みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

泰寧寺の夏日陰

2014-07-15 21:19:00 | 俳句

俳句の会で根小屋(石岡市八郷地区)の泰寧寺を吟行しました。梅雨が明けたかと思われるような暑い日差ですが、空の半ば以上に浮かぶ白雲と眼前に広がる大青田からの風のおかげで、凌ぐことが出来ました。

ほっそりとして麗しい御容姿の大黒さんが、新たに設えられた水子地蔵などを案内して下さいました。

    ただ笑みし水子地蔵や夏日影

Dscn0753 小高い境内の中腹部の木陰にひっそりと佇む山県大弐(1725~1767)の墓には、訪れる度に胸を打たれます。大弐は医術を業とし、儒学、兵学などを修め、その著書は医学をはじめ天文学、音楽など幅広い分野に及んでいるそうです。いわゆる「勤皇の志士」という一般的なイメージには納まらない大人物の感がします。

その著書には、「士農工商は階級ではなく、職務上の分担」という記述もあるとのこと。封建社会の真っ只中での凄い知見ですよね。また真に勇気ある人柄も偲ばれます。

幕府への謀反の疑いで処刑されるときの辞世の歌は以前(2012.12.7)の記事にも紹介しましたが、あまりにも胸に迫る歌ですので、再度掲げます。

   曇るとも何かうらみむ月こよひ
       はれを待つべき身にしあらねば