yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

セミと素数

2012-08-29 05:51:40 | 文化
素数は2、3、5、7、11、13のように整数で割りきれない数ですが、宇宙と素数に詳しい数学者、黒川信重 東工大教授の話を紹介します。

昆虫の中でもセミだけは素数のことを真剣に悩んで生きています。すなわち、13年ゼミ、17年ゼミと呼ばれる種類のセミがあり、それらは13年ごと、または17年ごとに大発生します。たとえば、これがもし、8年ごとの大発生だと、2年ごとに大発生する生物に食いつくされる恐れがあります。しかし、13年や17年という素数の周期であれば、セミを食いつくすためには相手も13年、17年という周期を持たねばならず、そこまで思いつめる相手もいなかったので、これらのセミは生き残ってきました。

そういえば、仏教の13年忌や17年忌、23年忌などは皆、素数です。もしかして、仏様や坊様もお出ましになるのに、周期が素数年のほうが都合をつけやすいのではないかと愚考しました。

         加藤和也著 「素数の歌が聞こえる」 
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馬齢を重ねる

2012-08-26 05:30:07 | 文学
人生の秋を迎えると、避けることが出来ない感慨をおぼえる言葉でしょう。
「馬齢を重ねる」という言葉の由来は、「年を取った馬は農耕馬としても兵馬としても役に立たないこと」にありました。価値観が一様かつ単純であった封建時代の考え方の名残がここにあります。この事から「これといったこともしないでいたずらに歳を取ること」の謙遜の言葉となりました。

著名な数学者、加藤和也氏(東京大学理学部教授、60歳)に下記の一文があります。
若い日は昨日のことのようであるが、早いもので、気がつくと人生の秋を迎える身になっている。子供の頃は、歳のいったおとなは、何でも知っていて、しっかりしていて自分たちとは違う存在だと思っていた、自分が歳を重ねてみると、頭の中はまるで幼稚なままであることに、驚いてしまう。何もわからないまま、右往左往してくらしている。
有限の身の人間が、無限遠の彼方にある真実を思って努力しても、できることはしれている。しかし、それはむなしいことではなく、大切なことだと思う。

加藤先生のように、いつも好奇心を持ちながら、向上心を忘れずに修養を積むことが大切なのではないかと、私も考えています。

         加藤和也著 「素数の歌が聞こえる」 ぷねうま舎
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漢字クイズ 解答

2012-08-24 06:14:10 | 文学
8月22日に出題した漢字クイズの解答をお知らせします。
私が出した解答です。

□ に同じ漢字を入れて熟語を作って下さい。

第1問  水□、□顔、簡□、□敵
第2問  音□、□金、筆□、□取
第3問  □末、□見、□謝、
解答、上から素、頭、月。

読み方の問題です。

第1問 背向
第2問 徒骨
第3問 馬大頭
解答 そがい、むだぼね、おにやんま

どちらの漢字を使いますか。
第1問 先方の気持ちを□る        量、図
第4問 この自転車はブレーキが□かない。 利、効
解答 量、効です。 

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漢字クイズ 問題

2012-08-22 05:33:58 | 文学
読者の皆様に漢字クイズを出題します。
新聞紙上などにあったものですが、私にとっては難しい問題でした。

□ に同じ漢字を入れて熟語を作って下さい。

第1問  水□、□顔、簡□、□敵
第2問  音□、□金、筆□、□取
第3問  □末、□見、□謝、

読み方の問題です。

第1問 背向
第2問 徒骨
第3問 馬大頭

どちらの漢字を使いますか。
第1問 先方の気持ちを□る。       量、図
第2問 この自転車はブレーキが□かない。 利、効

答は次回にお知らせします。

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曲江、杜甫

2012-08-19 05:44:07 | 文学
盛唐の詩人 詩聖・杜甫の漢詩です。「曲江」という二首の作品の「其の二」で、「古稀」の由来となった七言律詩です。

  曲江   其二
 朝回日日典春衣
 毎日江頭尽酔帰
 酒債尋常行処有
 人生七十古来稀
 穿花蛺蝶深深見
 点水蜻蜓款款飛
 伝語風光共流転
 暫時相賞莫相違

朝より回(かへ)りて日日(ひび)春衣を典(てん)し、
毎日 江頭(かうとう)に酔ひを尽くして帰る
酒債尋常 行く処に有り
   人生七十 古来稀なり。
   花を穿つの蛺蝶(きょうちょう)は深深として見え、
   水に点ずるの蜻蜓(せいてい)は款款として飛ぶ。
   伝語す 風光 共に流転して、
   暫時 相賞して 相違ふこと莫(なか)れと


