yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

子沢山

2019-09-30 06:06:06 | 歴史
もてる男を「艶福家」という上品な言葉がありますが、俗にいうと「子沢山」となります。 江戸時代、11代将軍の徳川家斉には55人の子供がいました。明治時代、大蔵卿や総理大臣も務めた松方正義には、15男11女、あわせて26人の子供がいました。ある時、明治天皇から「子共は幾人かと」と尋ねられた松方は、咄嗟に答えることができず、「後日、調査の上ご報告申し上げます」と奏上したそうです。また、日本の資本主義の父といわれる渋沢栄一には30人の子供がいました。後妻の兼子には、「父さまは儒教という上手いものをおえらびよ。ヤソ教なら大変だよ」と揶揄されました。渋沢は「婦人関係以外は、一生を顧みて俯仰天地に恥じない」とみずから語っていたといいます。本人もこの点には多少の引け目を感じていたようです。
「子沢山」は「ひひじじい」と軽蔑されることもありますが、精力、気力、体力と包容力、社交力と財力に恵まれた証であり、立派な男子と言えるのではないでしょうか。

 渋沢栄一 「論語と算盤」ちくま新書


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台風15号 千葉県 縦断

2019-09-27 06:31:50 | 文化
台風15号で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
台風15号は、去る9月9日未明に三浦半島付近から上陸し、北上しました。房総半島は台風の東側にあったため、特に激しい暴風雨が、千葉県の南から北に縦断しました。千葉市では風速57.5メ-トルを記録し、これは観測史上最大といわれています。
 平素、千葉県は暖気も寒気も温和で、地震や台風もこれまで比較的少なかったので、私は太平楽に過ごしてきました。今回の台風は、のどかな夢を破る恐ろしいものでした。千葉県は森林や田畑が多いので、被害は広範囲にわたり、強風による倒木と家屋の損傷、道路の遮断も目立ちました。送電配電設備も損壊し、大規模停電が長期間続きました。停電の結果、通信設備まで無効になり、テレビ・電話・スマホ(メールを除く)、これらすべてが停止しました。エアコンも止まり、折からの暑さによる熱中症で数人が死亡しました。まさに電気はライフラインの要であると痛感させられました。併せて、断水もありました。通信が停止すると、被害を伝えることも救援情報を知ることも不可能になります。つまり直ちに陸の孤島になるのです。この台風15号により、電気と通信がもろくも停止し、平穏な日常生活が奪われました。天災に耐え得る強靱な電力設備と通信設備の整備を切望いたします。


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玄幕帖 諸葛孔明

2019-09-24 06:10:34 | 歴史
「三国志」、蜀の軍師、諸葛孔明が遺した唯一の書を「玄幕帖(げんばくじょう)」と言います(写真下)。ここには「玄幕大寂混合陰陽先生天地柔剛」の14文字が書かれています。孔明が生きた三国時代は漢字の書体が隷書から楷書へと変化していく時期でした。「玄幕帖」の書体は過渡期特有のもので、波打つリズムがありつつ、かっちりした楷書らしさも認められるそうです。真偽が確定しているわけではありませんが、仮に諸葛孔明の書だとすれば、正義派で剛直であった孔明の人柄がよくあらわれているそうです。また「玄幕帖」の書風は、かっちりしていて気骨がある一方、どこかに親しみやすさも感じさせるという人もいます。
 因みに魏・呉・蜀の三国の書は、例外はあるものの、それぞれ特徴的で、魏が「どっしりと迫力みなぎる」のに対し、呉は「軽やかでのんびり」、蜀は数は少ないですが「まじめで骨っぽい」といった印象を受けると言われており、書風はそれぞれの国のあり方を映すといわれています。



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常識 渋沢栄一

2019-09-21 06:30:06 | 文化
日本の資本主義の父といわれる渋沢栄一は非凡な人物ですが、普通の人と変わらない常識人でもありました。以下に、渋沢が唱えた常識を記します。
 
