝きました。
「京」は10.5Pflops、2位の中国の「天河1A」は2.5Pflopsですから、「京」は「天河1A」
の約4倍速いことになります。(ただし「P」ペタは10の18乗のことです。)スパコンへの評価は、まさに総合力への評価であり、日本の科学技術のレベルの高さ、ものづくりの健在さを世界に示すことができました。ビッグプロジェクトを進める上で重要なことは、高い目標を掲げることと、何があっても妥協しないことの2つです。事業仕分けで「二位では駄目なんですか」と言われましたが、目標が二位では駄目なのでしょう。
スーパーコンピュータには多くの用途がありますが、例えば、膨大なデータを蓄積することにより、名医に匹敵する診断が下せるようになるそうです。その他、気象、地球科学、軍事
などに多くの用途があるとのことです。

    平尾公彦 「學士會会報」 No. 895
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山嵐

2012-07-20 05:30:50 | 文学
夏目漱石の小説「ぼっちゃん」の中で、松山に赴任した江戸っ子のぼっちゃんの一番の友達になったのが、同僚の会津っぽの「山嵐」でした。山嵐の教育の精神は、「教育は単に学問を授ける許りではない、高尚な、正直な、武士的な元気を鼓吹すると同時に野卑な、軽躁な、暴慢な悪風を掃蕩するにあると思ひます」と、正々堂々と言っています。漱石は賊軍・幕臣の血筋、会津人はもとより賊軍。こうした点でも気を許すものがあったのでしょう。

夏目金之助 「漱石全集 第二巻」 岩波書店
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フジヤマの飛魚

2012-07-17 05:28:57 | 文化
昭和20年代、太平洋戦争に負けた日本に元気がなかった時代、当時「フジヤマの飛魚」と言われた二人の世界的水泳選手がいました。古橋廣之進と橋爪四郎でした。終戦後間もない1948年(昭和24年)にロンドン五輪が開催されましたが、敗戦国日本には五輪への出場が認められませんでした。世界で1,2位の記録を持つ二人の「フジヤマの飛魚」も五輪への出場は適いませんでした。そこで日本水泳連盟は二人のためにロンドン五輪の水泳競技と同じ日程で、日本選手権大会を開いてくれました。この大会において二人は1500mを自由形で泳ぎ、1位と2位に輝きました。その記録は二人とも当時の世界記録より約40秒も速い驚異的なものでした。
    古橋廣之進の記録    18分37秒0
    橋爪四郎の記録     18分37秒8
    ロンドン五輪一位の記録 19分18秒5 (アメリカのジェームズ・マクレーン)

もし、「フジヤマの飛魚」の二人の五輪出場が適っていたなら、世界新記録で、表彰台に二本の日の丸が揚がっていたことでしょう。

「フジヤマの飛魚」は、記録において世界のトップの位置を不動のものにしたのです。そして、当時の日本人に元気と希望を与えたのでは
ないでしょうか。
古橋選手は数々の記録を残して2009年に81歳で永眠しましたが、橋爪四郎氏は今もご壮健で、日本の水泳界を見守っておられます。
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保科正之公と囲碁

2012-07-14 06:25:35 | 歴史
会津藩祖 保科正之公は、第四代将軍・徳川家綱公の後見として幕政を総覧するかたわら、囲碁を嗜んでおられ、名手の域に到達されていました。正之公は碁所、囲碁四家(本因坊家、安井家、井上家、林家)の一つ安井家の高足、安井算哲に師事しておりましたが、寛文7年(1667年)の秋、算哲を会津、鶴ケ城に招き、改暦という大事業を命じました。それに先立ち、お城で算哲と囲碁の対局をされました。その時、正之公は、先番の第一着の黒石を碁盤の中央、天元の位置に打ちおろしました。天文・宇宙に精通していた算哲(後の渋川春海)は、正之公の王者の一着に驚嘆したということです。(碁盤の中央は宇宙の中心と考えられていました。)
改暦事業は難航を極め、いつしか3年の歳月が経ちました。囲碁棋士でもあった算哲は、寛文10年(1670年)の秋、本因坊道策と御城碁を打ちました。この時、算哲が打った起手、天元局が今も囲碁史に記録されている初手、天元の局です。これが公式戦であったことから、囲碁史上、初手天元の栄誉は安井算哲が担いました。この功績により安井算哲は、342年のちの今年(2012年)、囲碁の殿堂入りを果しました。因みに、江戸時代の棋士に限れば、本因坊家以外の人が殿堂入りしたのは安井算哲が初めてです。

江戸時代の当時まで、約800年間も使われてきた宣命暦(せんみょうれき)や、それを改良した授時暦は中国から伝わったものですが、日本においては誤差が出ており、宣命暦は天体の運行との間に2日の誤差があったということです。例えば、宣命暦が予言する日に2日もずれて蝕が起きるなどの明白な誤謬がありました。これは、中国と日本の緯度、経度の違いによるものなので、算哲は精密な天体観測により、間違いを修正しました。算哲は和田倉門の会津藩の江戸藩邸に主に住んでいました。そして改暦事業に着手してから18年後の1685年に、貞享暦(じょうきょうれき)と呼ばれる太陰太陽暦を完成させました。この時、既に改暦を命じた保科正之公は他界していたということです。この暦の作成にあたっては、会津藩家老の安藤有益や神道家の山崎闇斎や天才和算家の関孝和らの強力な支援があったということです。貞享暦は江戸末期まで使用されました。算哲は改暦の後、1685年に初代の天文方になり、1715年10月6日に76歳で他界しました。算哲を生涯支えた妻「えん」も同じ日に没したということです。

