中唐の詩人 劉兎錫の七言絶句です。
自古逢秋悲寂寥
我言秋日勝春朝
晴空一鶴排雲上
便引詩情到碧霄.
古(いにしえ)自リ秋ニ逢ヘバ秋寂寥ヲ悲シム
我言フニ秋日ハ春朝ニ勝ル
晴空一鶴雲ヲ排シテ上リ
便(すなわ)チ詩情ヲ引キテ碧霄ニ到ル.
「訳」
昔から秋にめぐりあうと、そのさびしい風情を悲しむもの。
私が思うに、秋の季節は春の季節にまさっている。
晴天の日、一羽の鶴が、雲をおし開いて登りゆき、
たちまち詩情を引き誘いながら蒼穹に達する。
「鑑賞」
劉兎錫は、科挙に合格して官界に入りましたが、三十代なかばから左遷されて
地方官暮らしを余儀なくされました。この時代に「竹枝詞」をあらわして人気を博し、
広く歌われたとそうです。あえて民歌に注目するなど、反骨精神にあふれた人物でした。
晩年は白居易と親交を深めて、数多くの唱和詩をあらわし、「劉白」と並び称されました。
井波律子 「中国名詞集」 岩波書店
自古逢秋悲寂寥
我言秋日勝春朝
晴空一鶴排雲上
便引詩情到碧霄.
古(いにしえ)自リ秋ニ逢ヘバ秋寂寥ヲ悲シム
我言フニ秋日ハ春朝ニ勝ル
晴空一鶴雲ヲ排シテ上リ
便(すなわ)チ詩情ヲ引キテ碧霄ニ到ル.
「訳」
昔から秋にめぐりあうと、そのさびしい風情を悲しむもの。
私が思うに、秋の季節は春の季節にまさっている。
晴天の日、一羽の鶴が、雲をおし開いて登りゆき、
たちまち詩情を引き誘いながら蒼穹に達する。
「鑑賞」
劉兎錫は、科挙に合格して官界に入りましたが、三十代なかばから左遷されて
地方官暮らしを余儀なくされました。この時代に「竹枝詞」をあらわして人気を博し、
広く歌われたとそうです。あえて民歌に注目するなど、反骨精神にあふれた人物でした。
晩年は白居易と親交を深めて、数多くの唱和詩をあらわし、「劉白」と並び称されました。
井波律子 「中国名詞集」 岩波書店