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韓国では北朝鮮を「反国家団体」とみなす国家保安法存置論の核心的根拠として引用されてきた事情を考えると、韓国社会の国家保安法存廃論争にも重大な影響を及ぼしうる状況変化でもある。

2021-06-01 | 「北朝鮮問題」の解決のために

【独自】北朝鮮、「南朝鮮革命統一論」を削除…

韓国の保安法存廃論争にも新たな局面

登録:2021-06-01 08:57 修正:2021-06-01 10:02

 

憲法と同等の労働党規約で 
「民族解放民主主義革命」の文言を削除し 
「全国的な範囲で自主・民主的発展」に代替 
 
南北格差で体制維持に追い込まれた北 
現実とイデオロギーの乖離を解消する観点から 
統一より「南北共存」の方向へと転換 
韓国社会の国家保安法論争に影響を与えるか
 
 
北朝鮮は今年1月14日夕方、平壌の金日成広場で労働党第8回大会を記念する軍事パレードを行ったと、朝鮮中央通信が同月15日に報じた。軍事パレードに出席した金正恩総書記が黒い帽子をかぶり満足げな笑みを浮かべている/聯合ニュース

 北朝鮮が韓国を「革命対象」と明示した朝鮮労働党規約の「北主導革命統一論」関連の文言を、今年1月の党大会で削除していたことが明らかになった。

 本紙が5月31日に朝鮮労働党の新しい規約の序文を確認したところ、「朝鮮労働党の当面の目的」として提示していた「全国的な範囲で民族解放民主主義革命の課業を遂行」という文言が削除されていた。朝鮮労働党の新しい規約は、今年開かれた「第8回党大会」5日目の1月9日に修正・採択された内容だ。

 これは、金日成主席が1945年12月17日に「民主基地論」(北は南朝鮮革命と朝鮮半島共産化の前進基地という理論)を提唱して以来、80年近く維持してきた「北主導革命統一論」の事実上の廃棄であり、南北関係の認識の枠組みが根本的に変化したことを意味する。また、労働党規約の「北主導革命統一論」の文言が、韓国では北朝鮮を「反国家団体」とみなす国家保安法存置論の核心的根拠として引用されてきた事情を考えると、韓国社会の国家保安法存廃論争にも重大な影響を及ぼしうる状況変化でもある。

 北朝鮮は新しい党規約を採択し、「朝鮮労働党の当面の目的」を「全国的な範囲で民族解放民主主義革命の課業を遂行」から「全国的な範囲で社会の自主的かつ民主的な発展の実現」に変えただけでなく、「北主導革命統一論」を意味する既存の規約の多くを削除・代替・調整した。

 既存の労働党規約の序文の「朝鮮労働党は、社会の民主化と生存の権利のための南朝鮮人民の闘争を積極的に支持・応援」するという文言がなくなり、「民族の共同繁栄を成し遂げる」という内容が新たに盛り込まれた。労働党規約の本文の「党員の義務」(4条)で「祖国統一を早めるために積極的に闘争しなければならない」という文言は、代替表現なしに削除された。

 労働党規約は、韓国の憲法と同様、絶対的な権威を持つ最上位の規範だ。党が国家を作った「党・国家体制」と自らを認識してきた北朝鮮は、憲法第11条で「朝鮮民主主義人民共和国は朝鮮労働党の指導の下ですべての活動を進める」と規定し、労働党規約には「人民政権(政府機関)は党と人民大衆を結びつける最も包括的な引伝帯(動力を伝えるベルトの意)」とし、「人民政権が党の指導の下で活動する」と明示している。

 金正恩(キム・ジョンウン)総書記を首班とする朝鮮労働党が「北主導革命統一論」を事実上廃棄した措置の意味は、大きく三つに分けることができる。

 第一に、1990年代初めの「非対称脱冷戦」(韓中・韓ソ国交正常化、朝米・朝日敵視持続)以降、時間が経つにつれて広がる南と北の国力の差により「北主導統一」どころか「体制生存」の模索に集中するしかない状況を念頭に置いた「現実」と「統治イデオロギー」の格差を解消する措置だ。これまでも、北朝鮮は「金正恩後継構図」を初めて公式化した第3次労働党代表者会(2010年9月28日)で、以前の党規約の「南朝鮮で植民地統治清算」という文言を削除し、「民族解放人民民主主義革命」から「人民」を削除し、「南朝鮮革命論」の急進性を緩和するなど、現実とイデオロギーの格差を慎重に狭めてきた。

 特にこのような動きは、金正恩労働党総書記兼国務委員長が2012年の政権獲得後から模索し続けてきた「二つの朝鮮」(Two Korea)志向という朝鮮半島の未来像を、労働党規約という最上位規範に公式に反映し始めたことを意味する。これまで、金正恩総書記は南北間の標準時刻に30分の時差をつける「平壌時間」(2015年8月15日~2018年5月4日)制定による「時空間の分断」の試みや、金日成・金正日の「永遠の両首領」という「民族」言説を「国家」言説に置き換えた「わが国家第一主義時代」の宣言などで、「統一」よりも「国家アイデンティティ」の強化に集中してきた。

 第二に、1991年の南北の国連同時・分離加盟と南北基本合意書の採択、5回の首脳会談などの現実を反映した「共存」への方向転換だ。第一の理由と相接するこのような方向転換は、北朝鮮が今後「統一」よりも「共存」を模索する方向へと対南政策の重心を移す傾向を強化するという展望を生んでいる。

 第三に、北側の労働党規約の「革命統一論」の廃棄が、韓国社会の国家保安法存廃論争に「変化要因」として作用する可能性だ。2000年6月、金正日(キム・ジョンイル)国防委員長は金大中(キム・デジュン)大統領との初の南北首脳会談の際、「国家保安法は一体どうして廃棄しないのですか。我々も南側が提起する昔の党規約と綱領を新しい党大会で改正したいと思います。こうしてお互い一つずつ新しいものに変えていかなければなりません」と述べた。さらに、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と金正日国防委員長は2007年10月の首脳会談で「南と北は南北関係を相互尊重と信頼関係によって確固たるものに転換させ… 統一志向的に発展させていくために、それぞれ法律的・制度的装置を整備していくことにした」(「10・4首脳宣言」2条)と約束した。これは相手を認めず敵対視する代表的な法と制度である労働党規約と国家保安法の改善・廃棄を念頭に置いた合意だ。

 一方、北朝鮮は「在韓米軍撤退」の主張に関する労働党規約の文言は今回も削除しなかった。「南朝鮮から米帝の侵略武力を追い出して」という既存の文句を「南朝鮮から米帝の侵略武力を撤去させて」に置き換えた。また、「あらゆる外国勢力の支配と干渉を終わらせ、日本軍国主義の再侵略策動をつぶし」という既存の文言を「南朝鮮に対する米国の政治・軍事的支配を終局的に清算し、あらゆる外国勢力の干渉を徹底的に排撃し」に変えた。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )


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