沖方 丁(うぶかたとう)「天地明察」 角川書店
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ヒッグス粒子あれこれ

2012-07-11 05:23:48 | 科学
1964年、7月4日に、イギリス、エディンバラ大学の理論物理学者、ヒッグス博士が予言したヒッグス粒子が、実験的にほぼ、その存在が確認されたと、スイスのCERNが発表しました。
99.9999%の確度で正しいという発表の仕方がなんとも学者的で慎重でしたが、多くの物理学者は信頼に価すると考えたのではないでしょうか。イギリスの高名な物理学者ホーキング博士は、「ヒッグス博士にはノーベル賞を与えられるべきである」と力説したそうです。ホーキング博士は、自分のような理論物理学者の予想をはるかに上回るスピードで実験が進んでしまったことに、驚きを隠せませんでした。実際、「ヒッグス粒子はしばらく発見できないであろう」という賭で、博士は発見できないほうに賭けていたので、その賭に負けて100ドル(約8000円)を失ったそうです。ホーキング博士でも負けてしまう程の世紀の大偉業だったのでしょう。

ヒッグス粒子の確認の陰には、日本からも数千人の研究者が不眠不休の貢献をしたそうです。またCERNの粒子加速器の製作にあたっては、日本の技術力の粋が集められました。例えば東芝の強力な電磁石や、我が国が提供した電力ケーブルの技術などが重要な力になりました。そこには古河電工の超伝導ケーブルが使われました。また、ヒッグス粒子を実際に観測するための核心となる技術、センサーの提供には浜松ホトニクスなどが深くかかわっていたそうです。

ちなみに科学研究のやり方には、警視庁型とアマゾン型の二種類があると物理学者の中谷宇吉郎氏が氏の随筆に嘗て書いていました。結果の目星がついていて、その結果を得るための研究手法が警視庁型。一方、研究対象が何たるかも分からぬままに秘境に入るような研究のやり方がアマゾン型。このたびのヒッグス粒子の確認こそ、警視庁型の極みと言えます。1964年に予言されていた希代のお尋ね者、「神の粒子」をお縄にしたのが今回の快挙でしょう。

 さて、巨額の費用を投じたヒッグス粒子の確認が、すぐに何の役に立つのか凡人には理解に苦しむ点もありますが、宇宙や生命の成り立ちの仕組みを解き明かすのに貢献したという説明を聞くと、何やら厳粛なものを感じます。
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山行

2012-07-08 06:37:58 | 文学
晩唐の詩人 杜牧の漢詩です。

山行

遠上寒山石径斜
白雲生処有人家
停車坐愛楓林晩
霜葉紅於二月花

遠く寒山に上れば石径斜めなり
白雲生ずる処 人家あり
車を停めて坐(そぞろ)に愛す 楓林の晩(くれ)
霜葉は二月の花よりも紅なり



秋の山をはるばると上って行くと、石の小道がずっと続いている。峯の方を仰ぐと、白雲
のかかるあたりに、人家のあるのが見える。車をとめて、辺りの風景をめでると、霜にうたれて紅葉した葉は、二月に咲く花よりも赤い。

霜葉と二月の花の対比に意外性がある。意外性を秘めながら、全体にあふれる高雅な趣は杜牧ならではのものがある。

   石川忠久 「漢詩のこころ」 時事通信社

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金栗四三選手

2012-07-05 06:17:34 | 文化
日本のマラソンの父と言われた金栗四三(かなぐりしそう)選手の話です。
金栗四三は、今から丁度100年前の1912年(明治45年)に開催されたストックホルム五輪のマラソンの日本代表選手でした。しかも、日本人初の五輪代表選手でした。当日は40度を越える記録的な暑さで、参加選手68人のうち、半数が途中棄権し、1人は翌日亡くなるという過酷な状況でした。金栗選手はレースの途中、日射病で意識を失い、ソーレンツナという村の農家で介抱されたということです。目を覚ましたのは翌日の朝、既に競技は終っていました。競技委員会は日本人がひとり行方不明と処理していました
 さて、55年後の1967年3月、スウェーデンの五輪委員会はストックホルム五輪開催55周年記念の式典に金栗選手を招待しました。55年振りにストックホルムを訪れた金栗選手は礼服姿で現れ、競技場内に用意されたゴールテープを切りました。その瞬間「日本の金栗が只今ゴール。時間、54年8ヶ月6日2分20秒3。これで第5回ストックホルム大会は全日程を終了しました。」という場内放送が流れました。
 これに応えて金栗選手は、「長い道程でした。この間にわたしには5人の孫ができました。」と言ったとのことです。
スウェーデンの五輪委員会の粋な計らいに応えた、ユーモア溢れるコメントでした。
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光格子時計

2012-07-02 05:35:22 | 科学
原子時計は原子が出したり吸収したりする電磁波の振動を利用します。振動はとても安定しているので、これを時計の振り子替りに利用する大変正確な時計です。東京大学の香取秀俊教授(47歳)は、光の格子の中に原子を閉じこめることを考案しました。この格子を卵パックのように沢山並べ、多数の原子の振り子を平均すると、短時間に高精度に時間を表示することが可能になります。同時に100万個のイッテルビウムの原子を観測することにより、従来から使われているセシウム原子時計の100万倍の速さで時刻表示ができます。この時計を使うと宇宙創生から現在までの時間、即ち137億年に対して、1秒以下の誤差で計時ができるそうです。
 非常に素晴らしい技術が生み出されたのですが、商業化のためには、まだまだ課題があるそうです。
 香取教授は、こう言っています。「自然科学の根っこを支えるような大事なものをちゃんとやるからには、世界制覇を目指さないと。」
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