およそ人として社会で生きていくとき、常識はどんな地位にいても必要であり、なくてはならないものである。では、常識とはどのようなものなのだろう。わたしは、次のように解釈する。
まず、何かをするときに極端に走らず、頑固でもなく、善悪を見分け、プラス面とマイナス面に敏感で、言葉や行動がすべて中庸にかなうものこそ、常識なのだ。これは学術的に解釈すれば、
「智、情、意(知恵、情愛、意志)」の三つがそれぞれバランスを保って、均等に成長したものが完全な常識であろうと考える。さらに言葉を換えるなら、ごく一般的な人情に通じて、世間の考え方を理解し、物事をうまく処理できる能力が、常識に外ならない。   「論語と算盤」より

渋沢栄一が偉大なのは、私心が無いこと。行動のすべてが、世のため人のため国家のためであったからだと思います。なお渋沢栄一は、根本精神を「論語」に学んだという事です。

   渋沢栄一 「論語と算盤」ちくま新書




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混声コ-ラス・グル-プ フォレスタ

2019-09-18 05:52:56 | 文化
テレビでも活躍している「フォレスタ(FORESTA)」は、混声コーラス・グル-プです。BS日本テレビで毎週・月曜夜に放映されている「こころの歌、フォレスタ」という番組があり、私が好きな番組の一つです。ここで、歌っているのが「フォレスタ」で、男性約7人、女性約7人、ピアノ3人のグル-プです。因みに全員が音楽大学を卒業した正統派のプロで、素晴らしい日本の風土と自然と文化を歌い継ぐとしています。「フォレスタ」の番組を観て聴いて、いつも心が洗われる思いがしています。
「フォレスタ」は2003年に活動を開始し、2018年にメジャ-・デビュ-を果しました。因みに、「メジャ-・デビュ-」とは、日本レコ-ド協会が発行する楽曲コ-ド、ISRCに登録された記録媒体(CDなど)が初めて販売されることを指します。すなわち、「有名になる」と同義です。「フォレスタ」のCDになった楽曲は「故郷にいま帰る、あなたといるとき」です。他にも多くのCDがあります。
先日、「フォレスタ」を生で聴く幸運に恵まれ、美声とその迫力に感動しました。

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春日山懐古 大槻磐渓

2019-09-15 05:56:27 | 文学

江戸時代の詩人、大槻磐渓の七言絶句「春日山懐古」を紹介します。


春日山懐古

春日山頭鎖晩霞
驊騮嘶罷有鳴鴉
憐君獨賦能州月
不詠平安城外花

春日山頭晩霞ニ鎖サル
驊騮(かりゅう)嘶(いなな)キ罷(や)ンデ鳴鴉(めいあ)有リ
憐レム君ガ獨リ能州ノ月ヲ賦シテ
平安城外ノ花ヲ詠ゼザリシヲ

「訳」

ありし日の上杉謙信公の居城、春日山の跡に来てみれば、山一面夕映えに照り輝いて、名馬のいななきも聞こえず、ただものさびしく鴉(からす)が鳴いているだけである。それにつけても謙信公ほどの英雄が、「越山併せ得たり能州の景」などと、空しく僻地の月のみを愛でるにとどまり、京都に上って天下の統一を果たして、都付近の花を詠むこともなく、生を終えたことはまことに気の毒でならない。

 「鑑賞」

上杉謙信が織田信長軍を破り、能登で酒宴を開き、有名な「九月十三夜陣中作」を賦しました。北越全体を手中にしたのです。しかしこの後、信長と雌雄を決すべく準備をしていた最中に、謙信は49歳の若さで急逝しました。
天下に号令することが叶わなかった英雄への深い同情が「憐」の一字にこめられています。
「驊騮」は、華のように赤い謙信公の名馬を指します。

