東京多摩借地借家人組合

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「住宅セーフティネット」言葉だけでなく住宅に困窮している人達に人間らしい住まいを保障せよ

2006年08月26日 | 国と東京都の住宅政策
最近政府や自治体の文書でやたらと出てくる「セーフティネット」という言葉だが、語源はサーカスなどで落下防止のために張る網を指す語で、「経済的な危機に陥っても、最低限の安全を保障してくれる、社会的な制度や対策」を意味する。
 国土交通省は先月発表した「今後の公的賃貸住宅制度のあり方に関する建議案」で「住宅セーフティネット」の機能向上を、民間賃貸住宅を含めて構築すると提言している。国民は市場において自力で適正な居住水準の住宅を確保すべきであり、どうしても「市場において自力で住宅を確保できない低額所得者に対しては行政が一定の関与をして市場を補完・誘導する賃貸住宅の供給を進めていくことが重要である」という。具体的には少子化対策として「子育て支援の強化」などだが取り立てて目新しいものはない。むしろ、公営住宅は「真に住宅に困窮した人」に入居を限定するため収入基準を引き下げ、家賃負担を引き上げて入居者の追い立てを狙っている。
本当にセーフティネットというなら、収入に占める家賃負担率を示し、基準を上回る人たちや生活が困窮して家賃の支払が困難な人たちに家賃補助を実施すべきである。しかし、「居住の権利」を住生活基本法にも盛り込まない自民党政府に、国民が安心して住み続けられる政策など期待するほうが無理なようだ。
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建物の朽廃で借地権は消滅するので契約の更新を拒絶すると言われたが

2006年08月26日 | 借地借家の法律知識
(問)過去に2回借地の更新をしている。18年前に合意更新した借地契約の更新が迫っている。地主は建物が老朽化して朽廃状態なので契約の更新はしないので明渡しの準備をするように言って来た。

(答)「借地借家法」(1992年8月1日施行)には「朽廃」に関する規定は置かれなかった。そのため建物が朽廃しても借地権は消滅しない(同法3条)。朽廃は「滅失」の場合として処理され、借地権の消滅原因ではなくなった。しかし、「借地借家法」施行以前に設定された借地権に関しては、同法附則5条によって「借地法」の「朽廃」規定が適用され、法定の存続期間の満了前に建物が自然に老朽化して建物としての効用を喪失した状態になった時点で借地権は消滅する(借地法2条1項但書)。
 朽廃というのは、一般的にいう建物に生じた自然的腐蝕状態によって建物の社会的・経済的効用を失った場合をいう。火災・地震・台風・水害等外部からの力で倒壊した場合の「滅失」とは異なる概念である。改築するために建物を取壊す場合も滅失になる。建物が「滅失」しても勿論借地権は消滅しない。
「朽廃」の規定が問題になるのは契約当事者が存続期間を取決めない場合である。例えば(1)法定更新の場合(2)更新請求による更新の場合(3)合意更新で期間を定めなかった場合、その(1)から(3)の法定存続期間中に建物が「朽廃」すると借地権は消滅する。(4)期間を取決めたが法定存続期間よりも短い期間を定めた場合も(1)から(3)の例に含まれる。
 ここで注意しなければならないのは、借地契約で鉄骨建物等の堅固建物所有の30年以上の存続期間を、その他木造建等の非堅固建物所有の20年以上の存続期間を定めた場合は「その期間満了前に建物が朽廃しても借地権は消滅しない」(最高裁1962年7月19日判決)。
 このように借地の存続期間を契約で定めている場合(借地法2条)、相談者の借地契約は期間を20年と定めているので、借地上建物の朽廃があっても借地権の消滅はありえない。従って地主は朽廃を理由に更新を拒絶することは出来ないし、建物が朽廃しても再築は可能である。

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