そこらじゅうで始終、そして終始、混乱の小さな渦巻きが発生してる気がする。
満月と新月が一度に訪れたみたいに。
満潮と干潮が重なってしまったみたいに。
日食と月食が同時に起こってしまったみたいに。
そんな風にプラスとマイナスがごっちゃになってしまうような時って大抵君は、
厭世観に浸って辟易しているか、もしくは完全に達観しているか、のどっちかだ。
前に進みながら後退している、みたいな。
例えて言えば、反対向きの「動く歩道」に乗っちまった気分。
それはつまり、重力にムラがある感じ。
地球の重力にもムラがあるし、時間の進み方も不均一。
ある所では止まってしまった時間が、
あるところでは すっ飛ばされている。
双子のパラドックス、密室においての完全犯罪。
でも知ってる?双子ってDNAが同じ・・・・・・・・・・・・であるらしい。
鏡の中から自分が抜け出して、そこらを歩いているようなものかも知れないよな。
でもすごく不思議な気分であろうと思う。
自分と、体内組成が全く同じ人間がこの世にいる、という奇妙な事実。
でも双子からしたら
体内組成の同じ人間が存在しない我々の方が奇妙に見えるであろうことは想像に難くない。
ああ、双子になって見たい。
三つ子に、四つ子に、五つ子に・・・・・なってみたい。
いや、それより俺は 世界一不可解な、「あの頃の君」になってみたい。
どんな気がするだろう?
どんな感じがしただろう?
皆目、見当もつかないんだが。