yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

7番勝負で4勝0敗

2014-05-31 05:06:22 | 将棋
先日、将棋の第72期名人戦の7番勝負で、羽生善治挑戦者が森内俊之名人に4対0で勝ち、名人位を奪取しました。4対0は一見大差ですが、どの一局も紙一重の勝負であったといわれます。力量が互角の二人が7番勝負を戦った時、4対0となる確率を考えてみました。6.25%の確率で起きることがわかりました。また、過去の名人戦の勝敗結果を調べてみました。全72回の名人戦の中で、4対0のスコアは11回もありました。11/72=0.152ですから、約15%の確率ということになります。
それも大山康晴氏が3回、谷川浩司氏が2回、羽生善治氏が2回(今回を含む)達成していました。名人戦で4対0のスコアは珍しくない、とも言えます。しかし、それを2回以上達成した棋士、大山、谷川、羽生氏は桁外れに強いということも納得出来ました。
ちなみに、プロ野球の日本シリーズ7番勝負において、4対0を調べました。1957年から2013年の57年間に6回ありました。6/57=0.105ですから10%強であり、意外に多いとも言えます。
6回の内、3回は巨人の勝ちでした。
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修学 夢窓疎石

2014-05-28 05:25:12 | 文学
鎌倉時代の禅僧 夢窓疎石の漢詩を紹介します。
夢窓疎石(1275~1351)は鎌倉末期、南北朝時代の禅僧、臨済宗の黄金期を築きました。後醍醐、光厳、光明天皇から国師号を賜った高僧です。造園技術にも優れ、有名な西芳寺、天竜寺、恵林寺の庭園を造ったといわれます。学問・知識の大切さと貴重さを自らの体験から述べた詩です。

修学

一日學問千載寶
百年富貴一朝塵
一書恩徳勝萬玉 
一言教訓重千金 

一日ノ學問千載ノ寶
百年のノ富貴一朝ノ塵
一書ノ恩徳萬玉二勝ル 
一言ノ教訓重キコト千金


 「訳」

わずか一日の浅い学問であても自分の身につけば、永遠の宝となって残るが、逆に百年もの長い年月を経て蓄えられた大きな財産でも、学問と違って、僅かの間に灰燼に帰すということがある。意義のある一冊の本から受ける恩徳というものは、多くの宝玉よりも貴重なものであり、師の一言の教訓の貴重さは、非常に高価な千金にも相当する。 

 「鑑賞」
高僧の詩なので、お説教調のところがあります。平仄、押韻が規則から外れているので、本来の絶句とはみなし難いともいわれます。

    「吟剣詩舞道漢詩集 続 絶句編」日本吟剣詩舞振興会編
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神宮

2014-05-25 05:37:22 | 文化
神宮というと、明治神宮や伊勢神宮を連想しますが、特別に格式の高い神社だけが「神宮」と言われます。「日本書紀」には、伊勢神宮と石上神宮だけがあり、平安時代に成立した「延喜式神名帳」では石上神宮に替わって、鹿島神宮と香取神宮があらわれます。明治以後、皇室ゆかりの神社のみが神宮とされ、神宮と名乗るためには勅許が必要でした。神宮号を名乗る神社
は、次のようなものです。伊勢神宮(伊勢市)霧島神宮(鹿児島市)、鵜戸神宮(日南市)、
英彦山神宮(福岡県)、宇佐神宮(宇佐市)、近江神宮(大津市)平安神宮(京都市)赤間神宮(下関市)、明治神宮(東京都)、熱田神宮(名古屋市)、鹿島神宮(鹿島市)香取神宮(香取市)
霧島神宮は、欽明天皇の御代(6世紀)に創建されたと言われます。現在の社殿(写真 下)は江戸時代に再建されたものです。5月には、ミヤマキリシマというツツジが咲きほこり、幽玄な趣のあります。


         
          
