11人ものお遍路さんを受け入れたのは何年振りだろう。ここ10年、つまり新しい食堂になってから、初めての事じゃないかな。トライアスロンなどスポーツイベントで、20人以上泊まることはあったが、素泊まりだったり、朝食のみだったりである。
あまり使わない部屋を掃除し、寝具をセットし、献立を考えたり、食器を準備したり、2,3日前から緊張していた。いつもお出しする天婦羅は、冷めてしまうからできない。一人では、温かいうちにとか、冷たいうちに、とかいう料理は出せない。早くから並べて置けるものでないといけない。茶碗蒸しはうちの定番だが、バタバタするのが嫌なので、早めに蒸したら、食事の時間には冷めてしまって、温めなおし、かえって手間がかかった。日が長くなって、お天気も良かったので、お客様のチェックインが少し遅くなり、私の準備の方が先走ってしまったのである。時間切羽詰まってバタバタ焦るよりいいかな。
翌日の朝も、6時の朝食の20分前には出来上がっていた。若いころのようにはいかないだろうと、余裕をもって3時半に目覚ましをかけた。なので、余裕で準備ができたのである。これは、なるべく早く発ちたいお遍路さんには喜んでいただけた。
このグループは、東京の新ハイキングクラブという団体である。毎年お遍路を企画し、うちを利用してくれる。いつもなら6,7人であるけれど、今年はうるう年で逆打ちだからか、13人の申し込みだった。人数の多さに驚いたけれど、キャンセルがあるのが普通だ。結局11人になった。このような人数になると、なかなか予定通りに運ばない。リーダーは大変だ。
大人数は、私の仕事がきついのは言うまでもないが、お客様にも迷惑がかかる。まだ寒い時期なのでゆっくりお風呂に入っていただきたい。朝のトイレも混む。うちは設備が不足している。お断りした方が良かったのかなと思う。メンバーのうちのおひとりは、年に何度もお遍路で泊まってくださり、ザックバランに話ができるので、今度お会いした時に感想やお考えを聞いてみよう。ご不満や気が付いたことを言っていただける関係はいい。気が付かないままより、改善できるほうがいい。
翌日は昼頃から雨の予報だった。今頃は登山口かなとか、外を気にしながら片付けしていたら、昼前からもう雨になった。お寺では冷たい雨の中お経を唱えなければいけない。気の毒に。この日は白地荘、おおきな暖かいお風呂に浸かれる。
今日は凄い嵐。この強風の中、雲辺寺を越えてくるお遍路さんがいる。声の調子から比較的若い女性と思われる。こんな日は休憩するよりひたすら歩く。早く到着されるだろう。暖かく迎えてあげたいものだ。