「訳」

朝廷を退出すると、毎日春の衣服を質に入れ、
 曲江のほとりで泥酔して帰る。
  酒代(さかだい)の借金は普通のことで、行く先々にある。
  この人生、七十歳まで長生きすることは昔から滅多にないのだから、
  今のうちにせいぜい楽しんでおきたいのだ。
  花の蜜を吸うアゲハチョウは、奥のほうに見え、
  水面に尾をつけて卵を生むトンボは、ゆるやかに飛んでいる。
  私は自然に対してこう言づてしたい、
  「春の風光よ、私とともに流れゆき、暫くの間このよい季節を楽しみ合う
  ようにしよう」と。 

この詩は杜甫47歳の作、当時、左拾遺という職にありました。彼は生真面目な性格でしたので剛直に諌言してしまい、皇帝粛宗からうとまれて次第に酒でうさをはらすようになりました。「どうせ人生は短い、せいぜい楽しくやろう」という、杜甫には珍しいデカダンな気分が見られる作品です。老境を想像して賦したのでしょう。
 
この詩からは、杜甫の官吏としての生活ぶりと飾らない人柄が伝わってきます。「古稀」の由来となった詩ですが、杜甫は758年に59歳で病没しました。

    石川忠久 「NHK漢詩紀行」 日本放送出版協会
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オリンピック選手の談話

2012-08-16 06:22:43 | 文化
先日のロンドン・オリンピックの日本選手の談話の中には記憶に残る名せりふがいくつもありました。

松田丈志選手 200mバタフライで銅メダル
入江陵介選手 100m背泳ぎで銅メダル、200m背泳ぎで銀メダル
松田選手と入江選手は、北島選手が金メダルを逃した時から「康介さんを手ぶらで帰すわけには行かない」と言い、その北島康介選手と、自由形の藤井選手とともに、男子400mメドレーリレーで銀メダルを獲得しました。
入江選手は帰国した時、「オリンピックの競泳陣は27人で一つのリレーをした。」と競泳陣の団結の堅さを語りました。競泳男女合わせて合計11個ものメダルを取った原動力であったのでしょう。

福原愛選手 卓球で日本初の銀メダル、卓球歴20年にして掴みました。
     「頑張れば夢は叶えられものと思いました。」
澤穂希選手 「なでしこジャパン」を率いて銀メダルを獲得。男女を通じて、サッカーで初めてのメダルでした。
     「最高の舞台で最高の仲間と最高の相手と戦った最高の夏でした。」
内村航平選手 体操個人総合で28年ぶりの金メダル。
「自分が自分であることを証明できた気持ち。いつもやっている事を普通にやる
のが難しい。オリンピックには魔物がいる」
吉田沙保里選手  レスリング55キロ級で3連覇
「負けを知って強くなれた。オリンピックのメダルは最も重い。」
吉田選手は無敵を誇っていましたが、オリンピック前の世界選手権で、痛い一敗を喫していました。開会式も閉会式も旗手を勤めましたが、「開会式の女性旗手は金メダルを取れない」というジンクスを吹きとばしました。
伊調馨選手  レスリング63キロ級で3連覇。
      「姉の声は天の声。」
       金メダリストの姉の声援に応えました。
中本健太郎選手 マラソンで6位入賞。
      「今までやってきた事が間違いでなかった。」
     
血の滲む不屈の努力を重ねた上でオリンピックという舞台で結実させたメダリストの言葉は重く、胸に迫るものがありました。
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遺懐

2012-08-13 08:24:17 | 文学
晩唐の詩人 杜牧の漢詩です。

懐(おもい)を遺(や)る

落魄江湖載酒行
楚腰繊細掌中軽
十年一覚揚州夢
贏得青楼薄倖名

江湖に落魄して酒を載せて行く
楚腰繊細掌中に軽し
十年一覚揚州の夢
贏(あま)し得たり 青楼薄倖の名

江南地方に遊び暮らし、酒樽を舟に載せて行ったものだ。
楚の地の細い腰の美女は、手の平で舞を舞うほど軽かった。
それから十年、はっと揚州の夢からさめて我に返ると、
残ったものは青楼(いろまち)での浮気男の評判ばかり。

第二句は、昔、楚の王が細い腰の美女を好んだ故事と、漢の美姫、趙飛燕(ちょうひえん)が成帝の掌の上で舞うほど軽かったという故事を用いています。

粋人、杜牧の甘酸っぱい悔恨の趣。 「懐を遣る」とは胸中の思いを外に出すこと。
杜牧ならではの詩境で、漢詩にはめずらしい色っぽい作品です。

石川忠久 「漢詩のこころ」 時事通信社
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旧き良き時代の落第

