花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

パートタイマー・秋子

2024-02-03 12:28:56 | Weblog
(※朝日新聞朝刊連載「折々のことば」風に)

 「私、変わったんじゃないわね、きっと。元々この程度だったのかもしれない。」

 パートタイマーとしてスーパーで働きだした秋子が目にしたのは、従業員たちの不正や歪んだ人間関係だった。レジを通さない商品の持ち出し、レジのお金のごまかし、古くなった肉を新しい肉に混ぜ、加工日を書き換える。また新しくきた店長と古株の対立や足の引っ張り合いなど、それまで専業主婦だった秋子には驚くことばかり。ある時、元品出し担当の貫井が訪ねてきた際、くすねた肉を持っていってと差し出し拒否される。秋子の変わりように唖然とする貫井に対して、変わったのではなく、今までは恵まれていたので正体が表に出なかっただけ。このスーパーで自分がどうなっていくか見極めたい、と答える。人が状況に試された時、露わになった姿を変わったと見るか、本来のものと見るか。


二兎社公演「パートタイマー・秋子」での沢口靖子さん演じる樋野秋子役のセリフ