yoshのブログ

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将棋プロから白星をあげる方法

2012-11-18 05:13:08 | 将棋
大学の将棋部や会社で活躍されたアマ強豪の、「プロに勝つ方法」に関する話です。

プロは強い。実に強い。アマとは格段の相違がある。将棋を職業として、日々実戦で鍛え、研究に励む方々と、余技として面白半分にやる者との間に、大きな差があるのは当然だろう。だからそのプロに、例え稽古将棋でも、勝とうとするのは尋常一様の手段ではダメである。ここに申し上げる秘訣は、その奥の手である。

(1) 平手(対等のこと)で指すな
技量の違う相手に平手で立向かうのが無理なのはいうまでもない。
(2) 人の見ていない所で指せ
人が見ている所ではプロは本気になるので益々強くなる。アマは本気になっても大して強くならない。なるべく人が見ていない所で指すのがよい。
(3) もじもじしながら指せ
プロに勝つにはこちらを強いと思わせないことである。手付きや態度だけ、初心者のようにそわそわもじもじしながら指せば、相手はこちらを弱敵と侮って、そのうち、うっかり間違えてしまうかも知れない。
(4)背広で指すな
プロとは羽織袴で指してはダメである。できればゆかた掛けか、できれば夏の縁台で涼みながら、裸で指すのがいい。
(5)親しくなってから指せ
プロの先生と親しくなれば、その影響で棋力が向上するというわけではない。プロに勝つには長期計画をたてることだ。先ず、プロの先生と親しくなる。二、三番指してこちらの弱さを認識させる。それから、敵を安心させたところで、おもむろに勝つのである。
(6)自慢は勝った後でしろ
前の晩に読んできた定跡通りの局面となっても、そんなことはオクビにも出してはいけない、何気ある心をそっと胸に秘め、何気ない顔付で指す。これがこの戦法の極意なのだ。そして、古来の駒落ち定跡の優秀さが証明され、勝利を収めた暁には、もうマスクを外してどんなに自慢してもよい。
この戦法の致命的欠点は相手に気付かれたらおしまいということだ。「柳の下にどじょうはいない」のは世の常である。

上記の勝ち方の原理は、一見卑怯なように見えるがそうではない。凡そ勝負を問題とするもので、相手が待ち構えているところを馬鹿正直に攻めるくらい、策の拙たるものはない。野球でもテニスでも、敵の守備の欠陥を衝いて打ちこむのが、何より勝利への近道なのだ。

 アマ強豪の含蓄のある言葉でした。もし、師範の鈴木八段がこの文を読まれたら、次は
本気を出され、もう負けて頂けないかも知れない、と結んでおられました。

野村近司 「學士會会報」 No. 896 
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