花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

置いてけぼり

2022-12-18 13:00:00 | Weblog
 先日、東京都写真美術館で開催されている「星野道夫 悠久の時を旅する」を観てきました。星野さんはアラスカを初め極北の動物や自然を題材としてきた写真家で、またエッセイストとしても有名です。撮影のため訪れたカムチャッカ半島でヒグマに襲われて亡くなられたことは、多くの人に惜しまれています。

 さて、展示の前半部分にあった「春のアラスカ北極圏、群れにはぐれてさまようカリブー」とキャプションの付いた写真の前に立った時、私はあることを思い出しました。だいぶ前になりますが、軽井沢から北の方の奥へ入ったところにある留夫山と鼻曲山に仲間と登った時のことです。行程をほぼほぼ終え、霧積温泉の近くまで下ってきていました。この日は、大相撲秋場所の千秋楽にあたり、北勝海と旭富士が相星で並び雌雄を決することになっていました。

 優勝の行方が気になっていた私は、最後の小休止をした際、山の中で弱い電波をキャッチすべく、ダイヤルで周波数を合わせる方式の昔のラジオで懸命に音を探していました。途切れ途切れの音声に意識を集中させ、やっと北勝海の優勝を聞き届けて顔を上げました。すると、あたりには誰もおらず、「ヤバっ、置いてけぼりにされた」と、慌ててみんなの後を追って走りました。

 「群れにはぐれてさまようカリブー」を観て、ふとそんな昔のことを思い出しました。ところで、この被写体のカリブーは如何なる理由を持って群れからはぐれてしまったのか、それがとても気になります。