易卦「火風鼎」の初爻。
初六。鼎顛趾。利出否。得妾以其子。无咎。
象日、鼎顛趾。未悖也。利出否、以従貴也。
「鼎」(かなえ)は、三本足で支え、火を焚き、物を煮る。
様々なものの相互作用である「世の営み」も表す。
営みの始めである初爻は、鼎をひっくり返した異常な姿。
とんでも無い状態のように見えるが、中にあった古い屑を掻き出し、新しい体制を整える始まりであり、良いことの始まりである。
今回の凶事で、腐りきった日本の旧弊は、一気にひっくり返された。
中から出てきた腐ったものとは・・・
● 原発に頼るエネルギー政策
● 東西が異なる電力行政
● 石油依存の社会
● イチャモンばかりの政治とメディア
● 融通の利かないシステム社会
● 技術先進国の幻想とプライド
● 借金で続ける贅沢暮らし
など、挙げればきりがないが、
頭から冷や水を浴びせられて、国民は目覚めた
・・・いや、目覚めなければならない。
これは、全てを改めて、一から始めよとの「天啓」に違いない。
これまで何度も、ぼやいてきたことが、ついに現実になった。
一言で言えば、
産業革命パラダイムの「システム社会」より、先ず「人間力」
と言うことだろうか。
想像を超える被害者数も、原発のモタモタも、
「人間の知恵を捨ててシステムに頼っていた」からではないのか。
バブル以後の、30年の衰退と苦難は、個人の人間力を捨てて、システム化にばかり傾注してきたことにある。(今から反転攻勢の30年)
原発のモタモタが象徴しているのは、「人と自然の対峙」を忘れた、設計思想にある。
「千年に一度の災害は想定していなかった」のは、自然に対する驕りだ。自然を崇拝し、自然に調和してこそ、人は生きられる。
「自然の恵みを活かして生きよ」との天啓に従い、世界のどこよりも前で、21世紀社会を築いていく日本であって欲しい。
そうでなければ、亡くなった人に申し訳ない。