転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



私はもともと、広島でもかなり奥のほうの出なので、
こういう、市街地の風景には馴染みがなかったのだが、
この拘置所の壁画は、市民の間で親しまれているのだろうか?
私は、初めて見たとき、申し訳ないが、のけぞった。

初めて見たとき、というのが、主人との初デートのときだった(爆)。
主人は、私が山出しで、縮景園も知らなければ広島城も知らず、
裁判所に行ったこともなければ(←普通ないだろう)、
検察庁がどこにあるかも知らない(←用の無い人のほうが多数では)、
というのを聞いて、哀れをもよおしたらしく、
初めてのデートで、広島市内を案内してくれたものだった。
そのとき、私の度肝を抜いたのが、この広島拘置所だった。

ギョロ目をむいた鯉が、尋常でない大きさで描かれている。
いくらカープの広島だからって、こりゃ一体。
さらに、この壁画は広島拘置所の正面から左右へと続き、
敷地をぐるりと取り囲み、そこには、この鯉に留まらず、
延々と、仰天するほど大胆な着想の絵が描かれていたのだった。

例えば、巨大鯉とは全然縮約の合ってない漁船の絵とか、
大海原でクジラを取っているとしか思えない漁師さん達とか、
それを見物?している金のカメとか。龍も舞っているし。
そりゃもう、次から次へと、どないなっとんねん状態の、
強引な瀬戸内漁業絵巻が展開されていたのである。
これには出典があるのか?何か広島の言い伝えでも?
と私が訊ねたが、主人も、この絵の来歴については、全く知らないと言った。

だが、きょう、ひょんなことから、
これがそれなりに由緒あるものだ、ということがわかったのだ。
元にになっている題材は、1808年に描かれた「江山一覧図」。
江戸後期の瀬戸内漁業の有様を記録したものだったという。

広島拘置所のアート壁

制作者は、画家・入野忠芳氏。
窪川原啓子、落合郁雄、栗栖彩の三名が助手を務め、
平成元年に完成した作品だとのことである。
いやはや全く、申し訳もございません、
無知無教養で美術音痴のオバサンの言うことは、
これほどまでにピントはずれで、素っ頓狂なんでございます。
どうぞ思いっきり笑い飛ばして、いや、殴ってやって下さいまし。
これぞまさしく、猫にコンバンワ。

ちなみに、この壁画を持つ拘置所の壁は、高くそびえていて、
外からは拘置所の中が全く見えないつくりになっているが
(主として脱走や侵入などのトラブル防止のためだとは思うが)、
私の伯父さんがいつぞや、糖尿病でこれのむかいの某病院にいたとき、
「○階に上がったら、拘置所ん中が、よぅ見えるで~初めて見たで~」
と言っていたものだった(爆)。

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