転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



昨日は、『萩原麻未&広響コンサート』@ALSOKホール、を聴きに行った。
指揮は飯森範親氏、プログラムは最初がドビュッシーの『小組曲』、
麻未ちゃんはそのあとのラヴェル『ピアノ協奏曲ト長調』(ジュネーブ国際コン受賞曲)、
同じくラヴェル『左手のためのピアノ協奏曲』、の二曲でソリストを務めた。

萩原麻未ちゃんは広島が地元なので、私もかなり以前から名前は聞いていたのだが、
高校を卒業後に留学し、大きな演奏会を開くということもなかったので、
聴く機会をずっと逃していた。
そのうちに、昨年秋のジュネーブ国際音楽コンクール優勝という出来事があり、
彼女は一足飛びに、日本全国にその名を知られる演奏家に変貌してしまった。
将来有望と言われながら、ほとんど実体を知られていない存在だった彼女が、
文字通り一夜にして国際的なピアニストになって帰ってきたのだ。

私は彼女の演奏を生で聴くのは全く初めてだったので、
昨夜のが、彼女として会心の出来か、それともまだ課題の残るものだったか、
比較して判断するすべを持たないのだが、
私の印象としては、昨日の二曲はいずれも実に「若い!」という手応えがあって、
瑞々しい力がみなぎっているような、磨き立てられた演奏だと感じた。
若さゆえに聴覚も反射神経も高度に研ぎ澄まされて正確で、
しかも全く疲れを知らない演奏だった。

彼女のような若い人が弾くのに、ラヴェルのト長調は本当に良く似合っていた。
リズムの面白さ、アメリカ的なジャズやブルーズにも通じるようなフレーズは
麻未ちゃんの若い感性が存分に発揮される素材だったし、
一方で、二楽章の古典的で叙情的な表現も素晴らしかった。
『左手』のほうは、文字通りソリストは左手だけで演奏する曲なのだが、
麻未ちゃんが弾くと普通の協奏曲とは比較にならないほどスケールが大きかった。
技巧的な曲だという認識は私にも以前からあったが、
あれほど激しい、ある意味「豪華絢爛」な曲だったとは、
麻未ちゃんの演奏を聴かせて貰ったことで、初めて知った気がした。

アンコールはショパンのエチュード作品25-1『エオリアン・ハープ』で、
そこまでとは打って変わった、繊細で穏やかな音に癒やされるような一曲だった。
麻未ちゃんの大胆さや若さ、そして最後にデリケートなタッチも堪能させて貰い、
きっと昨夜は多くの聴衆が、
「次は是非、リサイタルを聴きたい」
と思ったに違いない。
戸惑ったような、恥ずかしそうな様子で、幾度もお辞儀をする彼女はとても初々しかった。
しかしもう、これほどの見事な演奏家に成長した彼女を、
『麻未ちゃん』などと、小さい女の子みたいに呼んではいけないかもしれない(笑)。
次の機会にはピアニスト『萩原麻未』の独奏会をたっぷりと聴かせて貰いたい、
と私も強く願い、大変楽しみにしている。
本当に、昨夜の演奏会は、聴けて良かった。

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昨日のチケットは私はもともと持っていなくて、高校時代の友人が偶然に
「一緒に聴かない?」
と誘ってくれたことがきっかけで、行くことができた。
その友人と、演奏会前に会って、彼女の自家用車で会場近くのレストランに行き、
6時から、まず早めの夕食を取った。
そのときはレストランの駐車場に車を入れていたのだが、
近くには100円パーキングがあり、あとで車をそちらに移動させてから、
ホールまで至近距離だし歩いて行こう、ということで、
「ばっちりでしょ」
と友人は上機嫌だった。私も彼女の手際にほとほと感心していた。

ところが、我々が食事を終えて店を出てみると、
レストランの前だけでなく、ホール付近の駐車場は軒並み満車になっていた。
シマッタ、萩原麻未人気を侮っていたか、と我々は青くなり、
それから友人の車で、駐車場を探してしばらく付近をぐるぐる回った。
「数百円を惜しまずに、食事の前に最初から100円パーキングを確保しとくべきだった」
「今、私ら、どこらへんにおるんかね(^_^;?」
「私もわからんね(^_^;」
と言いながら、我々はあてもなく、周囲を見回しつつ、のろのろと車を走行させた。
結局、ようやく車を入れることができた場所からは、ホールまで軽く徒歩10分はあり、
我々ふたりは、最初のドビュッシーに間に合わなかった。
「練り上げた作戦であったのだが」
「策におぼれたか」
と友人と反省し合った(笑)。

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