無題

2010-06-03 09:15:52 | Weblog


いつだってその場限りで、

どんな事だって泡のように消えていった。

それは何の記録にも残っていない。

記憶の底にしか もう、存在しないのだ。


不吉な花火、もしくは突発的な暴発みたいに。

地上40階から落とされたグランドピアノのように

壮絶な音を立てながら、

粉々になってしまった運命みたいに。

何度でも繰り返した台詞みたいに。

もう二度と開くことのない心の扉みたいに。

一秒ずつ時間に溶けて、

輪郭さえぼやけてゆく君への思いのように、

すっからかんになってしまった夜の終わりみたいに。


まったくまるで手に負えないのだ、

こればっかりは。


僕はほんのささやかな歴史の目撃者として、

沈み始めた船に偶然乗り合わせた者として、

ある角度から見た真実の証言者として、

追憶の中に生きる夢想者として。


誰一人、何一つ。

まだ容認出来ないでいる。

少なくとも、

このことに関しては。


22年前の昨夜は、

土砂降り雨だったはずだ。



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