あるきメデス

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京都・醍醐寺とその周辺を巡る(下)

2008-04-04 18:39:02 | 京都を歩く
 2008年3月30日(日)(続き)

 3時間近くの醍醐寺拝観を終え、旧奈良街道を北に向かう。

 まず、近くの京栄堂という和菓子店の建物の一角にあった
「鬼めん」といううどん店で遅い昼食。醍醐寺へ花見に来た
人がたくさん入ったのか、残りのメニューは限られていた。
 
 しかし、お店の人の対応はよく、気持ちよく食事を済ます
ことができた。

 交通量の多い新奈良街道と交差してさらに進み、地下鉄
小野駅に近い随心院門跡(もんぜき)に行く。

 随心院は、弘法大師から8代目の弟子、仁海僧正により
正暦2年(991)に開基した曼陀羅(まんだら)寺がはじまり。
次第に整備された七堂伽藍は承久応仁の乱で焼け、現在
の本堂は慶長4年(1599)の再建だという。

 随心院は小野小町の旧跡とも伝えられ、謡曲「通小町」の
前段、深草少将が小町のもとに百夜通った伝説の舞台であり、
小町は境内の化粧の井付近に住んでいたという。

 境内には小町文塚(こまちふみづか)もある。

 この日は、年に一度の「はねず踊りと今様」という、奉納の
舞と観梅祭の日だった。

 「はねず」とは、うす紅色のこと、随心院門跡にある梅園の
紅梅が、古くからこの名で親しまれていたようだ。

 古くから毎年、「はねず」の咲く頃に、門内の庭で踊ってい
た「唐様(はねず)踊り」は、小野小町伝説を主題としたもの
で、一時途絶えたが、近年復活したのだという。

 踊りの最終回が15時から始まるというので、その前に庫
裡(くり)から上がって、奥書院、表書院、本堂などの内陣と、
仏像や古文書、庭園などを拝観する。


 「はねず踊り」は、午前中には外で踊られるようだが、雨に
なったので、庭園を眺められる本堂の廊下で行われた。

 近くの小学校高学年の女性児童8人が、邦楽の演奏に合
わせてはねず色の衣装で踊る。

 小野小町をしのばせる、しっとりした舞だった。
    

 踊りを見た後、境内の一角、名勝・小野梅園を巡る。今年は
開花が早めだとかで盛りは過ぎていたが、雨に濡れたはねず
色の花も、味わい深いものだった。


 西に向かい、地下鉄東西線が地下を走る小野駅に近い車
道と、山科川を横断し、名神高速道の南側にある勧修寺(か
じゅうじ)に行く。

 16時15分に着いたが拝観時刻は16時まで。でも受付に
いた女性に聞いたら、拝観させてくれるとのこと。感謝して
入る。

 勧修寺は、昌泰3年(900)に醍醐天皇が創建されたという
古寺。庭園は「勧修寺氷池園」と呼ばれ、氷室池を中心に造園
され、周囲を借景とした地泉庭園がある。

 平安時代には、毎年1月2日に氷室池に張る氷を宮中に献
上し、その厚さでその歳の五穀豊凶を占ったといわれていると
いう。

 書院の前の灯ろうは、水戸光圀公の寄進で「勧修寺型灯籠」
と呼ばれるユーモラスなスタイル。

 周りを覆うハイビャクシンは、樹齢750年といわれ、国内で
も無双の名木として名高いようだ。

 観音堂の周辺では、数本のソメイヨシノが冷たい雨に濡れて
いた。


 氷室池の中の島は、自然のままに木が茂り、サギの巣が幾つか
出来ていた。(中の島は下の写真の左にある)

 庭園を一巡し、15分ほどで勧修寺の拝観を終える。

 南側に神社が見えたので向かってみたら、目的の神社の
手前にもう一つ、小さな社の宮道神社というのがあった。

 このあたり宇治郡を本拠とした、氏族宮道氏の祖神、日本
武尊などを祭神として、寛平10(898)に創建されたという。

 平安時代初期の宇治郡司・宮道弥益は、醍醐天皇の生母・
藤原胤子の祖父で、その邸を寺としたのが、いま拝観した勧
修寺だという。

 石段下には、三条右大臣の「名にし負はば 逢坂山の さね
かづら 人に知られで くるよしもがな」の歌碑がある。

 この地は、父の藤原高遠が宮道弥益の娘と結ばれたロマン
の地だったようだ

 目的の神社は、その南側にある八幡宮。仁寿3年(853)の
創建と伝えられ、江戸時代までは勧修寺の鎮守社だったという。

 現在の本殿は、元禄8年(1695)の建築。向背(こうはい)が
改変されているが、江戸中期の大型切妻造り平入本殿として
の価値が高いとして、京都市有形文化財に指定されていた。


 境内の一角にある天満宮前には、安産の神という二つの石
があり、鳥居のそばには、ツブラジイの大木が高く枝を伸ば
していた。

 市営地下鉄東西線の小野駅に17時5分に着き、初日の予
定を終わり、連泊する四条烏丸のビジネスホテルに向かった。

(天気 曇後雨、距離 6㎞、地図(1/2.5万) 京都東南部、
 歩行地 京都市伏見区)


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