(※朝日新聞朝刊連載「折々のことば」風に)
「小さな薪でも、くべ続ければ火は消えない」
精神的にマイナスな状況下に長く置かれているうちに「何をやってもムダだ」と思うようになることを、心理学では「学習性無力感」と呼ぶ。臨床心理士のみたらし加奈さんは、差別や偏見が世の中からなくならない中、「無力なんて学習しなくていい。小さな薪でも、くべ続ければ火は消えない。じんわりとでいい。連帯の輪を広げていきたい」とメッセージを送る。差別や偏見にとどまらず、人権や命すら軽んじられ、目をそむけたくなるような出来事が絶えない。「それはおかしい」と思うこころの火を、「どうせ・・・だから」で消さない、あきらめの悪さを持ちたい。
2022年3月9日付 朝日新聞朝刊 「ひと」欄から
2022年3月9日付 朝日新聞朝刊 「ひと」欄から