束の間の 花は終わりぬ 今年(いま)の春
玉手箱 開けにゃ良かった 夢終わる
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散歩の途中にふと見たら翁草があった。まさに翁の風情を醸して風になびいていた。この草は独特で、花とその後の姿は全く違っている。良く観察すれば、タンポポだって花とその後の姿は大分に違っているのだけど、翁草はその名の通りまるで白髪のご老人のイメージを浮かび上がらせる。
何度も同じ道を通っているのだけど、花の咲いているのに気づかなかったのは迂闊(うかつ)だった。従って花の写真はない。花は濃い赤紫のやや厚ぼったい感じの花弁(はなびら)を持っている。この花の仲間には高山植物で有名な九十九草(つくもぐさ)がある。八ケ岳登山のあこがれの花の一つだけど、知識と写真だけで未だ会ったことはない。もう横岳や硫黄岳に登る元気はないので、生涯会えないだろうと思っている。その分、せめて翁草を見て思いを馳せることにでもしようと思う。
翁草はキンポウゲ科の植物である。この科の植物には毒草が多い。翁草も何やら毒を持っているらしく、見た目と違ってその本性は厳しいようだ。植物の毒というのは、使い方によっては薬にもなるということで、この草も漢方では使われているようだ。それにしてもあっという間の老人への変身には驚かされる。自身の毒にやられてしまうのだろうか。
私も翁に近い年齢なのだが、彼らと決定的に違うのは、翁の証のような白髪が無い。髪そのものが無い。もう諦めているけど、この草の姿にちょっぴりジェラシー(?)を覚えたりしたのだった。