転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



十年以上前に書いた話が、実現していたことがわかった。
『頭にセットできるオペラグラスが欲しい』
『オペラを仕込んだメガネが欲しい』
これが、とうとう商品化されたのだ。
……ということを、先日、facebookの友人某氏のリンクで知った。
その名も、
カブキグラス(R) 究極のオペラグラス(サンテプラス株式会社)

ネーミングそのものはカブキグラス(R)とあるが、
私ならこれは歌舞伎鑑賞では必要ない。
歌舞伎なら、限られた、観たい瞬間にだけオペラグラスを使えば済むし、
そもそも私は歌舞伎にオペラグラスを持って行くこと自体が稀だ。
歌舞伎は、少なくとも私にとっては全体・全景を観るものであって、
贔屓役者の上半身だけ拡大して観たい種類の舞台芸能ではない。
場合によっては客席まで含めて眺めてこそ、歌舞伎は面白いのだ。

しかし、宝塚を観るときは、これはなかなか有効だと思う。
宝塚では、何をおいても贔屓の生徒さんを観たいし、
観ながら拍手あるいは手拍子までせねばならないことが
観劇中にはかなり多いからだ。
同じ演目を複数回観ることも、宝塚では普通で(笑)、
二度目以降となると、贔屓の生徒さんがどの位置から登場し、
どういうタイミングで銀橋に出て来るか等がわかっているので、
その瞬間を逃さず観たいのと同時に、客席が揃って拍手で迎えるところに
自分も参加したいという欲求が、私には、ある(^_^;。
そういうとき、これまでのオペラグラスだと、
「観ること」と「拍手」の、どちらかを犠牲にしなくてはならなかった。
拍手してから、一小節遅れくらいでオペラを上げるか、
最初からオペラを構えて待っていて、拍手のほうを後回しにするか。
更に、ソロに合わせて手拍子、などになると完全に二者択一だ。
オペラグラスを使いながら手拍子をすることは、できない。

しかし、このカブキグラス(R)があれば、もう悩まなくてイイ(笑)。
贔屓を存分に観ていながら、両手が自由だ。
オートフォーカスなど品質的にもかなり優れもので、軽量でもある。
問題があるとすれば、価格32,400円(税込)をどう捉えるかということと、
やはり、これを使用した際の自分の「見た目」を許容できるかどうか、
という点だろう。
自然観測などある程度専門性の高いものや、
勢いでなんとかなる(笑)スポーツ観戦や観光は、まだ良いと思う。
しかし、観る側も一応の盛装をしていて、
客席のフォーマルな雰囲気そのものも、公演の要素として無視できない、
コンサートホールや劇場という空間は、どう考えたら良いのか(汗)。
サイトの『誕生秘話』を読むと、カブキグラス(R)は飽くまで、
遠くの席からでも舞台やスポーツの臨場感が味わえる、
というのをセールスポイントにしている。
しかし、現実のニーズは、そこだけではないだろう。

宝塚ファンは、通常、前方席、否、最前列からでもオペラグラスを使う。
それくらい、ヅカファンは「アップで観ること」に重きを置いている。
前出の友人某氏が指摘して下さったことだが、
宝塚の売店であるキャトルレーブでも、カブキグラス(R)の取り扱いがあり、
歌劇団側からは、ニーズはある、と見られているようだ。
しかし、10列目くらいまでは舞台からも観客の顔や表情が見えている、
と、複数のタカラジェンヌがインタビュー等でこれまで言っていた。
カブキグラス(R)をつけたこちらの姿は、前方席にいる限り、
贔屓のジェンヌさんの目にも入るわけだ。
カブキグラス(R)は、果たして、ヅカファンの間で受け入れられるのだろうか。

また、ポゴレリチの演奏会で、もし私がこれをつけて座っていたらどうなるか。
私は、彼のペダリングをもっと良く見たいと常々思っている。
ウナコルダ、ソステヌート、ダンパーペダルをどう使い分けているのか、
どのタイミングでどれをどれだけの長さ・深さで踏んでいるのか、
彼のペダリングの多彩さには、毎回、大変強く惹きつけられている。
あれを、私はもっとつぶさに観察したい。
しかし、……客席で、こんな、レンズの突出したメガネみたいなものを
かけた女が、むしゃぶりつくようなオーラを出して聴き入っていたら、
そしてマエストロがそれに気づいたら、
…………何が、起こるだろうか………(逃)。

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