萬蔵庵―“知的アスリート”を目指すも挫折多き日々―

野球、自転車の旅、山、酒、健康法などを徒然に記載

ペットボトル考その2

2007年07月24日 | おすすめモノ
環境問題はなぜウソがまかり通るのか
武田 邦彦
洋泉社

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先日のブログ「ペットボトル考」で紹介した著書です。

この著者は「錦の御旗と化した『地球にやさしい』環境活動が、往々にして科学的な議論を斥け、人々を欺き、むしろ環境を悪化させている」と冒頭に言い、さらに「国民が望んでいる環境の改善という問題を私物化し、それによって収益を得ようとする日本社会の構造こそが問題」と唱えている。そして、「ペットボトルのリサイクル」「ダイオキシン」「地球温暖化」などを例に取り上げ、それらが、特定の人間達の利権に利用されている実態を暴いている。

「環境問題」になにか胡散臭ささを感じていた人、ゴミの分別に嫌気がさしている人、役人達に疑問を感じている人などにお勧めの一冊です。


さて、「ペットボトルのリサイクル」についてである。

1年間に販売されるペットボトルは51万トン(2004年)を超える。500mlのペットボトルで換算すると国民一人当たり2日に1本の割合になるそうだ。その内、分別回収量が24万トン、残り27万トンがゴミとして捨てられている。分別回収したものは全てリサイクルしているかというと、そうではない。その内の3万トンに過ぎない。後は焼却しているのが実態だそうだ。中身を洗って、地域によってはラベルまで剥がして分別しているのにその程度のリサイクルである。

なぜ、こんな現象が起きているかと言うと、

①リサイクルと言わないとお金が来ない。
②リサイクルと言って法律まで作り、国民に分別をさせているのに、今更、リサイクルはダメだったとはいえない。
③リサイクルすると言って国民に分別させて、業者に渡しさえすれば、その後、捨てても「産業廃棄物」になるからお役所の責任ではない。

つまり、自治体は助かり、業者は潤う一方で、国民だけが分別し、税金を払っている。

と言うことらしい。

家電リサイクルなども含めてだが、「リサイクル関連」の国家予算は年1兆円強かかっていると著者は推定する。もちろん、全て我々の税金で賄われる。これがホントなら、税金の無駄遣いも甚だしいし、国民に対する詐欺行為でもある。こういう愚行を止める手立てはないのだろうか。住民達がボイコットするとか、署名運動するとかしない限り放置されたままなのか。

日本人はお上に従順である。分別して、洗浄して、ラベルを剥がして、決められた曜日と時間に、決められた場所に出せ。と言われれば、大抵の人はキチンと守る。「お上の考えることはどうもおかしい?」と思っても多くの人は我慢する。さしあたっての生活に影響なければ、それで良しとしてしまう。そんな、従順さがアコギな業者や政治家をのさばらせてしまっているのだろう。

ここ数年、次々と起こる「偽装○○事件」は従順な国民をだまして、政治家や業者や企業家が巨万の富を得る、という図式だ。どこかで歯止めをかけないと日本はめちゃくちゃになるのではないか。もう少し“うるさい”国民にならないと自らが住みやすい環境は作れないだろう。

が、ここに来てさすがに従順な国民も堪忍袋の緒が切れた感がある。今度の参院選が、どうなるか見ものである。


コメント
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