「着眼大局 着手小局」は将棋の故升田九段がよく色紙に書いた言葉です。これは将棋のみではなくて、人生一般にも関わる言葉ではないかと思います。<o:p></o:p>
「着眼大局 着手小局」は、まず、全体の状況、形勢をよく把握すること、その大局観に基づいて、すぐに着手可能なこと、身近な問題、基本的な部分、小さくても重要な部分から手をつけることが大切、ということではないかと思います。含蓄のある言葉だと<o:p></o:p>
思います。<o:p></o:p>
升田幸三九段は、小さい時に母の物差しに名人に香(香車)を引く棋士になる、と書いて郷里を後にして大阪、東京で将棋の腕を磨きました。そして、遂に王将戦で時の名人(木村義雄)に香を引く勝負をする権利を得るまでになりました。また大山名人にも香を引いて指す勝負をして勝利をおさめました。天才的で豪快な髭の先生で通っていますが、常に新手を生み出す努力を一生続けました。性格においてはとても繊細な神経を持っていて、将棋には慎重かつ細心でした。それでも、ミスをすると、「錯覚いけない、よく見るよろし」明るくとぼけていたということです。<o:p></o:p>
昭和57年にプロとアマの最高峰の対決という棋戦が実現しました。アマ側は小池重明で、当時、アマの中で抜きん出ていました。角落ち戦でしたので、小池に分があると周囲は見ていました。緊迫した勝負の中で、一瞬の隙を突いてこの対局を圧倒的に制したのは升田でした。対局の後、小池は升田に「勝つ秘訣は?」と聞きました。升田は「侮ってはいけないということです」と答えたそうです。実力制第4代名人升田九段の言葉には勝負師の真髄がこもっているように思います。<o:p></o:p>