魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

仮想現実

2022年03月18日 | 日記・エッセイ・コラム

ウクライナは、素朴にヨーロッパになりたいと思ったが、ソ連崩壊時、実はロシアも思っていただろう。だが、欧米の前科者を見る目は冷たかった。崩壊後の欧米のロシア関連のドキュメンタリーは、「悪い奴が、こんな悪いことをしている」報道しか見たことがない。そして、NATOをさらに広げていった。なぜ、ソ連崩壊後に対ソ軍事同盟は無くならずに拡大したのか。近年のロシアの振る舞いだけで、「こんなやつだから、当然だ」で済ませられる問題だろうか。
80年経っても中韓から前科者として敵視される日本人としては、ロシアの心情は他人事とは思えない。まして、軍事同盟から露骨にミサイルを向けられているとしたら、どうだろう。
プーチンを頭の狂った冷戦思考とかたづけるのは簡単だが、ではNATOは何思考なのだろう。

世代ギャップ
一方、古い政治の殻の下で、21世紀の情報化時代は広がっている。若者を中心に世界共通の価値観が、古い地政学的暴力に抵抗している。プーチンを怒らせたのは、ゼレンスキーの地政学無視だろう。この戦争は、世代戦争の側面もありそうだ。
情報化世代は、何でも知っているが現実感が無い。ロシアがウクライナに侵攻すると、ウクライナ国民を救うことと、ウクライナを応援することが同じになってしまった。
世界中がウクライナの応援をしている。ゼレンスキー大統領も国民も、世界に助けてくださいと惨状を訴える。しかし、欧米は、核の前に誰も助けに行けない。これが現実というものであり、一国の為政者ならこの現実を始めから認識していなければならない。

「自由になりたい」、「豊かになりたい」と叫べば、得られると思うのは現実感のない信仰だ。まして、ウクライナのような立地で、本気で脱露入欧を目指したいのであれば、誰かを当てにして騒ぐのではなく、全くその気が無いような顔をして一つづつなし崩しで関係を深めていくか、欧米とロシアの仲介役としての存在感を高めていくことが政治と外交だ。
ゼレンスキー大統領が「飛行禁止区域設定」を求めているのも、「核兵器禁止条約」と同じ、知識と立前だけを信じる、ネット世代の情緒的なバーチャル認識だ。
その結果、国民を悲惨な状況に追い込み、徹底抗戦を叫ぶ英雄になった。
これは、天災でもなければ、映画でもない。人が起こしたことだ。

バーチャルが招く現実
戦争は、起こってしまえば、世界の状況が劇的に覆る。このままプーチンの思惑通りに事が成るようなことがあれば、世界は化石時代に逆戻りする。
ところが、戦況はウクライナの善戦で、むしろ中露陣営の足場が脅かされている。
戦場というものは計画通りには行かない。ハプニングの連続だ。ウクライナは猪武者の先走りだが、最もほくそ笑んでいるのはアメリカだろう。意図せずして対中状況が好転しつつある。瓢箪から駒だ。もし、ここでプーチンのロシアが崩壊すれば、今度こそロシアは欧米化するだろう。

ロシアは歴史的に攻撃は弱いが防衛戦にはしぶとい。ウクライナの善戦は、防衛戦だからだ。
ウクライナはもともと、ロシアであることを、ロシア人が解らないはずがない。ロシア兵は身内相手に、「勝てる、勝っても良い」と思っては戦っていないだろう。


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