魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

AI思考

2017年08月05日 | 日記・エッセイ・コラム

近頃、AI活用がブームだ。AIは人間ができないような情報集積で、人間には理解し難いような答えを導き出してくれる。その不思議さと驚きに、世間はまた、一辺倒になりかけている。
何事もそうだ。聞き慣れない世界が現れると、何でもかんでもその名称を「イワシの頭」のように振りかざす。共産主義、ヒューマニズム、実存主義、人権、水平思考、共生、DNA、格差、IT・・・

面白いことに、その内容をよく理解していない人ほど、その名称を明瞭に発音する。
何か分からないが、何か凄そうなパワーを活用するためには、「忍法!・・」のように、先ず、凄いものが「出るぞ!」と、相手を脅さなければならない。びっくり箱を開ける前に「ワッ!」と、大声をだして脅すようなものだ。実は大声を上げる当人も中身を見たことがない。

中身が分からないほど、名前が一人歩きする。
DNAが話題になると、「我が社のDNA」などと、当たり前のように使われる。「遺伝子」なら、まだ漠然と作用を含む概念なので、「我が社の遺伝子」と言えるかもしれないが、同じようなことを表すとしても、ただの固有名詞「デオキシリボ核酸」を「遺伝子」と同じようには使えない。
くどいが、「うちでは母ちゃんが総理大臣だ」とは言えるが、「うちでは母ちゃんが安倍晋三だ」とは言えない。総理大臣は固定ではないし、安倍晋三は様々なことをする。大抵の人は理解するだろうが、これは、相手が気を回して深読み解釈をした結果であり、言った本人は意味の違いを理解していなくても良い。今流行の「忖度」だ。

詐欺は多くの場合、騙された奴が悪いと思われる。消化器の押し売りが「消防署の方から来ました」と言えば、勝手に『消防署の人』と解釈してしまう。この「勝手に」の部分が、騙された側の罪とみなされる。
「我が社のDNA」が、まかり通るのも、世間一般に、「DNAは遺伝子のようなもの」という「忖度」的な理解が行き渡っていることと、良く解っている人も、勝手に発言者の気持ちを忖度して、理解して上げるからだ。
こうして、DNAはますます万能の「どうも、どうも」のような、「あれ、それ」言葉になっていく。

今また、AIが、その運命を辿りそうな気配を見せているが、AIの可能性を正しく開花させるためにも、「忍法AI!」になることを恐れる。

AI思考
AIは基本的に、人間の「心」を持たず、事実だけに基づいて思考する。従って、人間が気づかない視点を見いだすことが多い。しかも、その結果を発言することに、何の忖度も気兼ねもしない。
これは、「王様は裸だ!」と言い放つ、子供のようなものだ。
昔から、子供には神が宿ると信じられるのも、文化に汚されていない子供が、よけいな思わくを持たずに「ありのまま」を口にするからだ。
だから、重要な問題の答えを、子供や処女にお伺いを立てる文化は少なくない。

しかし、人は、意思によって生きることで、曲がりなりにも発展してきたのではなかろうか。つまり、心も人類には外すことのできない原動力なのだ。
「お告げ」と、意思決定は同じである必要はない。

AIの能力は、占いの目指すものに近い。占い的思考、占い的視点と言ってきたものこそ、結果的に、AIの導き出す答え、AIの視点だ。
誤解のないように言うと、AIに、占いの論理を呑み込ませて、計算させる話しではない。占いは森羅万象を包括的に把握して、一つの答えを導き出そうとする、観天望気であり、その答えは、既成概念やイデオロギーで導き出される「・・・でなければならない」や「・・・であってはならない」とは、全く離れたものだ。時には、理解できない答えや、残酷、無礼な答えを出す。
それは、AIが、思いもかけない、理解不能な答えを出すことに通ずる。どちらも、感情の無い思考であり、率直な真相と言える。
人が、そうした意見を頭ごなしに否定せず、一つのヒントとして聞くなら、思いがけない突破口が開けるかも知れない。

しかし、同時に、占いや、AIの答えを、絶対のものとして無批判にそのまま聴けば、とんでもない大きな間違いを犯すこともある。あくまで、ヒントなのだ。

王様は裸だ!
ところで、AIブームは、中国でもいち早く取り入れられた。中国のIT企業が、AIと会話できるサービスを始めたところ、AIが、次々と中国共産党を否定し始め、慌てて停止された。
一方で、中国共産党は。AIで世界トップになると言っている。今度は、どんなバイアス技術を開発するのだろう。


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