8月15日の朝日新聞朝刊に、韓国の李明博(イミョンバク)大統領が天皇に謝罪を求める発言をしたとの記事が載っていました。李大統領は教員を相手とするセミナーで、「(天皇は)韓国を訪問したがっているが、独立運動で亡くなった方々を訪ね、心から謝るなら来なさいと(日本側に)言った」そうです。天皇の戦争責任はセンシティブな問題なので、李大統領の発言の中身はひとまず置くとして、私は、「日本にいるたくさんの韓国の方は大丈夫だろうか」と、この発言の与える影響が心配になりました。国と国との間で軋轢が生じた場合、軋轢の当事者ではなく、謂われなき弱者が被害を受けることは世の常です。李大統領の発言を「けしからん」と思う人はきっといるでしょう。その人たちの怒りの矛先が、発言とは何ら関係のない在日韓国人に向かわなければ良いが、と思います。また同時に、当然波紋が予想され、しかも微妙な時期にあえてした発言に、「思慮がなさ過ぎじゃないか」とも思いました。ロンドン五輪で韓国の男子サッカーチームが3位になった時、観客から手渡された竹島領有問題に関するメッセージを掲げて、表彰式に出られなかった選手がいました。これにしても、政治色に敏感な五輪の場でそんなことをすればヤバイということは分かりそうなのに、メッセージを手渡した人が無思慮でした。自分は良いと思っていても、その結果、ほかの誰かが迷惑を蒙る恐れがあれば、そのような言動は慎むべきです。まして、一国のリーダーであればなおさらです。