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ギンネムとアメリカハマグルマの組み合わせ。

2024-08-03 04:31:00 | Peace Cafe

  写真のギンネムの2年生の幼木である。台風に吹かれても何とか耐えたようだ。のぼたん農園にある植物では、アメリカハマグルマとギンネムが特定外来生物に指定され、排除すべき植物とされている。この二つの植物があまりに旺盛なもので、在来の植物が淘汰されて行くと言うことらしい。

 ギンネムは亜熱帯の荒れ地を農地に改善するために有用マメ科の樹木として、持ち込まれたものだ。野生化して蔓延ったものである。アメリカハマグルマは道路沿いの土手などの補強の植栽に持ち込まれたものだ。両者ともその目的を達成し、沖縄全土に確実に広がったのだ。

 役目が終わったわけではない。農地にしたい荒れ地も増えているし、道路沿いなどに崩れやすい斜面もある。役に立つのに何故、排除しようというのかが分らない。多分これから書くことは、批判を受けるだろうと思う。その覚悟であえて書いている。

 希少な在来の植物を圧倒して、絶滅に追い込むと言うことが、問題になるのだろう。しかし、砂漠を緑地にすることも、砂漠の希少植物を淘汰するというので、悪い事になるのだろうか。バイオマスとしては十分な量の植物なのに、何が問題なのか、環境の豊かさというものを考えてみたい。

 マメ科の樹木で、土壌改良にも役立つ木だ。スリランカから1910年に緑肥植物として、沖縄の国頭農学校に導入されたのが最初である。八重山列島には、1932年に八重山農林学校の初代校長が、燃料用の薪材にする目的で導入したと伝えられている。まだ電気もガスもない90年前の話だ。

 根が深く入る樹木なので、水源林としても有用だと思われる。熱帯の乾期・亜熱帯の干ばつでも枯れず、生命力が強い。 根毛に寄生する根粒菌によって荒地を改良し、造林効果がある。 沖縄に有用な樹木として持ち込まれたが、生命力が強いため。沖縄では至る所に見られるようになった。この点は評価されるべきだろう。

 ギンネムの葉を発酵製法でお茶にして、健康茶として売られている。それくらいミネラル分を含有する良い植物なのだ。ギンネムの何が悪いのだろうか。私には理解しがたい。何故特定外来食靴として、排除しなければならないの化理由が分らない。導入した農学校の校長は今残念に思っているだろう。

 そもそも山林や農地の管理が不十分になっているのだ。折角ギンネムが土壌を改善してくれても、その農地を使おうという人が居ないのだ。軍事基地にするならどっちでも良いことだ。そこへ環境主義的に、在来植物の保護が出てきたのだ。

 当初畑の緑肥、薪炭、家畜の飼料、荒地の緑化、土壌流出防止、など多目的に有用な植物とされ、沖縄の人自身が導入したものだ。扁平で長さ 5mmほどの黒褐色の種子は糸で綴ってネックレスなどの装身具をつくる。 亜熱帯の気候において、旺盛に繁殖する希少な植物である。

 のぼたん農園でも特に広げるつもりはなくとも、繁殖場所を広げてくれている。防風林にも成るし、根が深いから水を保つ効果も大きい。ひどい石ばかりの土地でも、どんどん広がってくれる。白いまん丸の房状の花は美しい。香りも悪くない。木の姿も悪いものではない。成長が早いというセンダンよりもさらに早く大きくなる。

 ギンネムがが単年度あたりに生産するバイオマス量は、他の植物に比較してケタ違いに大きいのだ。石垣島では、樹木を薪にして暮らした時代がある。それを戦時中かなり支えたのが、ギンネムである。葉は山羊や水牛の餌として、極めて貴重な物であったのだ。長期的に見れば、石の間に豊かな土が増えているのだ。

 過去に本種が移入された東南アジアの開発途上国などでは、本種の生産したバイオマスを積極的に利用している例もある。ミクロネシアでは米軍が緑化のために種を空中散布して広げたという。戦後は、焼け野原となった沖縄に緑地を早く回復させるため、米軍が空から種を大量に蒔いたという。

 この素晴らしいギンネムという植物が、何故か今では排除すべき迷惑な植物とされたのか。私には特定外来生物という言葉が排除すべき生物となるのかが疑問なのだ。暮らしがおかしくなり、薪など必要ではなくなり、排除すべき植物が変わり、約には大して経たないが、希少な植物というだけで保護対象になる。本当に環境を守ると言えるのだろうか。

 このギンネムの下草には、アメリカハマグルマが似合う。ハマグルマも実に旺盛で、ほとんど石のような土壌でも、いくらでも広がってくれる。背丈が低く広がるし、一面の黄色い花は美しい。道路際の植栽に導入したという意味はよく分る。しかも増えすぎるほど丈夫なのだ。

 良いのは木に絡みつかないところだ。だからギンネムの下にアメリカハマグルマが生えれば、安定状態が出来る。アメリカセンダングサも生えるが、こちらも帰化植物だが、沖縄では蜜源になり有用になっている。そして、10年もすれば良い土壌が生まれている。

 この2つの嫌われている特定外来生物の組み合わせは無敵だ。まあ、無敵だから困るとされているのだが。その無敵の大親分が人間だ。人間が特定外来生物の筆頭ではないか。人間は東アフリカボツアナ付近で、初めて地上に降り立った。それが地球上あらゆる所に広がり、他の生物を絶滅に追いやっている。

 本来そこにある生物が大切なのであれば、まず人間がいなくなることが最大の効果のある環境保護対策である。人間が生存することを認めるのであれば、特定外来生物などと言う、偏った短時間の時間軸の考え方は止めるべきではないだろうか。

 どういう安定状態を望むかは、人間の都合だけで決めては成らない。バイオマスが豊かになることの方が、現状としては重要な気がする。砂漠化するより正しい選択ではないか。地球の生物の多様性などと言っても、何度も絶滅に瀕しながら、再生してきたのが、植物の歴史ではないか。100年ぐらいの期間の判断で決めてはならないだろう。

 のぼたん農園では自給というものが、大きな方角である。化石燃料を使わない自給のために何が良いかである。まだ結論が出たわけではないが、アメリカハマグルマとギンネムの組み合わせが、自給に役立つのであれば、他所から来たものだろうが、大いに利用したいと考える。

 人間が生きて行くと言うことはそういうことではないのか。環境の現状維持の理屈だけでは、への突っ張りにもならない、水生昆虫が貴重だからと言うだけでは、私は納得がいかない。睡蓮ティナを排除しろと言われたのが、腹が立っているのだ。モネのように美しい池を作ることが悪い事なのだろうか。

 アカウクサもだめだというのだ。こういう環境原理主義は視野が狭い。アカウキクサは稲作の肥料として役立つ。ベトナムでは14世紀ぐらいから行われてきた農法だという。これが水面に広がることで、雑草の抑制にも成る。考えてみれば、稲だって外来植物だ。

 外来生物だからといって悪いわけではない。人間の暮らしに役立つものであれば、農作物になる。土壌をゆたかにするものであり、土壌が水を保つ力を増してくれるのであれば、悪い植物とは言えないのではないのだろうか。昔からあったと言ったところで、せいぜい何万年の話だ。環境保護の意味を問い直す必要がある。
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