昔、学生なのに、説教調で話す人がいて、すごく不思議だった。
観察していると、どうも、その人の頭の中は、タテ型の秩序が固まっているらしく、年齢立場に応じ、知識に応じ、自分より上と見た人に対しては、賢明で従順な目下としての態度を守り、何事にも「拝聴」する態度を崩さない。
目下と見た人には、頭から「教え諭す」態度で話す。
「いいかね、物事はこういうものなんだよ・・・」
こんな調子だから、とても同世代には見えず、決まって姿勢も良いから、どこかの会社の万年課長のようで、滑稽だった。
こういう人は、案外どこにでもいて、たいていは小柄で、頭が小さく、身だしなみ髪型も、常にカッチリ決まっていた。
歳をとるにつれ、同世代の多くも、こんな雰囲気にできあがっていったが、それでも、全部が全部そうなるわけでもなく、いわゆる万年書生、学生気分が抜けきらない連中も相当いた。
多くは、自由業や自営業で、セラリーマンにもいることはいるが、学生気分では、あまり出世できない。
バカは勝つ
40才過ぎた頃から、どこでも若手批判を聞き始めた。いわゆる「近頃の若い奴は」だが、この頃から、同世代の風貌が、見る見る、二分化し始めた。実年齢に遅れ始める人と、どんどん進んでいく人だ。
若手批判をする人が、必ずしも老けるわけではない。若手と対決している人は老けないが、グチっている人は老ける。
若手批判をしない人の場合。若手に興味を持って面白がっている人は老けないが、自らものわかりの良い上司になっている人は老ける。
仕事をしている女性は男性と同じだが、専業主婦の場合、ほとんど同じで、美容に気をつけている人は、見た目はごまかせても、亭主や子供に明け暮れて太っていく人は大体ワンパターンで、趣味や遊びに打ち込んでいる人は、なかなか老けない。
この結果がはっきり出て来るのは、還暦過ぎで、極端な場合、20才ぐらいの実年齢差が出る人もいる。この差は、自らの老け込みだ。
年の功で、若い人を指導できると思っている人は、自ら老け込むし、若い人に何でも迎合する人も、やはり老け込む。
要するに、年齢を気にしたり、社会的立場を気にする人は老け込むわけで、そういうことが念頭にない人は老けない。
やはり、昔の人が言う「バカは老けない」は正解だ。
ところで、登録もしないのに、「シルバー会員様特別ご優待」とメールを送りつけて来られると、思わず「大きなお世話だ」と、ムカッと来るが、その度に歳に気づいて、そうとう賢くなってしまった。
それがシャクだから言うのだが、
年寄りに「おじいちゃん、おばあちゃん」と呼びかける人や、「シルバー様」などと平気で言うような人は、必ず早く老ける。自分が年取った時、ショックを受けるからだ。
そういう「VAKAMONO」にジジイが教えてやろう。
「お子様にも、お婆さんにも、人には名前も立場もある」
(名前を知らなくても、あなた、君、先輩、大将、ご主人、奥さん、お父さん、お姐さん、ボク・・・歳と関係ない呼び方は腐るほどある)