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田んぼはいつ水を切るべきなのか。

2018-09-05 04:42:21 | 稲作

止め葉の先がわずかオレンジ色になってくるのが、根が枯れてきた合図とみる。

田んぼの最後の仕上げが稲刈りまでの水管理である。稲の根を最後まで枯らさない。徐々に水が引いてゆくような水管理が重要になる。稲の根は水がなくなれば枯れる。土壌に水が含まれていれば、水たまりがないくらいでも稲の根は枯れない。根が枯れれば、穂の膨らみはそこで終わる。だから、出穂から1か月は水を切るなと言われている。8月10日が出穂であれば9月10日までは水を入れて置くという事になる。しかし、有機農業の1本植は出穂のばらつきが大きい。8月10日ではまだ穂が出ていない脇から出た孫分げつがあある。この孫分げつまでしっかりした大きな粒の穂にしたい。となると出穂ではなく、穂揃いから4週間の間は水を入れ続けると考えた方が分かりやすい。この4週間の水管理は土壌を固めながらの、浅い流し水管理を行う。川の岸辺のイネが、水位の増減を繰り返しながら乾いてゆくイメージである。状態によっては2日ほど入水を止める。穂揃いが8月18日だったのだから、9月15日が水を切る日になる。この日にはすべての穂が黄金色に色付いているだろう。止葉はまだ緑を残してほしい。稲刈りがその2週間後9月末になる。2週間あれば、雨さえ降らなければ乾くだろう。

有機農業では穂が黄色くなってきても止葉は緑を濃く残している。ここの葉の緑の色が濃いのは穂肥が上手く効果を上げたからである。今年の場合、止葉の色は一度黄色っぽく葉色を落とした。気象庁は6~8月の夏の天候まとめを発表した。東日本は平年より1・7度高く、1946年の統計開始以降、最も高くなったという。こんな極端な気象の状態では、例年のやり方が通用しなかった。イネは予想外の状態になった。久野でも熱さに稲が疲れてくるというような現象が見られた。高温が続き早く土壌が消耗した。例年よりも全体に葉の色が早く黄色くなった。肥料切れで穂が充分に大きくならない可能性がでた。穂肥の与え方が重要になった。浅い流し水管理で、田んぼを乾かさず、田んぼを冷やすことにした。矛盾しているが同時に土壌を固めるようにした。稲の背の高さが過去にない120㎝越えになった。これは稲の田植え以降の生育期に一気に土壌の肥料分がイネに集中したのだと思われる。それが早い肥切れになった。

台風通過後の田んぼの様子 9月5日朝5時30分

問題はこの背丈が極端に伸びたこととへの対応である。土壌を固めなければ当然倒れる。土壌は固めたい。水は切りたくないの矛盾。水を切れば穂が育たない。そこでギリギリまで水を入れて、土壌はぬれた状態にしておく。水きりの日には川からの取り入れ口も閉じる。田んぼの水路自体に水が流れないように入水箇所を塞ぐ。田んぼでは畔切りを行う。畔から排水が進むように何か所でもいいので田んぼの畔を切り開く。どうしても水が溜まる田んぼでは、水を抜く溝を田んぼの中にも掘る。ここからは出来る限り田んぼの土壌の乾燥を行う。イネの葉先が枯れ始めないくらいに土壌を乾かす。確かに例年より少し早く、葉先がオレンジ色になってきた株が見られる。しかし全体を見るとまだ、葉が枯れ始めた株はほんの少しだけだ。水が湧く場所は水がたっぷりあるという状態が続いている。この水の湧きの改善がこの冬の大きな課題になる。かなり乾かし気味の管理にしてきた。15日まであと10日間。イネには最後の頑張りである。葉色が緑のままでは、お米の味が落ちると言われている。しかし、そういう経験をしたことはない。最後の最後までお米が膨らんでゆく管理が良い。

9月4日に台風が関西から北陸を通過した。幸い小田原は台風から離れていた。それでも雨風もそれなりのものだった。いくらかイネは傾いた。まだ根に活力もあるから、回復する範囲だと思う。

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