  「吟剣詩舞道漢詩集 絶句編」 日本吟剣詩舞振興会



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8月15日

2019-09-12 08:14:55 | 歴史
昭和20年8月15日は、昭和天皇が国民に終戦(敗戦)を告げる放送をされた日です。私は戦後世代ですから、太平洋戦争とこの玉音放送を体験しておりません。
多くの日本人は、この日を境に、価値観を大きく変えたといわれます。終戦を中学三年生で迎えたある作家は回想しています。この放送の後、何たることか。「一夜明ければ」という言葉どおり、少し落ち着いてくると、まわりの大人どもがあっさり寝返ったのを見たのである。あれほど精神の切り替えを鮮やかに、いや、あっさりとやってのけた例は、歴史上なかったのではないか。熱血殉国で私達をポカポカ殴っていた教師や元警防団員たちは「民主化」の旗振りとなる。戦争に負けるとは、軍事的には木っ端微塵に砕かれる、だけではすまず、精神的、思想的かつ文化的にも、日本人はノホホンと変わるんだ、この厚顔無恥!と骨身に沁みて思い知らされたのである。八月がくると、その情けない思いが蘇る。このぬけぬけとした自己欺瞞はいまにつづいているのではないかと。

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学んで思はざれば罔し

2019-09-07 05:47:56 | 文学
「論語」の「為政 第二」にある有名な言葉です。

子曰、學而不思則罔、思而不學則殆。

子曰ク、學ンデ思ハザレバ則チ罔(くら)シ、思フテ學バザレバ則チ殆(あやふ)シ。

本を読み、師について学び、識者の話を聞くなどいろいろ学んでも、自分の頭で考えぬかなければ物事は明確にならない。すなわち真に自分のものとはならない。また、考えても学ばなければ、独断に陥る危険性がある。

学んで記憶するだけでは不十分で、よく考えて本質を理解することが大事という意味です。
また、自分独りの考えだけで満足すると視野が狭くなり、独断的で一人よがりに陥ってしまう。学ぶことと考えることのバランスの大切さを指摘しています。

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早口言葉

2019-09-04 06:20:33 | 文学
早口言葉には、発音しにくい言葉をならべるものなど、いろいろあります。

月々に月見る月の多けれど月見る月はこの月の月
(仲秋の名月の月を指しています。)
瓜売りが瓜売りに来て瓜売り残し売り売り帰る売り売りの声
(昔、野菜売りはありましたが、瓜売りはあまり見ないと思っていましたが。)
やしの実をししが食い ひしの実をひひが食う
(東京や横浜の人が発音すると意味不明になってしまいそうです。)

お綾や母親にお謝り
青巻紙赤巻紙黄巻紙
新春シャンソン・ショー
キャリー・パミュ・パミュ  (落語の春風亭昇太師匠も苦手のようです。)
駒込のわがまま者 中野の怠け者

笑えるのに次の句があります。

月ヅキに ツケくるツキは多けれど ツケ払うツキは このツギのツギ




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高校の国語教育

2019-09-01 05:49:40 | 文化
近頃、高校の国語教育の内容が大きく改訂されていることを知りました。
2009年と2018年の指導要領を見ますと、古典が必修科目には無く、選択科目になっています。

現在の指導要領は、2009年告示、2013年度実施の要領です。
必修 国語総合(4単位)、
選択 現代文A(2)
現代文B(4)
古典A(2)
     古典B(2)
     国語表現(3)

上記に対して、2018年告示、2022年度実施の指導要領が下記です。
  必修 現代の国語(2単位)
     言語文化(2)
  選択 論理国語(4)
     国語表現(4)
     文学国語(4)
     古典探求(4)


このように古典が必修科目から外れていることをみると、日本文学の将来に対して危惧を覚えます。高校で必修として古典、すなわち、古文、漢文、短歌、俳句などを学ばないことは、日本文学の未来は寂しいことになるのではないでしょうか。日本文学と日本語は日本の文化の骨格でもあるのです。  







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