花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

時は金なり

2013-12-13 08:06:36 | Weblog
 11月最終日に弟と群馬県横川のアプトの道を歩きました。アプトの道の終点から先は車道を軽井沢まで歩きました。11時に横川駅から歩き始め、軽井沢駅に着いたのがだいたい15時頃、途中でお昼ご飯を食べた時間を差し引くとおおよそ3時間30分の行程になります。鉄道なら高崎を出た新幹線は安中榛名を経て軽井沢へ至り、横川-軽井沢に相当する距離は数分で走り抜けることでしょう。缶ビール1本飲みきれないくらいの時間です。歩けば3時間半掛かるところを新幹線なら数分で行けるとは、まさに「時は金なり」です。しかしながら実際に歩いた身としては、このような見方も出来るのではないかと思います。新幹線だったら缶ビール1本飲みきれないほど、そんなあっという間の時間で通り過ぎてしまえば横川-軽井沢間の道のりなんて記憶にも残らず、無きに等しき物です。ただ、その分浮いた時間を別のことに使えると言ってしまったらそれまでですが。とは言え、森閑とした山道で葉っぱの落ちた木の間越しに見える、空を塗り込めた目を奪うような明るい青色、あるいはキラキラとした陽光が書き割りでもあるかのように、きゅっと差し込んでくる空気の冷たさ、私たち兄弟はしっかりとこれらのものを意識に刻みました。この日の碓氷峠越えはきっと私たちの引き出しに何かを残したことでしょう。いつの日か、「そう言えばあの時は」と話すことがあるかもしれないと想像するだけでも楽しくなります。新幹線ならたかだか数分、そこをわざわざ歩いて費やした時間は、これも金なりではないかと思います。それは時間を金で買うという意味ではなく、金のように価値がある時間だという意味で。