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「ありがとう」考

2014-05-22 05:07:16 | 文化
 欧米言語では、「ありがとう」の使用頻度が多いように思われます。北欧語のことを書いた本に次のような文があります。北欧ではこの言葉を知っていると大変役に立つ。その言葉は、デンマーク語のtak(タック)、スウェーデン語のtack(タック)ノルウェー語とアイスランド語のtakk(タック)、そしてフィンランド語ではkiitos(キートス)という。いずれも「ありがとう」という意味である。北欧人ほど「ありがとう」という言葉を連発する人種は、他に例
がないのではないだろうか。たとえば、こうである。デンマーク人のセァンセン一家が、スウェーデン人のイョランソン宅を訪れたとしよう。
「お招きいただきタックです。」とセァンセン氏。
「ようこそお越しいただきタックです」とイョランソン氏。
「お花をどうもタックです。」とイョランソン夫人。
「タックなどとお礼はいりませんよ、タックです。」とセァンセン夫人。
かくのごとくタックを繰り返して使います。役に立つ言葉である。

日本語では、「ありがとう」や「おおきに」が普通に使われます。朝ドラで有名になった「ごちそうさん」や「ごちそうさんでございます」もあります。
織田信長だと、偉そうに「大儀!」武士だと「かたじけない」。「おありがとうさん」はちょっとなさけない。サンキュー、ダンケ、メルシー、グラッツェ、グラッシャス、スパシーバも便利な言葉だそうです。

W.ブラインホルスト 「われら北欧人」 東海大学出版会
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楓橋夜泊 張継

2014-05-19 05:50:49 | 文学
張継は盛唐の詩人で襄州の人、官職は嗣部員外郎。張継作の「楓橋夜泊」という漢詩は殊に有名です。

楓橋夜泊

月落烏啼霜満天
江楓漁歌對愁眠
姑蘇城外寒山寺
夜半鐘聲到客船


月落チ烏啼イテ霜天ニ満ツ
江楓ノ漁歌愁眠ニ對ス
姑蘇城外ノ寒山寺
夜半ノ鐘聲客船ニ到ル

 「訳」

月が沈み、烏が啼いて、霜の気が天にちわたる。岸の楓と漁火(いさりび)が、うつらうつらとする旅愁の目に映る。そこへ、蘇州郊外の寒山寺から夜半を告げる鐘の音が、わが乗る小舟に聞こえてきた。

鑑賞
第1句には色彩はまったくないが、第2句で岸の楓と漁火の赤が点じられる。黒の中に赤という視覚的、そして響く鐘の音は旅人の想いをつのらせる。旅愁をうたった傑作です。

    石川忠久 「NHK漢詩紀行」 日本放送出版協会
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文明の配電盤 東京大学

2014-05-16 06:33:19 | 文化
 明治10年(1868年)に創立した東京大学は欧米の文明を吸収して日本中に配る文明の配電盤の役割を果たしつつ研究・教育を行ってきました。創立の頃より一貫して国家・国民のための大学でした。今日、広い分野で学術の革新が求められていますが、その役割の中心になることが大学に期待されます。イノベーションというと大学の企業化が連想されます。持続的発展、がん撲滅、高齢化社会への対応など、容易には解決できない大きな社会的課題に立ち向かう長期的
視点で取り組めるのは大学だけでしょう。景気の低迷が続き企業がリスクをとれない時代こそ
大学の力が問われます。科学者には3つの型があると言われます(ストークスの4象限モデル)。一つはニールス・ボーアのように自然の現象を科学的に追求するタイプ。ある意味で純粋な科学者です。彼らは研究成果を活用することにはあまり興味がありません。対照的なのはエジソン型。発明した技術が社会にどう役立つかに情熱を傾ける科学者です。彼らは現象の理解を理論的に深めるのは得意ではありません。その両方を行うのがパスツール型です。病原菌の存在
をつきとめて近代科学を切り拓く一方、狂犬病ワクチンを開発して多くの人を救いました。パスツールは真理を追究しながら社会貢献にも積極的に関与しました。
 いま、社会に求められているのはパスツール型の科学者です。エジソン型やボーア型を否定
するものではありませんが、現代が必要とするのは、大きな課題に学問の力で取り組んで社会
を変える科学者ではないでしょうか。元来が公の組織であり、文明の配電盤としてきた東京大学。国のために日本全体をよくしようという意識、社会貢献のDNAが組み込まれています。これは東大が誇るべきコア・コンピタンス(核となる力)だと思います。
 なお、近年、産学連携のモデルとされてきたアメリカの大学は企業化が進み、社会のための大学という意識が時には薄くなる傾向がありますが、この面での東大のポテンシャルは高いと考えられます。

馬場康憲「東大産学連携の歴史と展望」 淡青 No.28, 東京大学
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