花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

市民参加と地方自治の明日(前編)

2006-04-19 22:49:02 | Weblog
 今日の朝日新聞夕刊で政治学者・松下圭一さんの地方分権への取り組みに触れた記事があった。松下さんは、「上からの国家統治に代わって、市民から出発する民主主義、市民自らによる自治型の政治にしなければならない」、と考えていた。その思いを「地域民主主義」の言葉に込めて、実際に現場の市職員や住民たちとともに、高層住宅への対応や清掃工場づくりなどの暮らしの課題に対する解決策を練り上げていった。武蔵野市がその舞台となったことから「武蔵野方式」と呼ばれる地方自治の手法である。
 一方、現在進められている市町村の平成大合併は、同じ地方自治に関わることながら、松下さんが唱える内容と相容れないものである。先ず「上からの」合併だという点があげられるが、それよりもそもそも適用されるべき対象が異なっている。住民が参加して身近な課題に知恵を絞り政策を立案していくやり方が通用するためには、その地域が比較的小さなまとまりでなければならない。コミュニティとかタウンと言われるような規模にあたるものである。仮に、東京都で武蔵野方式を実践しようとしても、議論がまとまらず何も前に進まないのは明らかである。共通の関心や利害が形成しやすい規模というものがあり、それを超える規模の地域で住民参加型の政治をしようとしても、結局利害の調整不能に陥り「声の大きなもの」が幅をきかすことになる。この意味において、武蔵野方式と平成大合併は地方自治に対して異なるベクトルを持っていると思う。ただし、ここで言いたいのは、「じゃぁ、どっちがいいんだい」といったことではない。そのあたりは、次の投稿に回したい。