山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

名水のこと

2007-12-05 02:10:49 | くるま旅くらしの話

人間が身体に取り込まなければならないものの中で最も重要なのが水だと思っている。身体の大半は水をベースにつくられ、動いていると思っている。だから、私は水にはかなり拘(こだ)わっている。最近は通常の水道水をそのまま飲むなどということは決してしない。調理の際は浄水器を通したものを煮沸して使っているが、飲料水としては市販されている、いわゆる名水と呼ばれているものを飲むようにしている。

旅に出ると、各地の名水を活用することに努めている。今回の関西・北陸の旅では、上中町(現在は合併して若狭町となった)にある瓜割の名水を汲んだ。若狭エリアには、古来より名水が多いようだ。奈良東大寺二月堂のお水取りは、春を告げる行事として有名だが、そこで汲み取る水を送っているのは若狭小浜の遠敷川上流にある神宮寺で、ここにお水送りの行事があるというのを知ったのは何年か前だった。神事においても若狭と奈良とがつながっているというのは、かなり壮大なスケールの話だと思う。

瓜割の名水は、瓜割の滝から流れる清冽な水を汲むものであるが、旅でここを通るときには、必ず寄って飲み水のペットボトル(常時2L入りを12本は携行するようにしている)を充填し、更に車の水タンクを満たすようにしている。ここでの水汲みは有料で、所定の手形であるラベルを事前に購入しなければならない。何だかケチな話だなとは思うけど、維持管理のためには費用もかかることだから、安全で美味い水を確保して頂くためにはやむを得ないのだろうと思っている。

ところで、名水は安全かという問題がある。特に最近のように食品関係でルールを逸脱した行為が話題となることが多い状況では、何の疑問もなく名水であるという評判だけで水の安全性を信ずるというのは、かなり勇気の要ることかもしれない。多くの場合は、水質検査を定期的に実施しその証明書が明示されており、それまでがインチキだとは思えないので、信用することにしている。でも念を入れて、そのまま生水を飲むことはしないようにしている。旅の途中でお腹をこわし、体調を崩したりすれば旅は台無しとなってしまうからだ。今回は勿論体調を崩すようなことはなく、その後も美味しい瓜割の水でお茶を飲み、コーヒーを味わって満足だった。

話は変わるけど、いつの日か造り酒屋の名水なるものを訪ねる旅を考えて見たいと思っている。各地の造り酒屋さんに行き、そこで使っている水を一杯飲ませて頂くだけの話なのだが、結構面白いような気がしている。というのも、酒造りには水は生命線だと思うからだ。私の信念として、美味い酒は美味い水につながっており、本当に美味い酒というのは、水のようにサラッとした味の酒なのだと思っている。ベトベトした甘ったるい感じの酒はインチキだと思う。限りなく美味い水に近い酒、飲んでも酒とは思われないほどサラッとした奴が本物の美味い酒なのだと思っている。中国の詩人李白は、斗酒なお辞せずという酒仙だったと聞くが、彼が飲んだ酒もきっとサラッとした水のような酒であったに違いない。ベドベトした甘い酒ならば、決して斗酒とは行かないであろう。そのような酒をやたらに飲んだら、悪酔いするだけである。それは李太白大人にも言えることではないか。そう思っている。

名水と名酒を求めての旅は、なるべく早く開始した方がいいように思っている。古希にはまだ少し時間があるが、古希を過ぎての酒へのいれこみは考えものだ。心と身体の調和のとれた飲み方は、工夫次第であの世に行くまで可能だとは思うが、70代になっても美味い水と美味い酒を求めて全国をうろつくなどと言うのは、いささか滑稽のような気もするのである。(多分にそれでもいいのでは、という考えもあるのだけど) 名水のことを話しているうちに、結局は名酒に辿り着いてしまう。いつもの悪い癖である。

コメント (2)
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