1/28(木)、日比谷の帝国ホテルで大佛次郎論壇賞の贈呈式が行なわれました。「コミュニティを問いなおす」(ちくま新書)の著作で受賞された広井良典・千葉大学教授の受賞スピーチの中で、次の言葉が印象に残りました。「現在の日本社会は、マイナスの話題であふれているように見えますが、そこから出発して、いかにプラスの価値を作り出していくかが、今後大きく問われていくでしょう」 確かに、現在の社会を肯定したり称賛する言辞よりも、否定的・批判的な論評が目立ちます。「膿を出す」という言い方がありますが、マイナスな情報が次から次へと出てくる観があります。そこで大切なのは、マイナス情報に積極的意味を見いだすことだと思います。後を絶たないネガティブな話に嫌気を差したり、反社会的な気持ちを持ったりするのではなく、今は悪いものをなくす時期なのだ、悪いものが出てくるということは、出てきた分だけ悪いものが減っているんだ、と前向きに捉えることが大事ではないでしょうか。また同時に注意しなければならないのは、マイナス面が出てくることに合わせて、あら探しや悪口合戦のような態度に陥ることです。出さなければならない膿は実体としてのワルであって、自分が気に入らないもの(こと)ではないからです。そして、一番肝心なことは、広井教授がおっしゃるように、 膿が出た後、「いかにプラスの価値を作り出していくか」です。ただ、新しい価値を作り出すのは難しいことです。私自身、「ではどうする?」と訊かれても、黙ってうつむくよりほかありません。とは言いながら、うつむいたままであっても、考え続けることは出来ます。漠とした言い方になりますが、人と人との間合いの取り方において、お互いにもたれ掛かり合う関係から脱却し、まず自分の足できちんと立ち、その上で手を携え合う関係を構築することが、プラスの価値を作り出す取っ掛かりになるのではないかと、私はそう思います。
(ご参考)
朝日新聞の2009年12月13日付け朝刊に大佛次郎論壇賞の受賞理由が掲載されていました。記事によると、「戦後日本社会の基盤を支えてきた『家族』『会社』といった共同体が、大きな経済成長が望めない今、崩れはじめている。孤立を深める個人が、独立を保ちながら再びつながることができる『コミュニティ』をどう作っていくか。日本の未来の姿を考える上で大きな手がかりになるテーマに幅広い視点から取り組んだ意欲と提言に、選考委員の大きな支持が寄せられた」、とあります。
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朝日新聞の2009年12月13日付け朝刊に大佛次郎論壇賞の受賞理由が掲載されていました。記事によると、「戦後日本社会の基盤を支えてきた『家族』『会社』といった共同体が、大きな経済成長が望めない今、崩れはじめている。孤立を深める個人が、独立を保ちながら再びつながることができる『コミュニティ』をどう作っていくか。日本の未来の姿を考える上で大きな手がかりになるテーマに幅広い視点から取り組んだ意欲と提言に、選考委員の大きな支持が寄せられた」、とあります。