2012-08-10 05:42:23 | 文化
私より八年先輩のO氏の追憶談です。

先日、新聞紙上で恩師 萬年甫(まんねんはじめ)先生の訃報に接した。わが青春が一瞬にして蘇る。医学部に進学したばかり、気が弛んで、まだギアチェンジが出来てなかったのだろう。萬年甫先生の脳解剖の試験に不覚にも落ちてしまったのである。
出題は「脳について、これを図示せよ」、これ一題だけである。九十人のクラスで十人ほどの仲間も落第。当時は医学部に進学するのに試験があり、これがなかなかの難関であった。私同様、ギアチェンジの整わない仲間も少なくなかったにちがいない。その十人ほどが、追試験
のために教授室に勢揃い。さすがに誰も彼もが緊張の面持ち。立ったまま答案を見直していた教授が、「O君は居ますか?、、、」「君は爬虫類の脳を画いたのですね。別に人間の脳を画けという問題ではないし、爬虫類の脳としては正しいので、君は合格! 帰ってよろしい」いやあ、いい時代でした。
この落第生、今も大病院の名誉院長として活躍されています。
    
帯津良一 「學士會会報」  895号
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生活満足度

2012-08-07 04:44:37 | 文化
幸福とは何かは簡単には説明できないことですが、幸福を数値化する一つの試みとして、「生活満足度」というものがあります。生活満足度を調査した国別ランキングの中から上位と下位の10国を下に示しました。

上位の10国
1位   デンマーク
2位   フィンランド
3位   ノルウェー
4位   オランダ
5位   カナダ
6位   スイス
7位   スウェーデン
8位   ニュージーランド
9位   オーストラリア
10位  アイルランド

下位の10国
25位  ブラジル
28位  イタリア
30位  ドイツ
44位  日本
56位  韓国
76位  ロシア
94位  インド
112位  中国
155位  ペナン
156位  トーゴ 

ランキングを作るため、共通の指標として「精神的健康」・「安定した家族関係」・「政治的な自由」・「職の確保」・「腐敗のない公平さ」が挙げられたそうです。

上位10ケ国は、福祉制度の充実した、いわゆる欧州の先進国などが占め、下位の10ケ国は
アフリカなどの貧しい国や、アジアなどの国があります。

日本が44位というのは、意外に低く感じられました。日本は自由で豊かな国だと思っていましたが、世界各国に比べると現在の日本は44位という評価になるのでしょう。

上記のランキングは調査を行う年により変化し、10年後には大きく変るかも知れません。
「生活幸福度」のほかにもブータンが提唱した国民総幸福度(GNH)という指標もあるそうです。

「朝日新聞」 2012年4月25日
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克己復礼

2012-08-04 07:38:37 | 文学
「克己復礼」は「論語、顔淵・巻十二」にあります。7月23日にあったロンドン・パラリンピックの結団式で日本選手団の主将、土田和歌子さんがこの言葉を引用して「克己復礼の精神で」と宣誓をしました。「論語」には次のように書いてあります。

顔淵、仁を問う。子曰く、己れを克(せ)めて仁に復(かえ)るを仁と為す。一日己れを克めて礼に復れば、天下仁に帰す。仁を為すこと己れに由る。而して人に由らんや。顔淵の曰く、請う、其の目を問わん。子の曰く、礼に非ざれば視ること勿かれ、礼に非ざれば聴くこと勿かれ、礼に非ざれば言うこと勿かれ、礼に非ざれば動くこと勿かれ。顔淵の曰く、回、不敏なりと雖も、請う、この語を事とせん。

「訳」

顔淵が仁のことをおたずねした。先生はいわれた。「わが身を慎んで礼(の規範)にたちもどるということだ。一日でも身を慎んで礼に立ち戻れば、世界中が仁になつくようになる。仁を行うのは自分次第だ。どうして人頼みに出来ようか。」顔淵が「どうかその要点をお聞かせ下さい。」と言ったので、先生はいわれた、「礼にはずれたことは見ず、礼にはずれたことは聞かず、礼にはずれたことは言わず、礼にはずれたことはしないことだ。」顔淵は言った、「回(顔淵のこと)は愚かではございますが、このお言葉を実行させていただきましょう。」

紀元前の孔子の教えは現代にも生きていました。

     金谷治註 「論語」 岩波書店
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