転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



花組全国ツアーが広島に来ていて、本日昼の部を
友人某氏が誘って下さった御陰で観ることができた。
演目は、お芝居が『メランコリック・ジゴロ』、ショーが『ラブ・シンフォニー』。
私は93年に、このお芝居の初演を観ている。大劇場まで観に行った。
それまで贔屓だったなーちゃん(大浦みずき)が退団した直後の花組だったが、
ヤン(安寿ミラ)×ミキ(真矢みき)が、まるで男役コンビのように人気があり、
とても良い雰囲気で盛り上がっていて、嬉しかったことを覚えている。

そして、私の記憶に間違いがなければ、これの東京公演のとき、
主演のヤンちゃんが途中で肺炎か何かで休演せざるを得なくなり、
数日間だけ新人公演主役のチャーリー(匠ひびき)が主役を務め、
そのあと、本来の代役だったタモ(愛華みれ)が代演を引き継いだ、
というアクシデントがあったはずだ。

しかし、そのような周辺の出来事を除くと、
今回、私は肝心の物語のことは、さっぱり思い出せなかった。
とても愉快な展開で、後味が良かったような、微かな記憶はあったが、
誰が誰をだまして?誰の正体が何で?等々はキレイに忘れてしまっていた。

それを、きょう、改めて観て、終わって、いろいろと思い出して。
そして、つくづく思ったことは。
すみません。正直に言います。
『昔の正塚先生の脚本は、本当に素敵だったんだなあ』ということだった(逃!)。

笑いのセンスが洗練されていて、どうかすると吉本新喜劇並みにテンポが良く、
一方でさりげなく切ない台詞も用意されていて、ラストはお洒落な余韻が残って。
何より素晴らしいのは、小さな役でも隅々にまで血が通っていて、
短い場面や台詞ひとつさえもが、印象的に書かれていることだった。
そういえば80年代終盤からの何年かは、
私が宝塚で一番好きな作家は正塚先生だったよな、と今頃になって思い出した。
89年『ロマノフの宝石』、91年『銀の狼』のあたりなんて最高だった。
なーちゃんファンの面々は勿論、これらの前に83年『アンダーライン』を
書いて下さった先生として、正塚先生のことはほとんど神格化して見ていた筈だ。

これがどうして、いつからおかしくなってしまったのだろう。
1998年『ブエノスアイレスの風』や1999年『Crossroad』の頃には、
作品的にはどっかで聞いた雰囲気の台詞が多いな、という飽きた感じが出始めていて、
でも主演者の魅力は最大限に出ているのだから、これもアリかなと
観客としての私にはまだ、肯定感が残ってはいた。
しかし2004年『BOXMAN』で、どう観れば良いのかわからず私は道に迷い、
2005年の『ホテル・ステラマリス』になると、
もう全然、正塚作品のどこが良いのか理解できなくなっていた。
依然として観客動員は良かったのだから、
変になったのは多分私のほうだったのだろうけれど。

今回の出演者については、のちほど書く気になったらまた改めて書きたいと思うが、
とにかく久しぶりに文句なしに楽しい宝塚歌劇を観ることができて、
きょうは本当に良かった。
初演時に主演したヤンちゃんが幾度か言っていたことだが、
お芝居とショー、という二本立てこそ、やはり宝塚の王道だと私も思うし、
楽しいお芝居と華やかなショーをこうして見せて貰うと、
本当に宝塚はイイなあと、忘れていたものを思い出させて貰った気分になった。

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最後に、会場で見聞きした小ネタ。

・『緊急告知!』と会場に大きな貼り紙があり、
来年5月雪組公演決定!14日広島文化交流会館!と大書してあった。
「文化交流会館ってどこ?」「ここか!」
と私の背後の人々が会話していた。
そうなのだ。
きょうの、この会場はつい最近、「厚生年金会館」から「文化交流会館」へと
名称が変わったばかりなのだが、未だに市民の間で全然定着していないのだった。

・ショーの中のご当地ネタで、
まとぶん(真飛聖)『広島と言えば?』
花組生『もみじまんじゅう~!!』
まとぶん『おいしいよね♪』
というのがあったが、私の背後では、あちこちから、
「違う!」「お好み焼きじゃろ!」とツッコミが入っていた(^_^;)。

・私は例によって二階の後ろのほうにいたのだが、
少し前のほうには、どこかのファンクラブの一団がまとまって座っていた。
彼女たちは、舞台の展開を熟知していて、スターの登場場面になると、
一斉に、揃った拍手をカンカンカンカン!と行い、
次の瞬間、拍手をやめ、今度はサっと全員でオペラグラスを上げていた。
一糸乱れぬ動きだった(笑)。
私もあれをやる側にいたことがあるので、とてもよくわかった。

・ショーになると、私の斜め後ろのあたりの女性客が俄然、元気になった。
私語をやめず、ショーの音楽は賑やかなので、負けじと声を張り上げ、
観ながら活発なお喋りを続けていた。よく聞いてみると、
「見て!足が長~!」等と、身の毛もよだつほどしょーもない(爆)話だった。

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