花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

知は力なり

2016-02-27 14:40:48 | Weblog
 かつてアメリカ歴史学会長を務めたこともある入江昭さんは、著書の「歴史を学ぶということ」(講談社現代新書)の中で次のように高校時代を振り返っています。「とくに私にとって刺激的だったのは、安藤英治先生の教える社会科で、高校一年生にアダム・スミス、フリードリッヒ・リスト、マックス・ヴェーバーなどの思想を教えてくれた。どこまで吸収できたかは疑問であるが、教科書以外にも知識の宝庫が山とあること、そしてその宝庫の扉はだれかに開いてもらうのではなく、自分たちで開くものだという姿勢を教えられたように思う。安藤先生の専門分野は社会思想史で、歴史学そのものではなかったが、先生が尊敬していた政治学者の丸山真男教授と同じように、ドグマ、とくに国家によって強制的に押しつけられる「史実」に対して、常に批判的な態度で接しておられた。」
 教科書以外にも知識の宝庫が山とあること、その宝庫は自分で開かなくてはならないこと、これらのことは入江さんの時代のみならず、今においても大切なことです。「知は力なり」と言いますが、知識が力となるにはこのような姿勢が必要ではないかと思います。そして、知が力となれば、ズルズルと忍び寄るドグマの浸食を許さなくなります。そのことを考えると、大学を職業訓練校的なものへシフトしたい人たちは、ドグマに対する批判力を封じることを狙っているのではないかと思えてきます。