みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

権力の掌握

2011-01-03 19:52:05 | 国際・政治

菅首相は1日、首相公邸で新年会を開き、「やりたいことをやるために権力を掌握してがんばる」と述べた。

産経ニュースが報道する菅首相のこの発言が、もし本当なら何と恐ろしいことだろう・・ 「国民のために自分の力を尽くしてがんばる」とは言わず、自分がやりたいことをやるために国の権力を支配し行使しよう、というのだ。独裁者のセリフだ。

Dscn1805 ジョージ・オーウェルが1948年に執筆した反ユートピア小説”1984年”を読んでいる。独裁体制の国が舞台だ。そこでは、人々の行動や態度は当局に監視され、思想や心も支配され操作され、常態化した戦争に人々は熱狂する。

~印刷技術の発見は世論操作をより容易なものにし、映画とラジオの出現はその操作法を更に発展させた。テレビの発達に伴い、その技術的進歩が同一セットによる同時受信、発信を可能ならしめると、遂に私的な個人生活は終わりを告げるに到った。全市民、或いは少なくとも要注意に値する市民は警察当局による一日24時間制の監視下に置くことが出来るし、他の全チャンネルを塞いで政府の宣伝だけを聞かせることも出来るのだ。国家の意志に対して完全な服従を強制する許りか、あらゆる問題に対して完全な意見一致を強制する可能性まで、今や初めて存在するに到った。

オーウェルが呈示するディストピアの描写は、別世界の出来事のようでありながら、膚に纏わりつくような実感をもたらす。大手の新聞やテレビが足並みを揃えた報道を流し続け、その論調のままに人の心が流されている現代日本の現実は、当局の意志のままに精神まで操作される”1984年”のディストピアの写しに見えてきて、眩暈を感じる。

独裁者が権力を掌握すれば、インターネットも本格的に個人を監視する装置となる。猜疑心の強い小心者ほど、独裁への願望を強くするのではないか、と危惧を覚える。


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