花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

政治の自殺を防ごう

2008-08-07 21:22:34 | Weblog
 今日の朝日新聞朝刊に、評論家・宮崎哲弥さんの福田改造内閣に対する意見が掲載されていました。宮崎さんは「総選挙対応内閣であることは明らか」として、次の点をその理由にあげています。歳出削減を目指した小泉・竹中路線の継承者を外し、有権者、特に地方の有権者を意識した財政出動に舵を切れるように路線変更した、また郵政票を目当てに郵政民営化に反対した人たちを復権させたと受け取れる人事をした、などがその理由です。宮崎さんは、有権者の自民党離れを防ぐために、増税論議はしばらく封印されるだろうとか、基礎的財政収支の黒字化の目標年度の先送り(要は選挙まで票につながるお金は使いますよということ)が、この路線変更によってもたらされるとも見ています。
 今週月曜、同じく朝日新聞朝刊に、哲学者・鷲田清一さんと政治学者・苅部直さんの対談が載っていました。その中で苅部さんは次のような発言をしています。「異なる価値や利益を追求する者どうしが、どうやって共存するか。それが政治の役割だとするなら、当然、討論や調整に時間がかかることになる。その手間を省き、とにかく「民意」に沿ったように見える決定を、手あたり次第に行うのは政治の自殺でしょう。世論調査の結果に合わせて政策を打ち出し、人気を得る方法もたしかに民主的ではある。でも、そこで前提とされる「民意」が、本当に人々が思っている内容なのか。全体の利益と重なるのか。その検討が飛ばされてしまう。」 この苅部さんの言葉は、性急に結論を出すことに走る愚を、そして内閣支持率を上げること、選挙で票を獲得することをのみ目的として、施策を打ち上げることの愚を指摘しています。
 福田内閣の政策が私たちや私たちの子供らのことを本当に考えているのか、それとも票を得るためのご都合次第のまき餌なのか、これからきちんとウォッチしていかなければならないと思います。それから、これは私の思い過ごしかもしれませんか、仮に選挙での勝利を目的とした内閣であるかのように見えたとして、その実、選挙さえをも政争のタネにしてはいないか、党勢回復をうたう振りをしながら、選挙を隠れ蓑にしたその裏でポストを手にしようなどと考えている御仁がいないかに目を配ったほうが良いかもしれません。私たちの生活を、そんな思惑で左右させないために。