羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

冬至まで

2006年12月05日 07時38分15秒 | Weblog
 茅ヶ崎からの帰宅は、湘南新宿ラインに乗ることが多くなった。
 ラッシュ前の電車は、ガラガラに空いていて、横浜から込み合ってくる。
 15両編成の電車は、通常、前の2両がボックス席である。後ろは見たことがないのでわからない。長距離を移動するときには、ボックス席の方が疲れない気がするので、前から2両目に乗ることにしている。

 昨日は、新宿方面に向かって左・窓側の席に座った。
 本を読むこともせず、うとうと半分居眠りをしつつ、半分覚醒しつつ、年末のことなどを考えていた。
 横浜も過ぎ、東海道線と線路が離れていくのは鶴見の先。鶴見川も越えて、新宿ラインに入る。しばらく走ると風景が開けるところがある。
 
 ふと、目を車中に置く。
 通路の向こう、筋向いに座っている初老の男性に気がついた。
 私の方にからだを向けて、しっかりと見ている。
 知り合いだったのかと、記憶をたどってみる。思い出せない。
 じろじろ見るのも悪いので、目を進行方向の右のドアの外に投げた。
 すると一棟のビルの窓の一部が、真っ赤に燃えている。
「エッ、なんで、あそこだけ」
 訝しく思った瞬間、「あぁ~、そうか」

 左の背中側に首を回すと、家が接近していない、広々とした風景のはるか遠方に、頭少し残した太陽が真っ赤に燃え盛っている。
 筋向いの男性は、からだを通路に向けて、真正面にこの沈む太陽を見ていたのだ。

 夕暮れとは、人をセンチメンタルにさせてしまう。
 日一日と日没がはやくなるこの季節は、心に「寂」という文字が忍び込むことがある。
 人の心を明確に透視できないが、共振するものを感じた。

 新宿に到着するころには、明るさはネオンへと切り替わる。
 加えてクリスマスのイルミネーションが、あちこちに輝く。

 冬至まで、あと17日。
コメント
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