ハープーンの後継として、米海軍とDARPAが開発している長距離対艦ミサイルLRASM(Long Range Anti-Ship Missile)。航空機発射型と水上艦発射型がある。
政府は長射程ミサイルとして開発中の地対艦ミサイルについて、2026年度以降としている部隊配備の時期を前倒しする方針を固めた。複数の政府・与党関係者が2日、明らかにした。開発完了を待たずに試作品段階で配備する。台頭する中国をにらみ、防衛力強化を加速させる。
配備を前倒しするのは、陸上自衛隊に配備されている12式地対艦誘導弾の改良型。地対艦ミサイルは地上に展開した車両から発射し、敵の艦艇などを破壊する。政府は20年12月、敵の射程圏外から攻撃する「スタンドオフ防衛能力」の強化の一環として、長射程化を決めた。
改良型の開発では、21~25年度の5年間で試作品の製造・発射試験・性能評価を実施することが既に決まっている。政府はこれまで、26年度以降の量産・配備開始を目指していたが、23年度以降に前倒しすることを目指す。開発完了前でも一定の性能を獲得できた段階で導入する「アジャイル開発」と呼ばれる手法を採用し、早期配備につなげたい考えだ。
改良型の射程は、現行の12式の約200キロを大きく上回る900~1500キロを目標としている。政府は相手国のミサイル発射拠点などをたたく「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有を検討しており、改良型は反撃能力への転用も可能となる。
防衛省は8月末に締め切られる23年度予算の概算要求に、改良型の配備前倒しに必要な経費を盛り込む方針。主要装備の整備数量を示す「中期防衛力整備計画」(中期防)が年末までに改定されるのを受け、中期防にも反映させる。
開発完了前の装備品の配備は4月の自民党提言でも求められている。政府関係者は「最初は60~70点程度の性能でも、部隊で実際に運用しながら改善を進められる利点がある」と話す。
政府は艦艇や戦闘機に搭載する長射程ミサイルも、開発完了前に配備することを検討しており、岸田文雄首相が掲げる「日本の防衛力の抜本的強化」に向けた取り組みの軸としたい考えだ。
参考:アジャイル開発は、現在主流になっているシステムやソフトウェアの開発手法の1つで、『計画→設計→実装→テスト』といった開発工程を機能単位の小さいサイクルで繰り返すのが最大の特徴。 優先度の高い要件から順に開発を進めていき、開発した各機能の集合体として1つの大きなシステムを形成。
@きりがないと言えばきりのない話だが、それでも撃ち返すだけの能力を持っていなければ、やられてしまうという現実を直視し、実際に戦える自衛隊を目指せ!